新型コロナウイルス感染を避けるため、現在、ビジネスパーソンは在宅勤務になったり、週末は外出を控えたりするなどして、運動不足になりがちだ。それにより、健康維持に不安を感じている人もいるのではないだろうか。そこで今回はコンディショニングトレーナーに、体をなまらせないため、健康維持のためのコンディショニング方法を聞いた。
健康維持のためのコンディショニングの考え方
まずは、体をなまらせないため、健康維持のための「コンディショニング」についての考え方を、コンディショニングトレーナーの黒木博幸さんに聞いた。
黒木さんは、健康・美容・パフォーマンス向上を目的としたコンディショニング指導を行うコンディショニングトレーナーとしてフリーで活動しており、一般人のほか、アスリートやアーティスト、モデル、俳優などもサポートしている。
「コンディショニングとは『体の機能を整える、体を動かす準備をする』ことです。
人が日常的に行っている動作を大きく分けると『寝る(寝返り)』『立つ』『座る』『歩く』などがあります。職業や生活環境によっては動かす部位も、人それぞれです。さらに、体格や年齢、性別、体力レベルも含めると、自分に必要なエクササイズを、膨大な中から的確に選択するのは専門的な知識を持っていなければ困難です。『この方法で合っているのだろうか…』と疑問に感じながらおこなっている人も多いはず。
しかし、『人の機能』として考えるとシンプルです。体は、脳や神経、関節や筋の働きを活性化させることで整えることができます。
コンディショニングにおいて、体の中でもとくに意識したいのが、脊柱(せきちゅう)・肩甲骨・肩関節・股関節・足関節・お腹(コア)です。ダンベルなどの重りは必要ありません。自体重と重力がコンディショニングにとって最適な負荷となります。ぜひ、習慣にしてみてください」
自宅で実践できるおすすめのコンディショニング法
そこで黒木さんに、自宅で実践できる、おすすめのコンディショニング方法を教えてもらった。
1.ブックオープナー
【目的】コアを安定させ、胸や背中、肩周りの可動域を広げる。
(1)頭の位置に枕を置き、横向きに寝る。両手は前で合わせ、股関節、膝、足関節は両脚共に90度に折り曲げる。
(2)息を吸いながら左手を天井へ伸ばし、顔も左手のほうに向ける。
(3)息を吐きながら胸を開き、左手も後方へ床に近づける。このとき、胸を開いたまま3秒キープする。
(4)体を(2)の位置に戻し、呼吸に合わせて、(3)と(4)を繰り返し、左右10回ずつ行う。
2.ドッグ&キャット
(目的)体幹部を安定させながら、脊柱(せきちゅう)や肩甲骨、股関節の可動域を広げる。
(1)四つん這いになり、肩の下にひじと手首がくるように置く。
(2)息を吸って、吐きながら骨盤を垂直に立たせながら、腰・背中・首の順番に丸め、3秒キープする。
(3)息を吸いながら骨盤を前傾し、腰・背中・首の順番に反らせ、3秒キープする。
(4)呼吸に合わせて「丸める&反らせる」を1回として、計5回行う。
3.ヒップリフト&マーチ
(目的)下半身や体幹部を安定させながら、股関節をスムーズに動かせるようにする。
(1)仰向けになり、膝を立てる。足幅は握りこぶし一つ分。
(2)尾骨からゆっくりと持ち上げ、肩から膝まで真っ直ぐに保つ。
(3)姿勢が崩れないように左足を上げて、3秒キープ。
(4)左足を元の位置に戻し、右足を上げて、3秒キープ。
(5)左右交互に10回ずつ×2~3セット行う。
4.その他のおすすめエクササイズ
●プッシュアップ(腕立て伏せ)…体幹部を安定しながら、上半身の筋力向上を行う。
●自重スクワット…股関節をスムーズに動かし、下半身の筋力向上を行う。
●カーフレイズ(かかと上げ)…姿勢を保ちながら、足関節の可動域を広げ、ふくらはぎの筋力向上を行う。
●腹筋種目…クランチやツイスト、サイドプランクなどで、お腹周りをバランスよく鍛える。
外出を自粛したい今、運動量が減って体がなまる心配があるなら、自宅でこれらの方法で、体のコンディションを整えておくと良さそうだ。
【取材協力】
黒木 博幸さん
コンディショニングトレーナー
2008 年より本格的にフリーのトレーナーとして活動をスタート。様々なトレーニング?法や理論を学ぶなかで、ピラティス、ヨガのボディワークに興味を持ち、ニーズに合わせたプログラム指導を提供する。
https://www.instagram.com/haku_conditioning/
取材・文/石原亜香利