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行動経済学の観点から考えてみる「月曜、会社行きたくない!」への対処法

2020.03.16

◆高橋晋平の憂鬱な月曜日を楽しくする研究会

日本には、休日明けの月曜が嫌いな人が多すぎる…。その現状を改善するため、本連載では、様々な領域のプロフェッショナルに月曜日の憂鬱を減らす方法を聞いていきます。

今回は、行動経済学の権威であるダン・アリエリーとの対談がまとめられた話題の新刊 『「幸せ」をつかむ戦略』の著者である、プリファード・ネットワークスCMOの富永朋信さんに、月曜イヤイヤ病を改善するヒントを様々なテーマで聞いてきました。今回はその前編をお届けします。

写真左:富永朋信さん(記事内では敬称略) 写真右:高橋晋平

魂と肉体を分離できると便利

高橋:僕は会社員時代のある時期、月曜の朝が来るのが怖くて仕方なかったんですが、その時は「何かトラブルが起きて怒られるかもしれない」という根拠のない不安にとらわれている感じでした。そういう状態のときって、どうしたらいいんでしょう。

富永:私が月曜を憂鬱に感じていたのは新人に近い若手の頃、やりたいことがやれている実感がなかった時でしたね。誰かを楽しませたり驚かせたりしてやろうと企む仕事が大好きだったんですが、管理系や庶務系の仕事が嫌いで、やれと言われたことに納得感がないと「また明日も、作業しに行くのか…。」という気持ちになっていました。でも社会人には、不本意でもやらなければいけないことがあります。そういう時は、自分を、魂と肉体が分離されている状態でイメージすることをおすすめしますね。

高橋:え? 魂と肉体を分離?

富永:自分の肉体をロボットの様に操縦しているのが魂で、自分の肉体を離れた所から見ているように想像して、作業をする。これができると、いろいろなことが低負荷でできるようになります。例えば自分が怒られていても、魂を遠くにイメージして、「ああ、肉体が怒られてるな」と思うとダメージが少ない。

高橋:それは、やったことがありませんでしたね。試してみたくなりました。

富永:私、小学校5年生の時に登校拒否になったことがあったんですが、隣のクラスの担任の先生とのコミュニケーションがつらかったんです。

高橋:僕もすごく似た経験があります。今思うと、悪気なく子供や部下を傷つけてしまうことってあるんですよね、多分。

富永:大人しく言ったら伝わらないことを、インパクトのある伝え方をしようとすることってあるわけじゃないですか。それが、聞き手の解釈によってパワハラだと捉えられてしまうことってありますよね。人間も難しいですよ。そういう時も、心と体を分離する術が使えたら便利ですね。

人は比べてしまうようになっている

高橋:僕、実は会社員時代に、結構好きな仕事をやりたい放題やらせて頂いた方だったんです。間違いなく仕事のやりがいはあったのに、それでも月曜がつらかったんですよ。多分その背景にあったのは、なかなか売上目標を達成できなくて、同期が先に成果を出して昇進していくとか、そういう評価の部分だったと思うんです。それって、僕が弱いだけなのか、何なんだろうと思って。

富永:人って比べちゃう生き物なんです。何かを評価しようと思うと、基準になる人やモノを見つけて、それと比べたらどうなんだろうという相対的な見方をする。そしてその時に問題なのが、参照点を「適当に」決めていることなんです。例えば会社の同期を基準にして自分はどうなのかと考えがちですが、果たして比べる基準が会社の同期で、しかも昇進という観点で、本当に正しいんでしょうか。

高橋:言われれば確かにそうですが、やっぱりどうしても単純に比較してしまいがちですよね。

富永:人間は、比べないで絶対的な意志決定をするなんてそうそうできないもので、どうしても相対的に見てしまう。それなら、今の自分を何と比べたらいいのか、それは自問自答ができるはずです。例えば、本当にやりたいことをできている理想の状態を基準にして、現状と比べ、理想に近づくためのアクションをしてみたらどうでしょう。

評価をなくすのは難しいが、いい評価制度は作れる

富永:私も過去に、例えば社内で「インパクトのあるマーケティングコミュニケーションをしましょう。」と提案しても、会社の上層部から「もう少し普通の言い方はないの?」とか言われたりしたわけです。特に、例えば自社をイジったりした見せ方を提案すると、「うちの会社はもっとカッコいいだろう。」とか。そして結果的に「なんだアイツは」みたいに言われることがある。ちゃんと勉強して、マーケティング的に正しいという信念でやっているのにどうしてこうなっちゃうんだろうな、という残念な気持ちになるわけです。そんなときに救いになるのが社外のネットワークで、他の会社で似たような役割をしているマーケッターに自分のアイデアについて話をすると、「お前それサイコーじゃん!」みたいになるわけです。違う視座に救いはあって、それが幸せを求めていく一つの技術だと思います。

高橋:僕もまさに会社員時代、社外で新規系のことをやっている人と必然的に出会って仲良くなっていったんですが、そういう人たちの中には、結局会社を辞めていってしまう人も多いんです。もちろん社内のことだけが理由ではないけれど、残念な気もするんです。大企業って素晴らしい環境だし、その中で活躍し続けられたらいいのに、と。

富永:大きな会社は基本的にピラミッド式になっていて、上に行けば行くほど振り落とされるわけですが、それでも「みんな頑張れば上に行ける」という幻想を抱いている状態が、ある意味企業にとっては大事なんです。みんなを褒めるだけだと競争心は生まれにくいから、悔しいと思って頑張るバネが必要だと大きい組織は考えます。役職や給料に差をつけることで、「人間は比べちゃう」という性質を最大限活用する仕組みなんです。

