人気のタグ
おすすめのサイト
企業ニュース

掛け声だけでは前進しない!残業時間削減に本気で取り組んだ会社の成功事例

2020.03.19

■あるあるビジネス処方箋

 今回は、残業時間の削減に取り組む大手メーカー(社員数9000人)の事例を紹介したい。昨年、私が取材した中で特に印象に残ったものだ。最近は、働き方改革の一環として残業時間の削減を試みる会社が増えているが、スムーズに進めるのが難しい場合も少なくない。このメーカーは、取り組みを始める前は全社の月平均残業時間は30時間であったのに対し、18年は27時間、19年は17時間になった。ぜひ、参考にしていただきたい。

トップの強力なメッセージ

 この会社は2018年に、社長が「トップメッセージ」として全社に向けて発している。残業削減をテーマにしたものだが、特に「経営的視点から社員の健康管理を考えたうえでの施策」や「労働生産性の向上」を強調したものだった。それより2年前に1回目のメッセージを送っているが、それをさらに強力にした内容と言える。

 社長は「健康管理」や「労働性向上」といった大きな目的を伝え、それを実現するために労働時間の厳格な管理、残業時間の削減をしようと全社員に繰り返し訴えたのだ。この会社では、社長のメッセージを社員が取り組むうえでの「意識づけ」と位置付けていた。

 ポイントは、漠然と残業時間の削減を唱えるのでなく、その向こうにある目的を丁寧に伝えることである。しかも、繰り返し行うことだ。

現場主義に徹する

 残業時間の削減を全社で行うが、トライアルとしてまず、本社の各部署と一部の工場、営業所で始めた。期間は、約5か月間。そのプロセスで生じた問題や課題を人事部や関係部署で検証し、改善策を議論し、1つのプランにまとめた。

 その後、全社で正式に取り組むのだが、重視したのが「現場主義」である。各部署や工場ごとに判断し、状況に応じて始めた。たとえば、全社での「NO残業デー」は毎週水曜日に行うが、ほかの曜日も認めた。本社の各部署、各工場や支社、営業所ごとに状況に応じて決めている。ただし、必ず、週に1回は実施する。全社員が閲覧する社内イントラネットで、それぞれの拠点での取り組みを写真を交え、紹介する。1つに地域につき、文字数は500字ほど。

メール送信の制限

 社員間のメールの発信制限も始めた。毎日午後8時から午前5時までは、原則禁止とした。社外へのメール送信は、対象とはしていない。ただし、「事故対応、顧客対応上、至急の連絡」「緊急を要すると所属長などが判断した時」は例外とした。例外としてメールを送る場合にもルールをあらかじめ設け、できるだけ明文化し、社内イントラネットで掲示している。

 社員間のメールの発信制限を守ることができてない場合、人事部に通報すると関係者への聞き取り調査を実施する。ただし、ルールを逸脱した行為があったとしても、罰則は設けていない。

社員間の意思疎通を円滑に

 残業時間を減らすと、社員間で仕事について意思疎通が難しくなるかもしれないことを考慮し、主に次の取り組みをしている。

・各部署、工場、支社、営業所で、社員間の仕事の現状や課題を共有する月1回の定例会議開催を義務にした。

・特に本社の各部署、支社、営業所ではオンライン型Web会議システムの使用を義務付けた。それぞれの出社や退社、在籍などの確認ができる。

 全社員を対象にフリーアドレスを導入した。人事、総務、経理などの間接部門では、部署を超えたコミュ二ケーションを促す。たとえば、フロアにスタンディングテーブル(立ち机)を設けるなどする。人事部に事務局を設置し、各部署に運用上の現状や課題を聞き、解決策を検討している。

柔軟な働き方を実現

 フレックスタイム制のコアタイムを廃止し、フレキシブルタイム内ならば出社、退社時間を選ぶことができるようにした。結果として例えば、次に挙げたような就労スタイルも可能とした。

「8:30分に出社したが、家庭などの急な用事で10:00に退社」
「通院等のため、13:00〜14:00に中抜け(途中退席)する」

 育児・介護のために短時間勤務をする社員は6時間以内の場合、昼休憩(12:00〜13:00)を省略できる。以前は例えば、9:00に出社し、12:00になると、残り1時間で、つまり、13:00で仕事を終えることができると見込まれる場合も、仕事を中断し、昼休憩に入らざるを得なかった。変更後は昼休憩を省略して、仕事を続けることで退社を1時間前倒しが可能になった。勤務が6時間を超える場合は、1時間の休憩が必要になる。

 残業時間の削減を進めるためには、上記のような仕組みをつくり、全社として取り組まないと、スムーズにはできないはずだ。働き方改革の現場を取材すると、相変わらず、掛け声だけの場合がある。あらためて考えてほしい。

文/吉田典史

新型コロナウイルス対策、在宅ライフを改善するヒントはこちら

@DIMEのSNSアカウントをフォローしよう!

DIME最新号

最新号
2020年6月16日(火) 発売

DIME最新号の特別付録は「デジタル調理温度計」!特集は「安くてイイもの」&「新しい働き方」&「マイナポイント」!

人気のタグ

おすすめのサイト

ページトップへ

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 10401024号)です。詳しくは[ABJマーク]または[電子出版制作・流通協議会]で検索してください。