人気のタグ
おすすめのサイト
企業ニュース

オリンピック、コロナウィルス、AIが社会に変化をもたらす日

2020.03.08

株式会社ユニメディアのCTOの森川敬一です。2020年は、東京オリンピック、ブレグジット、アメリカ大統領選とビッグイベントが目白押しで、さらに「5G」の開始も同じくこの2020年となっています。

5Gの開始直後に使える範囲は限定的で、大容量の部分(低遅延、多接続は今後開始予定)のみではありますが、次世代の幕開けを感じます。2015年10月に安倍総理は、“2020年には東京で自動運転車が走り回っている”と宣言しました。これは、完全自動運転が可能となる「レベル4」と言われる自動運転を実現するという事となります。しかし2020年になった今、現在の感じでいうと実現は難しそうです。法律的にも技術的にも完全自動運転が出来そうな状態はまだ先のように思いますが、その他の部分ではAIがオリンピックに関係してくるのは間違いなさそうです。

オリンピックとAI

1.ロボット

 記憶に新しい例として、2019年9月にオムロングループが、音声対話型AIを搭載した案内ロボットの試験運転を京王線新宿駅で開始しました。JRでは、「Tokyo Robot Collection」の一環としてAI案内ロボットのイベントが2日間に渡り開催されました。日本語だけでなく、英語、中国語、韓国語に対しての会話をサポートした様です。さらに、羽田空港を運営する日本空港ビルディングは、2020年をターゲットに政府が進めるプロジェクト「改革2020」の一つとして、国土交通省および経済産業省と連携し「Haneda Robotics Lab」を開設。ロボットの導入を加速させるための実証実験も行なっています。2016年9月には、「清掃ロボット」「移動支援ロボット」「案内ロボット」の3テーマでロボット技術を公募し、17種のロボットを採択したと発表しました。

 私も掃除ロボットを利用していますが、掃除ロボットはとても便利だし、人口減少となった日本では、オリンピックと関わりなく人手不足を補うために重宝されると思います。移動支援ロボットについても、完全自動運転車まで行かなくとも、限られた場所・限られた移動ルートであるならば実用化は全く問題ないレベルでしょう。このロボットに使われているAIは、画像映像系AIで床・壁の判定や障害物の判定を行い、音声系AIと文章系AIで会話処理を実現しています。2020年はロボティクスの幕開けとなりそうです。

2.渋滞緩和AI

 電車に乗ると、オリンピック時に向けた電車混雑緩和の協力メッセージを目にする様になりました。遅くまで運行するため時差出勤をしましょう、という趣旨のものです。電車だけでなく車の渋滞も発生すると予想されています。オリンピックにより、観光客の移動だけでなく、それに関連する食料や物資等の様々な物流も混雑するものと思われます。これに対しては、情報処理系AIを利用することにより渋滞予測が行えます。混雑が予測されるルートの工事を事前に行ったり、物理的な事前措置を行ったり、電車のメッセージの様に人の移動を操作する事により、渋滞緩和が可能となります。よく東京の渋滞がヒドイという事を言う人がいますが、東京は渋滞緩和機能がとても洗練されている都市です。東京の昼間人口は海外と比べて非常多いものの、地下鉄も多く、高速道路も完備され、道路も綿密に設計されているため今のレベルを保てています。海外の渋滞はとてもヒドイです。インドネシアやフィリピン等も非常に渋滞しますし、私がよく行くモンゴルでも渋滞はとんでもなくヒドイです。それに比べ、東京都は渋滞予測系AIのおかげで今の交通状態が保たれているといえるでしょう。

3.セキュリティ

 最近のドラマや映画にも描かれていますが、AIを搭載した監視カメラにより、単に録画監視するだけでなく、異常な動きを自動で検出して事前に事件や事故を防ぐ事ができます。人のパニック行動をチェックしたり、不審なモノを自動的にチェックしたり、危険人物も登録しておけばAIが自動で検知する事になります。

 さらに監視には、ドローンも使われる事になるでしょう。もちろんプライバシー問題と表裏一体となる問題ではありますが、オリンピック期間中は特にこうしたセキュリティ強化が行われると思われます。また、入場管理もAIカメラが使われるようです。特に東京オリンピックでは、チケット転売問題に対して非常に厳しい対策を取っているため、事前に写真データを登録し、入場時にカメラで自動チェックという流れになると思います。

