
世の中に星の数ほどあるスタートアップ企業。その中で、特に資金調達金額の多い新進気鋭の企業は、いったい、どこなのだろうか?
成長産業支援事業を推進する会社「フォースタートアップス」では、継続的に調査を行い、同社サービスである「STARTUP DB (スタートアップデータベース)」に調査結果を公開。今回は、2019年を対象とした「国内スタートアップ資金調達額ランキング(2019年通期)」が発表された。
調達金額の多いスタートアップの特徴とは?
今回は、各スタートアップが2019年に調達した累計金額がTOP50でランキング化された。
1位は累計調達金額が唯一200億円を超えたEPARKとなっている。まず注目すべき点は累計調達金額が100億円を超えるスタートアップが2018年は、JapanTaxi、Blue Planet-worksの2社だったが、2019年は4社あること。
調達金額が大きくなっている要因の一つには海外投資家が関わっている影響があると推測される。
2019年8月にフロムスクラッチが行った100億円の調達には海外投資家であるKKRが含まれており、Paidyが調達した172.5億円にはゴールドマン・サックスを含む5つの海外投資家からの融資が含まれている。
さらに11位にランクインしているSmartHRも、2社の海外投資家を含む調達で、61億円を集めた。ランキングの1位から25位で、調達金額の多いスタートアップの領域を見てみると、3つの領域が挙げられる。
ひとつは、宇宙・製造・研究開発を含めるディープテック。ティアフォーをはじめ、SynspectiveやMUJINなど合計8社含まれていた。次に多かったのは、フィンテック。
ランキング2位のPaidyをはじめ、ウェルスナビや五常・アンド・カンパニー、ディーカレットなど合計4社だった。
3つ目はSaaS。1度に100億円を調達したフロムスクラッチ、SmartHRやウイングアーク1stの3社が含まれている。これらの領域が2020年どのように成長していくのか、注目が集まっている。
最後に、2019年12月に大型調達をした企業を紹介していきたい。
2019年12月に大型資金調達をした企業
■イノフィス
調達金額:35億円
引受先:Fidelity International /TIS/トーカイ/ナック/ハイレックスコーポレーション/ビックカメラ/フューチャーベンチャーキャピタル/ブラザー工業/東和薬品
装着型の作業支援ロボット(アシストスーツ)を提供するスタートアップ。同社が販売するマッスルスーツは、空気圧で稼働する人工筋肉のはたらきで動作を補助する機能を備えている。
人を抱え上げる、重い物を持ち上げる、中腰姿勢を保つ、といった作業時に腰への負担を低減する効果を発揮し、腰痛の予防、労働環境改善や人手不足対 策に貢献。
2019年11月に、さらなる軽量化と大幅な低価格化を実現した「マッスルスーツEvery(エブリィ)」を発売し、従来品も合わせ累計販売台数は5,000台を突破した。
■リノベる
調達金額:40億円
引受先:NTT都市開発
中古住宅をリノベーションするために必要な「物件探し・設計・施工・ローン」を一括で担うプラットフォームの作成及び運営をしているスタートアップ。
個別性の高いリノベーション工事において関係者間のコミュニケーションをより円滑にすることを可能にする施工管理アプリ「nekonote」をリリースし、工事に関するすべての情報を一括で管理するサービスの提供をしている。
■INFORICH
調達金額:30億円
引受先:Chartwell Capital/GMCM Venture Capital Partners/ゴールドマン・サックス/ホリプロ/日本郵政キャピタル
2015年に誕生したマーケティングに特化したスタートアップ。2019年2月に始まった注目事業である「ChargeSPOT」の特徴は、スマートフォン用充電器を各地のバッテリースタンドで貸し出し、返却を行えること。充電器には3種類のケーブルがあり、Micro USB・USB Type-C、Lightningを備えている。
2019年12月現在の国内シェアは97%にのぼる他、既に海外では4カ国にも進出済み。過去の事業には、2016年に展開したPicSPOT、2018年にはLiftSPOTというエレベーターの空間づくりを提供するサービスがある。
【調査概要】
タイトル:「国内スタートアップ資金調達ランキング」
調査期間:2019年通期(2019年1月から12月)
レポート記事:STARTUP DB(https://media.startup-db.com/research/funding-ranking-2019full)
出典元:フォースタートアップス株式会社
構成/こじへい
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