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業務効率化のカギを握るAIとRPA、それぞれの得意な分野を活かす方法

2020.03.18

その仕事、本当に人がする必要がありますか?

今回はAI,RPAの活用による生産性の向上についてお話しします。昨今、少子高齢化による労働力不足や働き方の多様性に対応する「働き方改革」を政府が推進しています。一方で『AIが人間の仕事を奪う。将来AIに取って代われる仕事ランキング』のような憶測も巷に溢れています。実際に、AIやRPAが導入された企業では、仕事内容が変化した方も居るでしょう。それと同時に、戸惑いを覚える方も居るのではないでしょうか。

これからの社会では、AIなどの技術進歩と同時に働く人は意識を変え、企業もそれらを経営に取り込んで行かなければ社会の変化に取り残されてしまいます。これらを紐解いていくと、仕事の生産性を上げていく事が一つのポイントとなりそうです。かねてより、欧米に比べ日本は生産性が低いと言われて来ました。言い換えると、働く時間が長いわりにアウトプットが少ないという事です。

一見<創造的で付加価値の高い仕事であると思われている人も、単純作業の繰り返しに結構な時間を費やしていて、思うようにアウトプットが出来ていない場合もあるのです。あるいは、難しい仕事は社員がやり、単純な仕事は人件費を抑えたスタッフに切り分けているケースもあるでしょう。しかしこれでは、非正規と正社員の賃金格差是正が謳われる現在において、組織全体として生産性アップに向かっていないのは明らかです。高い人件費を払うより外部にアウトソースしたほうが安く上がるという考えも、結局外部で人がやっているのであれば同じであり、今後は見直す必要があります。

これからの日本の労働力不足に向き合って行くためには、「その仕事は、そもそも人がする必要があるのか?」を考えていく必要があります。その判断材料の一つとして、人の仕事を効率化するのに使える技術について見ていきましょう。

業務効率化のための技術としてのAIとRPA

人が行う仕事の効率を上げる技術として、AI(人工知能)と並んでRPA(ロボティクス・プロセス・オートメーション)が注目されています。AIは人間の脳の処理に近い判断を自動化するものですが、RPAは人手でやっている作業を自動化するもので、いずれも労働力不足を技術で補っていこうというものです。AIとRPAそれぞれの得意な分野と不得意な分野とはどういうものでしょうか。

1.AIの得意分野・不得意分野

1年ほど前、当社にAI案件の相談が持ち込まれたことがあります。その企業では、大量の紙データの電子化を多くのスタッフでこなしており、人手による処理時間と費用がかさむことを悩んでいました。リクエストとしては「高校生レベルの知能を持つAIを作って欲しい。高価になるなら中学生レベルでもいいから」と。AIを持って来てくれれば、スタッフに頼る必要がなくなると思っている様子でした。このように少し前は、AIは何でもできる知能だと幻想を抱く人も多く、我々も対処に難儀したものです。

現在のAIの根幹となる技術はディープラーニング(深層学習)と言われるもので、大量のデータをコンピュータに学習させることで、コンピュータに判断を任せられるようになるというものです。例えば、スーパーで販売している全ての商品写真とその商品名のセットを大量にAIに入力しておきます。これは学習データと言い、ひとつの商品でも複数の写真を用意して全体で数百万件のセットを覚えさせることでAIの精度を上げていきます。

その準備を行なうことで、新たな写真を読み込ませた時にその商品名をAIが類推してくれます。検証のために綺麗に撮った写真を判定させると、そこそこ高い認識精度が出ますが、実際の活用現場を想定した写真の撮り方(角度、明るさ、他の障害物の映り込みなど)になるとその認識精度は落ちていきます。Amazonが実験的に展開する無人スーパーAmazon Goではこの技術が活用されていますが、実際の売り場で購買者が手に取ってバッグに入れる間の商品撮影だけでは高い精度は期待できません。写真だけですべてが処理できるわけではなく、購買者の歩いている場所や音声を認識するなど、様々なセンシング技術も組み合わせて無人スーパーを実現しているようです。

ディープラーニングは自動運転にも応用されており、車窓カメラから見える景色から、車線、標識、信号、他の自動車、歩行者などを認識し、安全に車を自動走行させるための研究が行われいます。これも高速道路など比較的認識しやすい走行環境と、細かい道が入り組んだ住宅地での走行環境では、安全性に違いが出てくるでしょう。

