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25歳のトップアスリート、羽生結弦選手がとらえた「限界突破」を実現する3つの思考法

2020.03.14

羽生結弦

小さい頃から変わらない、着実なステップを踏む練習方法に、勝利を重ねた今だから実践できる自分との向き合い方が加わり、新たな「強さ」が宿る。

1. 目標に向けた綿密なアプローチ

「今は本当に、4回転アクセルをやるためにスケートをしている、そのために生きているって思います」

 今季の初戦となる2019年9月、羽生はこう宣言。前人未到の大技となる4回転アクセル(4回転半)への思いを明かした。

 本格的な練習開始は昨年4月。まずはジャンプの条件をピックアップすることから始めた。子供の頃から使ってきた、羽生式の成功術である。スピード、カーブの角度、飛び出しの角度、タイミング、脚の筋力、体幹などの条件をずらりと並べ、ひとつひとつ試し、失敗したものはチェックリストから外していく。その綿密な作業こそが、数々のジャンプの習得につながってきた。

 4回転アクセルに向けた最初のアプローチは、トリプルアクセル(3回転半)の飛距離を伸ばせば4回転半になるのではないかという仮説。しかしスピードを上げて大きく空中に飛び出すパターンは、どれもうまくいかなかった。「飛距離」がダメなら「高さを出す」方向にシフト。昨年12月、GPファイナルの公式練習後はこう答えた。

「高さはあともう少し足りない感じです。あとは、どれだけ速く回転に入るかを考えています」

 新しいことに挑戦する時、こうして根気よく正解へと近づいていく。数学的なアプローチだ。

「僕の特徴は考えること。それが強み」

羽生結弦

2. 平常心を鍛える集中力

「自分でも落ち着いているとは思っています。今まで使っていた集中の仕方が使えなくなってきて、何か変えないと、という感触です」

 そう話したのは今季10月のスケートカナダのショート演技後のこと。これまでは、闘志を燃やすタイプだった彼だが、平昌五輪後、自分の中で変化が起きているという。

「今回は、どれだけ自分の感情を燃え上がりすぎないようにするかに、課題を置いていました。ソチ五輪後の世界選手権のように『勝ちたい』という感情を出し切ったほうが良い時もありました。平昌五輪は『勝ってやる』という感情をためておいて、本番だけ出すということをやりました。違う感情とコンディションを、どうマネジメントするかを考えています」

 あえて闘志を抑えたスケートカナダは、ショート、フリー通じてパーフェクトの快挙だった。

 しかしなぜ、あえて闘志を抑えなければならないのか。

「自分も大人になったなという感じ。感情だけで動くことができた昔と違います。ここ3年はけがをしたり病気になったりしたので、何かをある程度抑えてキープして、試合にピークを持っていかないとダメだなという壁があります。その壁を越えられたら、2015年にパーフェクトの演技をした時のような感覚になると思います」

 新たな境地は、もう見えるところまできている。

3. 自分の持ち味を見直す

 羽生は昨年夏のオフの間、世界選手権で優勝したネイサン・チェンの動画を何度も見返していた。

「ネイサンの『強い』っていうイメージ、むしろ彼本人というよりも、自分がさらにエフェクトをかけた彼の幻想と戦っていました」

 チェンは5種類の4回転を跳ぶ能力があり、羽生自身も、4回転の種類を増やさなければという強迫観念にかられていた。

 しかし本来の羽生の持ち味は、ジャンプの質の良さで加点をもらえること。2015年に記録した歴史的スコア330.43点も、4回転2種類で記録しているほどだ。

 そしてチェンの今季1戦目を見て、我に返る。難しい4回転を入れても、300点を超えなかった。

「自分はやっぱりこういうタイプじゃない。彼にはない自分の武器もあるのだから、自分の演技をしなきゃいけないと思いました」

 ライバルの長所と戦うのではなく、自分の長所に目を向けると、気持ちが落ち着いた。スケートカナダでは、ジャンプの質にこだわり演技。チェンの世界記録に迫る322.59点をマークした。

「難しいジャンプでも表現できるのが自分の武器。自信をもって『自分は羽生結弦なんだ』と言い聞かせながら、練習したいです」

羽生結弦

取材・文/野口美惠 写真/岸本 勉(PICSPORT)

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