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再開の見通しが立たないJリーグ…FC東京、湘南、鹿島の現状は?

2020.03.09

 日本のプロスポーツに先駆けてJリーグが2月26日から3月15日までの公式戦全94試合の延期を決定してから10日あまりが経過した。
「『この1~2週間が瀬戸際』という政府の専門家会議の発表を受け、Jリーグとして協力することにした」と村井満チェアマンは決断理由を説明していた。しかし、新型コロナウイルスは感染拡大に歯止めがかかるどころか、感染者が増加の一途を辿っている。

「再スタートするに当たって『こうだから』という明確な理由がないと難しいと感じています。現状はあまりよくなっていない。今、再開となると、無観客とか飛び道具を使っていかないと無理じゃないかと思います」とFC東京の大金直樹社長も顔を曇らせた。3月の日本代表活動も中止や延期になっていることを踏まえると、早くても再開は4月にズレ込みそうな雲行きだ。

J各クラブの対応は?

 先行きが見えない中、各クラブは少しでもモチベーションを上げて、再開後に備えようとしている。8連休を取ったジュビロ磐田、5連休を取ったヴィッセル神戸のようなチームもあるが、大半は通常通りのスケジュールで動いている。しかしながら、コロナ対策で練習の一般公開やファンサービスを中止。メディア対応にも制限をかけているところが多い。

 J1を例に取ると、メディア完全非公開で選手・監督取材も不可としているのがベガルタ仙台や横浜FC。取材日を限定しているのが柏レイソル、FC東京、セレッソ大阪などだ。FC東京は3月に入ってからまだ1回しか公開日を設けておらず、今後も週1~2回に制限していく意向。「万が一、選手や関係者に感染者が出たら取り返しのつかないことになる」という危機感から、やや厳格な対応を取っているようだ。練習見学は基本的にOKだが、選手取材はビデオアプリを通して行うという浦和レッズのようなクラブも出現し、番記者からは「本当にやりづらくなった」というボヤキも聞こえてきている。

 鹿島アントラーズや川崎フロンターレ、湘南ベルマーレなどは今のところ、通常通りの取材対応になっているが、各地域の感染者数の推移次第ではどうなるか分からない。「茨城県は3月7日現在で感染者ゼロ。それをクラブスタッフも誇りに思っているようです」と伊藤翔も話していたから、その前提が崩れた時が怖い。
 実際、横浜F・マリノスも3月1週目までは報道陣の練習見学・選手取材ともにOKとなっていたが、2週目以降はインタビュー可能日が週2回のみに制限された。「終息が長引いていることを加味して」という理由だから、他も追随する可能性が高い。新型コロナウイルスというのは我々メディアにとっても手強い難敵なのだ。

悲願のJ1制覇へ、力強い一歩を踏み出したFC東京

 厳しい取材環境の中、筆者はこの1週間でFC東京、湘南、鹿島の3チームを回ったが、現時点ではどこも再開予定の18日を視野に入れて活動していた。休止期間には3~4試合の練習試合を組んで実戦感覚を高め、過密日程を乗り切れる体力的なベースも養っていく意向だ。

 まずFC東京だが、今季はAFCチャンピオンズリーグ(ACL)のプレーオフ・セレスネグロス(フィリピン)戦が1月28日にあったため、1月初旬には始動。2月にはACL2試合を消化し、いい流れで2月23日のJ1開幕・清水エスパルス戦に突入していた。1点を先制されながら、ディエゴ・オリヴェイラ、アダイウトン、レアンドロの外国人助っ人トリオの3ゴールで逆転勝利。悲願のJ1制覇へ力強い一歩を踏み出したところだっただけに、予期せぬ中断はやはり痛手。長谷川健太監督も「休止が決まった当初は選手たちも『気もそぞろ』という感じだった」と打ち明ける。