筆者の経験では、人間と同じ100%の精度を出さなければ意味がない分野にAIを使うのは現状では難しいと感じます。多少間違いがあっても大きな影響はない分野、AIの精度不足を人間が補完し全体の業務効率が上がる分野などでは、AI活用により大幅な時間と人件費の削減に役立つと考えています。つまり、人間とAIの分業、これがポイントです。

2.RPAの得意分野・不得意分野

製造業では、以前は人手で行なっていた殆ど作業が機械やロボットが肩代わりしています。少量生産で付加価値の高い商品であれば、現在でも匠と呼ばれる人が手がけているケースもありますが、一般的には大量生産や少量多品種生産が求められ人件費削減のためにオートメーション化が進んで来たのです。

一方、オフィスでの仕事はどうでしょう?パソコンでのドキュメント作成は当たり前、メール・チャット・ビデオ会議など様々なコミュニケーションツールを使いこなして仕事をします。使えるITツールは多様ですが、手作業が多いため、人のスキル差によって無駄や間違いが発生します。また人間の仕事にはうっかりミスもつきものです。これらパソコンで行なっている手作業もオートメーション化しようというのがRPAです。RPA活用にはプログラミングの知識は必要なく、画面上での操作をRPAソフトに覚えこませることで定型処理を自動かすることができます。

例えば、クレジットカードの請求明細をカード会社のWebサイトで取得して経理部の経費精算システムに転記し提出するとか、その日の販売実績を集計して上司にメールで報告するなど、毎日あるいは週末や月末に同じパターンで行う定型作業です。これらがRPAで自動化できると、業務効率もアップし正確性も増します。誰かが自動化したものを部署内に展開すれば、部門全体の生産性も上がります。

RPA活用するためには基本的に人がコンピュータ画面で行う操作を記録させ、コンピュータに作業を教え込む必要があります。従って、新しい仕事を覚える、データを分析して判断するなどルール化されていない非定型業務はRPAには適しません。また、現在のRPAソフトでは、画面のデザインが頻繁に変わるもの、画面の解像度やウィンドウの大きさを変えると動作が不安定になるといった問題もあります。

RPAと似た用語としてRBA(ラン・ブック・オートメーション)があり、これはWebシステムなどの保守作業を自動化しようと言う試みです。通常は、保守員がシステムエラーの発生に備えて24時間365日システムを監視し、復旧ができない場合は深夜であっても関係者へ連絡をしたり、エンジニアを起こして対応してもらったり、ということが行われています。当社では、この対応を自動化したクラウドサービスを提供しており、システムエラーが発生した場合には自動的にシステムを再起動する、それでも復旧できない場合は自動で当番エンジニアに電話をかけ対応依頼するといった流れを実現しています。RBAは、IT人材不足において必要となるサービスの一つと言えます。

AI, RPA時代の働き方

当社では、土木設計会社の依頼を受け、人手で3日かかっていた設計・CAD作業を1時間に短縮するというソリューションを提供しました。土木での擁壁の設計を専門の技術者がパラメータを変えながら設計ソフトに入力して最適な設計を行うという業務に、RPAとAIを組み合わせた技術を導入することで上記の効率化を実現したのです。この流れは、CA(コグニティブ・オートメーション)と言われ、単純作業しかできなかったRPAにコグニティブ(認知)を持ち込むことで、よりRPAを進化させようというものです。このようにAIやRPAを駆使し、仕事の適切な場所に活用することで、大幅な業務改善、生産性の向上が期待できる可能性があります。

日本人の人件費が高いから海外に発注していたという作業も、今後はAIとRPA活用により生産性向上を考えていく必要があります。そして、我々はここで産み出された時間を使って、新しいサービスの開発など創造的な仕事、より顧客に満足を与える仕事など、人間ならではの強みが発揮できる仕事に軸足を移していくことを考えていくべきです。

文/佐藤 敏彦
北海道札幌市出身。札幌の独立系ITベンチャー企業にて、AI関連プログラミング言語、プログラマ向け高機能エディタ、情報誌や新聞の制作支援システムの開発業務などを18年間経験。取締役ソフトウェア開発部部長として事業の中枢を担った。2004年、地元・札幌でオープンソースソフトウェアをベースに、高品質なインターネット向けシステム開発を行うテクノロジー企業として、アンタスを設立。AI・モバイル・クラウドにまつわる最先端技術によるサービス開発・運用事業を札幌・東京・名古屋で展開している。

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