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いよいよ開幕する「VAR元年」のJリーグ、観戦前に知っておきたい注目ポイント

2020.02.21

 93年の発足から28年目を迎える2020年のJリーグ。21日の湘南ベルマーレ対浦和レッズ戦からいよいよ熱戦がスタートする。
 今季は日々、深刻度を増している新型コロナウイルス肺炎の影響が懸念されるところだが、村井満チェアマンは21~23日の開幕節を予定通り開催することを明言。スタジアムに医師の増員し、入場ゲートやトイレにアルコール消毒液を設置したり、大型ビジョンを使って手洗いやうがいを奨励するなど、最大限の注意喚起を行って試合にのぞむことにしている。今後の動向次第では、無観客試合や試合日程の変更もあり得るだけに、何とか収束方向に向かってほしいものだ。

J1全試合でVAR導入へ

 こうした中、やはり注目されるのが、今季からJ1全試合で導入されるVAR(ビデオ・アシスタント・レフリー)。VARに関しては2018年ロシアワールドカップで採用されて以来、「Jリーグもいち早く導入すべき」という声が高まっていた。日本サッカー協会とJリーグは「VARに入れる審判の数が足りない」「仮にメディアセンターを作る場合は映像を送る通信費が高すぎるし、毎回スタジアムに機材と人を送り込むにはカネ・モノ・時間がかかる」といった問題点を指摘していた。

 しかしながら、昨年5月17日の浦和レッズ対湘南ベルマーレ戦で起きた杉岡大暉(現鹿島)のゴール取り消しの誤審などで「VARは絶対必要」という声が一気に高まり、懸案だった審判とコストの問題を一気に解決して今季からの前倒し導入が叶ったのである。

photo:Getty Images

るのか?観客が知っておくべきポイント

 ここで改めて抑えておきたいのは、どんな時にVARが適用されるかという点。プレーに関するところでは①得点かどうか、②PKかどうか、③退場かどうか、④警告退場の人間違い…の4つの事象に限って使われることになる。さらにこれらに加え、ボールがないところでファウルが起き、主審が確認できない重大な出来事も対象になる。

 昨今はDAZNやテレビ中継技術の発達が著しく、ゴールや退場の場面はスロー再生が何度も何度も流される。見ている人の間では「これはゴールだろう」「いや、ラインを割っていない」、あるいは「退場に値するプレーだ」「ノーファウルだ」と意見が分かれることも少なくない。VAR判定はその正解を探すものではなく、「明白な間違い」かつ「ほぼ全員が合意できる判定」を見つけるためのものなのだ。

 最終判断を下すのは、あくまで主審。VARは補助的なものでしかない。そこもしっかりと認識しておかなければいけない点だ。主審に対してVAR担当者から「このプレーはチェックが必要」と助言があったり、逆に「今のシーンはチェックして」と主審が依頼することもあるが、大半はその交信だけで判定が固まる。それでもまだ曖昧な時は、ピッチ脇にあるモニターでの確認(オン・フィールド・レビュー=OFR)となる。
 その際、主審は何度も何度も繰り返して映像を見てはいけない。1回だけで判断するのが大原則なのだ。

「スローモーションで何度も繰り返してみていると、ひどい出来事に見えてくるもの。ボクシングでも、パンチが当たった場面を通常速度で1回見るのと、スローモーションで少しずつ当たる映像を見るを比べると、明らかに後者の方が強く当たるように見えるんです。サッカーでも警告だったはずの反則が退場に見えることになる。そんなことがあったら大変。映像を1回見て『明白な間違い』と判断できるプレーしか取ってはいけないんです」と日本協会の小川佳実審判委員長も話していたことがあった。さまざまな判断材料を駆使してピッチ上で判定を下す主審と、何度も何度もスロー再生を確認して「これは違う」と言えるピッチ外のメディアやサポーターとは明らかに立場が異なる。そこは今一度、頭に叩き込んでおくべき重要ポイントだろう。

レフェリーが確認している映像を大型ビジョンに流すという新しい試みも

 一方で、「レフリーがOFRをしている時にどんな映像を見ているか分からない」という不満の声が観客の間で高まっていたのも事実。それをより明確化させるため、今季JリーグではOFR時の映像を大型ビジョンで流すという大胆なトライに打って出た。こういった試みは2018年ロシアワールドカップでも行われなかったし、誤審続きで物議を醸した今年1月のAFC・U-23選手権(タイ)でも実施には至らなかった。そういった過去の例を踏まえて、Jリーグでは「OFRの映像をスタジアム内で共有することで、判定への理解を高めたい」という方向に傾いたのだ。
 Jリーグの原博実副委員長も「VAR判定で時間がかかっている時、DAZNやテレビを見ている人はリプレイを見たり、解説者の話を聞いたりできるから事情が分かったが、スタジアムにいるお客さんだけが何が起こっているか分からないといった現象があった。そういう状況をなくして、全員が判定に納得できる環境を作りたかった」と説明していた。

 実際に21~23日の開幕節でOFRのシーンが出てくるかは未知数だが、お客さんは映像を確認できるから、違和感や不満は少なくなるだろう。そういった部分も踏まえて、VARが今季J1にどのような影響を与えるかをしっかりと見極めていきたいものだ。

photo:Getty Images

 日本に先駆けて、欧州主要リーグではすでにVAR判定が行われており、肉弾戦がウリのイングランド・プレミアリーグも19-20シーズンから導入されている。同国では「肉眼では気づかないようなオフサイド判定をVARがミリ単位で判断するため、フットボールの醍醐味が減った」「細かい判定に時間がかかりすぎる」「試合が止まる回数が多くなった」といった批判も出ているようだが、世界的潮流には逆らえないのが実情だ。日本もいち早く踏み切らなければ、世界のトレンドに乗り遅れるところだったかもしれない。

 振り返ってみれば、1年前の2019年アジアカップ(UAE)でもVARに慣れていた大迫勇也(ブレーメン)や原口元気(ハノーファー)らドイツ・ブンデスリーガ組と、VARのなかった吉田麻也(当時サウサンプトン、現サンプドリア)らとでは判定への受け止め方が全く違っていた。吉田がVARでハンドを取られた決勝・カタール戦の3失点目に象徴される通り、VARに慣れているか否かで選手の一挙手一投足は大きく変わる。Jリーグ組がその環境に適応していくことは、将来の海外移籍を考えてもプラスだし、日本代表の戦い方も向上するはずだ。最終的には日本サッカーのレベルアップにもつながるのではないか。
 ゴール前での交錯がDF陣にしてみれば「ペナルティエリア内で手に当たったボールはほとんどハンドを取られてしまうから、VARが適用されれば全部PKになってしまう」という嘆き節も出るかもしれない。けれども、世界的スタンダードに合わせていこうと思うなら、そういった判定基準も頭に入れながら緻密なプレーを選択していくしかない。そういった部分を含めて、VAR時代の到来を告げる今季Jリーグが大いに気になるところ。選手たちの一挙手一投足がどう変化するかも注視していきたい。

文/元川悦子

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