高橋:社内での評価制度をなくすることは難しいんでしょうか。世の中では、評価をなくしたほうが成果が上がるかもしれないと論じている人もいると思いますが、少し前にある大企業の人事担当の方とこの話をしたときは、「評価制度をなくすのは難しい。一番の理由は報酬の公平性が必要だから」と仰っていました。

富永:ただ評価制度をパッと外すのは乱暴だと思います。評価が一切ないのなら、社員一人一人が自律的に、役割や、やりたいことを見つけられて、それを完遂できないとうまくいかないので。そういう組織設計はとても難しいから評価制度があるのですが、ただ、一回悪い評価を受けると、「俺はもうダメだ」と落ち込んでしまう人もよくいて、それはまずいんです。仮に何かの理由で低評価を受けても、そこで一度リセットされて、気持ちを切り替えられるような制度設計が大事です。評価っていうのは、けなされる人も生み出してしまうリスキーな仕組みなんです。悪い点数をつけられても、後にチャラになるようなセーフティネットがないと、組織全体が縮小傾向になる気がしますね。

競争させた方が、成果は上がるのか

高橋:社内で競争させた方が成果は上がるんでしょうか。

富永:環境によります。競争させた方がいい場合というのは、会社全体がどっちの方向に行ったらいいのかという指針があいまいで、売上などの数値目標が大きい状態の時なんです。世の中をこうするんだとか、こんな面白いことをするんだという売上よりも高次のレベルの目的が定義されていると、競争では立ち行かなくなって、奇しくも同じ読み方の「共創」のほうが機能するようになります。

高橋:なるほど! 結局、どうすればいいかわからないから、競争させるのが一番効率が良くなってしまうんですね。僕、もう一つの方の「共創」っていう言葉があまり好きじゃなかったんです。みんなすぐ「共創だ!」とか言って、なんだよ、って思ってたけど、今お話を聞いて分かったのが、成し遂げたいことが曖昧なのに共創って言ってるのが違和感だったんだなと。コワーキングスペースとかに集まって、雑談して、「やっぱ共創って大事だよねー」って言ってる感じにすごくもやもやしてたんです。「仕事しろよ!」みたいな。だから、共創ってのは、「こんな価値を作りたい!」を共有するのが先で、旗を立ててから機能することなんですね。

富永:そうですね。

高橋:でも、そもそも作りたい価値を見つけることは難しいですよね。だったら、まず競争してみるのもアリな気がしてきました。僕の本業であるゲーム開発でも、少なからず「競争心」が生まれる仕組みを作らないと面白くならないんです。だから、さっき富永さんがおっしゃった、いわゆる競争で負けたとされたときの敗者復活のシステムをすごく丁寧に作る必要があるんですね。ゲームは何回やってもいいわけだし。

富永:競争心は元々人間の中にある根源的な感情ですからね。

<※後日公開の後編へ続きます。>

【富永朋信さんの新刊情報】

書名:「幸せ」をつかむ戦略
定価:(本体1,600円+税)
出版社:日経BP社
Amazon商品ページ https://amzn.to/39Gw5p6

世界的ベストセラー『予想どおりに不合理』でおなじみ、
行動経済学の権威、ダン・アリエリー(デューク大学教授)が語った、前代未聞の衝撃的幸福論!

本当の幸せはお金や地位ではなく、自分の意思で自由に振る舞えることにあるのではーー。
日本を代表するマーケティングのプロ・富永朋信は壮大な問いの答えを求め、アリエリーのもとへ。
消費から夫婦関係、子育て、従業員のモチベーションに至るまで、「幸せ」に関する8つの質問に対し、アリエリーが語った驚くべき回答とは?

・なぜアマゾンが超便利なのに、「本屋に行きたくなる」のか?
・「パートナーとの関係」が年々悪くなるのはなぜ?
・初めて付き合った相手と「結婚」した人と、10人と付き合った末に結婚した人はどっちが幸せ?
・「子育ての辛さ」を軽減し、喜びや幸せをより実感できる方法は?
・消費者や従業員に「愛される企業」になるには?

【今回の話し手プロフィール】

富永 朋信(とみなが・とものぶ)
Preferred Networks執行役員・最高マーケティング責任者。日本コカ・コーラ、西友などでマーケティング関連職務を歴任し、ドミノ・ピザ、西友など4社でマーケティング部門責任者を拝命。社外ではイトーヨーカ堂、セルムの顧問、厚生労働省年金局年金広報検討会構成員、内閣府政府広報室政府広報アドバイザー、駒沢大学非常勤講師などを務める。日経クロストレンドなど、マーケティング関連メディア・カンファレンスなどのアドバイザリー、ボードメンバーなど多数。

【聞き手プロフィール】

高橋晋平(たかはし・しんぺい)
株式会社ウサギ代表取締役、おもちゃクリエーター。あらゆるジャンルを「遊び化」することを考え、月曜日を楽しくする方法の研究もしている。全国で講演活動も。近著に『企画のメモ技』(あさ出版)。Twitter : https://twitter.com/simpeiidea

※月曜を楽しくしたい人のコミュニティ「月曜クラブ(月ク)」が立ち上がりました。ご興味のある方は、Facebook、Twitterをフォローしてみてください。
Facebook 月曜クラブ(月ク) https://www.facebook.com/getsuyouclub/
Twitter 月曜クラブ(月ク) https://twitter.com/getsuyouclub

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