
©︎PIECE OF PEACE
LEGO, the LEGO logo and Minifigure are trademarks of the LEGO Group. ©︎2020 The LEGO Group.
渋谷PARCO、池袋PARCOで、3月15日(日)まで、世界遺産をレゴブロックで表現する「PICES OF PEACE レゴブロックで作った世界遺産展 PART4」が開催されている。
4回目となる今回の展示では、新たに日本の「古都京都の文化財レゴブロック作品:清水寺」やペルー共和国「ナスカとパルパの地上絵」などの15作品が追加され、両会場合わせると世界30か国、60作品を展示。
スペイン/アントニ・ガウディの作品群 (レゴブロック作品:サグラダファミリア)
【PICES OF PEACE 『レゴブロック』で作った世界遺産展 PART4】
会期:2020年3月15日(日)まで
会場:渋谷PARCO4階「PARCO MUSEUM TOKYO」、池袋PARCO本館7階「PARCO FACTORY」
入場料:渋谷・池袋いずれか1会場のみ 大人(中学生以上)300円、小学生150円、小学生未満無料、
渋谷・池袋2会場セット 大人(中学生以上)500円、小学生200円、小学生未満無料
同展の「LOVE EARTH PROJECT」では「レゴブロック/世界遺産×アート」をテーマにし、国内外のアーティストとの競演を実現。渋谷会場(渋谷PARCO4階)では、ミニチュア写真家・見立て作家として知られる田中達也さんの作品も鑑賞できる。
ミニチュア写真家・見立て作家
田中達也さんはレゴブロックで「見立て」の世界を表現
田中さんは今回、レゴブロックを使った「見立て」の世界を表現。渋谷会場を取材した筆者は、田中さんご本人にレゴブロックの魅力や今回の展示への想いについて伺った。
――以前からレゴブロックとの関わりは深かったのでしょうか?
そうですね、僕は元々レゴブロックが好きで、大きいものも含めてかなりのコレクションがあります。相当の数を集めていますね(笑)。過去には、何度もレゴブロックを使った作品も作っています。
一昨年の夏、この展示の「PART3」が鹿児島で開催されたんです。その時、私が「鹿児島の作家」ということで、テレビ番組の特集で展示を訪れる機会がありました。その時、担当の方に僕の過去の作品を見せたところ「何か一緒にやりたいですね」という話になり、今回の展示が実現しました。
――今回はこの展示のために作品を作られたのですか?
はい、レゴブロックで何かを作るのも好きなんですけど、やはり僕としては「ミニチュアと見立て」をポイントにして「ブロックを何かに見立てる」ことにしました。全部で10個くらいのアイデアがありましたが、今回はその中からベストなものを6つ選んでいます。
あと、「誰がどう見てもレゴブロックとわかるパーツだけを使う」ことも意識しました。レゴブロックにもいろいろなパーツがありますが、今回の作品は変わった形のパーツではなくて、みんなが使う「基本ブロックだけ」で作っています。
©︎PIECE OF PEACE
LEGO, the LEGO logo and Minifigure are trademarks of the LEGO Group. ©︎2020 The LEGO Group.
6作品のうち、レゴブロックを裏返して使っているものが3つ、残り3つは表側を使いました。同じ基本ブロックでも、表裏・色によって見え方が違うのもレゴブロックの面白いところです。
実は、この展示用の什器自体がレゴブロックに見えるようにしています。そこから「8個かな、10個かなと」と展示の作品数を考え始め、最終的には6点にまとめました。
――田中さんにとって、レゴブロックの魅力はどのような部分にあるのでしょうか?
レゴブロックには「いつものブロックがこう化ける」という楽しさがありますよね。他の作家さんとも話していたのですが、「このパーツをそう使うか!」という驚きをみんなで競い合えるというか。
レゴブロックを見る時は、誰しも自然と頭の中で「見立て」をしているはずです。僕の作品を見て、改めてそのことを意識してもらえたらと思っています。シンプルなブロックだけど、自分の頭で補完すれば何にでもなる可能性と言いますか。
――作品を作る過程で苦労された点はありましたか?
一度頭の中でアイデアが固まってしまえば、そんなに苦労することはありません。ただ、今回はそれぞれの作品の細かい部分、例えば「人形同士の人間関係のつながり」などにこだわりました。
©︎PIECE OF PEACE
LEGO, the LEGO logo and Minifigure are trademarks of the LEGO Group. ©︎2020 The LEGO Group.
コインランドリーの作品でいえば、親子がいて、作業をする主婦がいる。待っている男女は、「この後、付き合うのかな?」とか。(笑)
自動販売機の作品では、夏の暑い時期にキンキンに冷えた飲み物を買う様子を表現しています。誰でも、そこから会話や季節感をイメージできるよう意識しました。
――今回の作品を観て、訪れた方に何を感じ取ってもらいたいですか?
子供たちには、たくさんのレゴブロックがなくても工夫して、自分の頭で補完して遊んで欲しいなという思いがあります。今回の作品を観て家に帰ったあと、自分の持っているレゴブロックでぜひ「見立て」をしてもらいたいですね。
レゴブロックは、立てるだけでも街並みのようになります。そこに怪獣や人形を組み合わせるとか、あるものを自由に組み合わせてみてほしいです。作品を観て、そういう可能性を感じてもらえたら嬉しいですね。
――ありがとうございました。今後も作品も楽しみにしています。
すっかり田中さんの作品に魅了されてしまい、帰り道に渋谷の街がレゴブロックに見えてきた筆者であった。
昨年11月、日本の伝統行事や風景、食べ物に関連した作品を集めた田中達也さんの写真集『MINIATURETRIP IN JAPAN』が発売された。同展の作品が気になった方は、ぜひチェックしてほしい。
ミニチュア写真家 田中達也さん
1981年、熊本県生まれ。広告などのアートディレクションに携わっていた中、趣味で始めたInstagramが人気となり、ミニチュア写真家に転身。自身のHP「MINIATURE CALENDAR」で、毎日1作品をアップし続けている。
『MINIATURE TRIP IN JAPAN』
数ある中から、日本の伝統行事、風景、食べ物に関連した作品をセレクト。日本語と英語を併記し、急増する訪日外国人観光客に楽しく日本の文化と〝見立て〟の世界を知ってもらえるよう制作中の田中さんの意欲作。132ページ。1800円+税。小社刊。
取材・文・撮影/久我裕紀