 それでも3月1週目に入ると本気モードを取り戻した様子。再開後はACLとJ1の超過密日程を強いられるため、ここで戦力アップをしておかなければいけないという危機感が強まったのも大きい。加えて言うと、6月以降は東京五輪のために本拠地・味の素スタジアムが使えなくなる。昨季も2019年ラグビーワールドカップ開催でアウェー8連戦を強いられ、終盤の失速につながった。その苦い過去があるだけに、「清水戦で出た課題を今のウチに修正しておかないといけない」と室屋成も強調する。長期離脱中の永井謙佑や東慶悟も4月になれば復帰できる予定。これがいい休養になるのかもしれない。

突然生まれた休止期間を有効活用する湘南

 一方、湘南も2月21日のJ1開幕・浦和レッズ戦を2-3で落としたものの、「いい内容で戦えた」という手ごたえをチーム全体がつかんでいた時だったんで、突然の空白期間が生まれたことには悔しさもあるようだ。だが、その開幕戦でゴールを挙げた山田直輝が「僕らは(チョウ・キジェ監督のパワハラ騒動があってチームが激震に見舞われた)去年の方が大変でしたよ。僕らだけ振り出しに戻されるみたいだったから」と言うように、彼らには今回のアクシデントより高く険しいハードルを乗り越えてきたという自負がある。

「公式戦がないのは難しさもありますけど、人それぞれにモチベーションはある。今の時間でレベルアップできることも沢山あると思うので、僕はそのために時間を使いたい。マスクをしたり、車で移動したり、手を洗うとかコロナ対策をしっかりして毎日を過ごしたいです」と東京五輪世代の齊藤未月も前向きに話していた。
 湘南の場合、昨季はJ1昇格プレーオフに回る羽目になり、ギリギリのところで残留するという苦い経験をした。戦力的にもアンドレス・イニエスタらスター選手を並べる神戸などとは差があるため、今季も下位争いをするのではないかという厳しい見方をされている。その下馬評を覆すためにも、突然生まれた休止期間を有効活用しなければいけないという思いは強い。齊藤も「再開されたら試合も詰まって超過密日程になる。キツい時期も来ると思うけど、そこでタフに戦えることを証明しないといけない。僕らは総力戦で戦えるチームなんで、その方がチャンスかもしれないと思います」と語気を強める。それだけのフィジカル的ベースを築き上げることができるのか。湘南のチャレンジは続く。

開幕ダッシュに失敗した鹿島にはチャンス

 この期間をFC東京や湘南以上にポジティブに捉えているのが、開幕ダッシュに失敗した常勝軍団・鹿島だ。ザーゴ新監督が就任し、メンバーも大幅に入れ替わった今季はチーム作りが明らかに遅れていた。1月28日のACLプレーオフ・メルボルン戦を落とし、2月23日のJ1開幕戦・サンフレッチェ広島戦も0-3と大敗と、ここまで全くと言っていいほど結果が出ていなかっただけに、新たな準備期間をもらえたことは非常に大きいようだ。

「もちろんコロナの被害に遭った人がいるんで大変だと思いますけど、チームが明らかにフィットしてなかったから、この中断期間を有意義に使うのは大事。今のところは使えていると思います」と伊藤翔は言う。今季からキャプテンに就任した三竿健斗も「ウチはキャンプでもコンディションを上げることしかやってなかった。戦術的なところを今、すごく時間をかけてやれてますし、練習試合も中2日ペースでやってるので、チーム完成度や理解度を高めるいい期間になってます」と明るい表情を見せていた。
 負傷や体調不良で離脱している内田篤人や奈良竜樹らも回復時間を得られたため、選手層を厚くすることも可能ではないか。

「鹿島はどんな状況でも結果が求められるチーム」と名古屋グランパスから加入した和泉竜司もコメントしていたが、開幕節を終えてJ1最下位という順位は誰も納得していない。再開後は爆上げが必要になってくる。和泉や永戸勝也ら移籍組や上田綺世や杉岡大暉、町田浩樹ら東京世代の若い才能も集まっているだけに、全員が戦力として使えるようになれば、巻き返しのチャンスは必ずある。
 東日本大震災が起きた2011年も中断期間をうまく使った柏レイソルがJ1昇格1年目で優勝という史上初の快挙を果たしたが、開幕で大敗した鹿島が同じような軌跡を辿らないとも限らない。常勝軍団の今後に期待したいものだ。

取材・文/元川悦子

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