4.スポーツ系AI

 平壌オリンピックでは、北海道大学院の山本雅人教授とその研究室で開発したカーリング戦略AI(人工知能)「じりつくん」が試合分析を行い、日本の勝利を予言した例がありました。カーリングの様に氷の上を滑る速度から石を弾いた時の軌道などは、正にAIの得意分野です。従来は、選手のカンと呼ばれる経験値の中から、このくらいと言った感じで選手の頭の中のみで定義されていたものが、AIにより具体的に数値で表されます。これにより試合中に戦略指示を出すことも出来ますが、日頃からAIを使った訓練は試合でのパフォーマンスに大きく影響するでしょう。

 カーリング以外にも様々なスポーツにおいて、トレーニング方法など効率的な体作りや練習の仕方、試合シミュレーションによる想定練習、相手の弱点を導き出し勝利に近づく事も可能となります。これには、情報処理系AIの進化にもよりますが、IoTによる大量のセンシングデータの取得やドローンによる様々な角度からの映像撮影、そして、画像映像処理AIによる分析により実現されます。

 さらに、東京オリンピックでは、複雑な体操競技・フィギュアスケートなど10競技の採点をAIが行うことが決まっている模様です。今回が初となるため、人による判定とAI判定と二本立てになるのではと思います。これまで、人による判定ミスやブラックボックス化していたものが、AI判定によってジャンプの高さや回転スピード、腕・膝の角度などが具体的に数値で示されるようになります。競技者・観戦者ともに理解しやすくなり、競技の面白さが倍増する可能性にも繋がりそうです。

危機管理(コロナウイルス)とAI

 2020年は年初からコロナウイルスの脅威にさらされています。国内外で、加速度的に感染者が広がっています。正に映画でよくある様に、対応が進むよりも速く、人知を超えた広がりをみせている状況となっています。この危機管理というものを人が行うには、本当に多難であると今回改めて思いました。早々に在宅勤務を指示した企業もあれば、時差出勤等を設けず対応に二の足を踏む企業もあります。私の場合は、モンゴルへの渡航を中止しましたが、今回はモンゴルに在籍するエンジニアへ評価のフィードバックをするタイミングであったため、非常に重要でありギリギリまで悩みました。渡航しても普通に帰国できた可能性もありましたし、本当の意味での正解は誰にも判りません。

 海外からは日本の危機管理力が弱いとの指摘もありますが、正直なところ、自分がその危機管理責任者であったらどう判断するのか非常に難しい内容です。

 今回の様な危機管理を人が対応しようとすると、情報不足であったり、情報整理が困難であったり、ジャッジに情が入ったりと、常に適切なジャッジを行い続けるというのは厳しい状況です。このような時こそ、AIにジャッジをさせれば良いと思うのです。AIであれば、海外含めたニュース、専門家データ、過去データ、SNSでの国民感情等の詳細かつ大量なデータ分析も得意であり、冷静で安定したジャッジを行えます。情報処理系AIの得意とする部分でもあるし、AIのジャッジとなれば公平性や納得度もあがります。もちろん、全てをAIだけでジャッジするのは危険かもしれません。しかし、政府AIの意見を参考にしながら人間が最終的な判断を下すというのは、未来の可能性として十分に考えられます。

 近い将来、TVニュースで政府系AIや東大AI等がコメンテーターとして登場する日が来るのではと思っています。特に、情報分析分野では一気にAIが普及してくるでしょう。人間独自の独創的なアイデア等は「人間しかできない」部分ですが、大量データの分析や、今回の危機管理のように独自性は必要なく的確なジャッジのみが必要な部分であればAIに任せる事が最適であろうと思います。

文/森川敬一 (ユニメディアCTO)

岡山県総社市出身。ホストコンピューターや基幹システムからWEBシステム、ゲーム開発、ADTechなど幅広い業界で様々な開発を手がけており、200名規模の組織を立ち上げマネージメントも経験。国内屈指のネット制作会社IMJの創業期から約10年、取締役兼CTOを務めるなど過去20年間で8社のCTOを務める。現在も、株式会社ユニメディアのCTOとして、AIやブロックチェーンなど最先端テクノロジーを活用した技術やサービス開発の指揮を執る。経営と開発の両視点から、企業のデジタルトランスフォーメーションを加速させるテクノロジーの実用化を推進している。

@DIMEのSNSアカウントをフォローしよう!

DIME最新号

最新号
2020年3月16日 発売

特別付録は進化した「超望遠12倍スマホレンズ」!5Gの最新情報や今買うべき新製品を一挙紹介!

人気のタグ

おすすめのサイト

ページトップへ

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 10401024号)です。詳しくは[ABJマーク]または[電子出版制作・流通協議会]で検索してください。