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米国の新型コロナウイルス感染症との戦いに貢献するIBMの超高性能スーパーコンピューター「Summit」

2020.03.12

テクノロジーは数十年にわたり科学の進歩の中核を担ってきた。

ペタスケールの壁を破る初のスパコンとしてIBM Blue Geneスーパーコンピューターが登場し、 ヒトゲノムの解読において重要な役割を果たすようになったのは、 わずか16年前のこと。

そのブレークスルーによって、 新薬や新たな治療法につながる道が拓かれ、 ヒトの大脳皮質の1%程度に相当する16億個のニューロンと約9兆個の接合部から成るモデルをBlue Gene上でシミュレートできるようになり、 あらゆる創造物の中で最も複雑なコンピューターである人間の脳に対する理解が進んだ。

しかし、 より喫緊の対応が求められる問題もある。 その1つが、 米国疾病予防管理センター(アメリカ合衆国ジョージア州アトランタ)の最新報告で、 南極以外の全大陸の84カ国に拡大したと指摘された新型コロナウイルス感染症(COVID-19)だ。

米国エネルギー省は、 このCOVID-19との戦いに、 強力な味方として新たにIBM製のスパコン「Summit」を投入することを発表した。

ウイルスが細胞に感染する際には、 細胞に結合して、 「スパイク」と呼ばれる突起部分で自身の遺伝物質を宿主細胞に注入する。

ウイルスのような新しい生体化合物を理解するには、 研究室で微生物を培養し、 それが新しい化合物の取り込みにどう反応するかを確認。

そのプロセスは、 考えられる変数の範囲を絞り込むためのデジタル・シミュレーションを実行できるコンピューターがなければ効率よく進められない。

しかし、 そのようなコンピューターを利用できる場合でも、 課題がないわけではない。

コンピューター・シミュレーションによって各変数がさまざまなウイルスとどのように反応するかを調べることはできるが、 それらの変数がそれぞれ何百万あるいは何十億という一意のデータで構成され、 なおかつ複数のシミュレーションを実行する必要性を伴う可能性がある場合、 汎用ハードウェアでは極めて時間のかかるプロセスとなってしまうからだ。

そこで、 研究者がSummitを利用すると、 わずか数日で8,000種類もの化合物に対してシミュレーションを行なうことができた。

ウイルスのスパイクと結合して、 COVID-19の感染プロセスに影響を及ぼし得る化合物のモデルを作成することに成功し、 COVID-19の宿主細胞に取り付いて感染する能力を弱める可能性のある薬剤や天然化合物など、 77の低分子化合物を発見したのだ。

Researchers enlist Summit supercomputer to combat coronavirus

この研究の主席研究員であるジェレミー・スミス氏(テネシー大学の理事会議長、 テネシー大学/オークリッジ国立研究所 分子生物物理学センター ディレクター)は、 「われわれが必要とするシミュレーション結果を素早く得るには、 Summitが必要不可欠でした。

普通のコンピューターなら数カ月かかっていたところを、 1-2日で終えることができたのですから。

まだCOVID-19の治療薬や治療法が見つかったわけではありませんが、 今回発見された化合物は今後の研究に必要な情報をもたらし、 さらに調査を進める実験者が利用するフレームワークとなることを大いに期待しています。

それによって、 これらの化合物のいずれかがこのウイルスの抑制に必要な特徴を示しているかどうかが分かるでしょう」と述べている。

Summitが同研究チームに提供した大規模データ処理能力は、 4,608ノードのIBM Power Systems AC922サーバー(POWER9プロセッサー 2個とNVIDIA Telsa V100 GPU 4個を搭載)によって実現されている。

Summitは、 200ペタフロップスのピーク性能を発揮し、 100万台のハイエンド・ノートPCが提供する性能を超えるよう設計された。

2018年に世界最高性能スーパーコンピューターとして登場以来、 Summitは、 宇宙の起源を理解するための支援や、 オピオイド危機を理解するための支援、 人類の火星着陸を実現する方法の提案などを通して画期的な研究を促進することで、 その称号を不動のものとした。

IBMから同時期に提供されたSummitとその姉妹機である米国ローレンス・リバモア国立研究所のスパコンSierraは、 人類の向上に役立つ革新的テクノロジーの実現を目指すIBM社員とIBMパートナーの献身的な取り組みの証ともいえる他に類を見ない素晴らしい功績だ。

Summitがこの最新の研究によってその貢献度を高めていけるかを期待して見届けたいと思う。

画像提供:ミコラス・スミス(Micholas Smith)氏/オークリッジ国立研究所、 米国エネルギー省

この化合物(グレー部分)は、 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のスパイクタンパク質(青緑色部分)に結合することで、 ヒトのアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)受容体(紫色部分)に取り付くのを阻止するとの計算結果が出た。

*本記事は、 US Dept of Energy Brings the World’s Most Powerful Supercomputer, the IBM POWER9-based Summit, Into the Fight Against COVID-19の抄訳。

関連情報:https://www.ibm.com/jp-ja

構成/DIME編集部

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