
花粉症の権威である大久保先生は、花粉症対策に関する調査研究を長年にわたって積み重ねてきた。そこから判明した花粉の飛来特性と、個人で行なえる具体的な対策方法を○×形式で紹介。正しい知識を身に付けて、より効果的な花粉症対策を実践しよう。
日本医科大学付属病院
耳鼻咽喉科・頭頸部外科
大久保公裕教授
1988年、日本医科大学大学院修了。同大学耳鼻咽喉科 講師、同大学付属病院耳鼻咽喉科 助教授を経て、2010年より現職。
東京都新宿区の四谷に世界最高レベルの花粉症調査研究施設「OHIOチェインバー」がある。約15年前に完成した同施設は、スギやヒノキの花粉を室内で実際に散布できるのが特徴。花粉症関係の医薬品や食品の有用性を確かめる検査のほか、マスクや空気清浄機などの機能評価を、天候や季節に影響されずに行なえるのだ。
そんな同施設の設立に関わり、運営にも携わっている大久保先生は、これまでの花粉症研究をふまえて、マスクやメガネといった花粉症対策グッズの具体的な有用性について次のように話す。
「マスクを装着すると、鼻の中に入り込む花粉量が6分の1程度まで減少します。また、メガネを掛ければ目の粘膜に付着する花粉量が3分の1程度まで減るのです」
なお、花粉に対して強いアレルギー反応が出る人の中には花粉を体内に取り込んでから約90分後に重症化するケースが多いとか。
「そのため、もしも薬を飲まずに外出してしまった場合、少なくとも90分以内には服用したほうがいいでしょう。ちなみに、花粉症のシーズンには、大気中の微粒子における花粉の割合が多い都会から、できるだけ離れて過ごすことをおすすめします。花粉に対する体の過剰な反応を、緩和できる可能性があるからです。環境面も含めて対策を考えましょう」
実際に花粉を飛ばし薬の効き目などを検証!
大久保先生らが設立した花粉症調査研究施設
OHIOチェインバーの中央には、別室から送り込まれるスギおよびヒノキの花粉を散布可能な供給装置を用意。空調をコントロールすることで、室内空間の花粉の濃度を均一に保てる仕組み。なお、花粉の現物は、見るだけで鼻がムズムズし、目がかゆくなってくる。
Q1. 家中に空気清浄機を置けば万全!?
寝室や書斎など空気の流れが少ない空間は加湿器のほうが効果的です。
Q2. 夜になれば花粉は収まる!?
帰宅ラッシュの際には、道端などに落ちた花粉が再び舞い上がります。
Q3. 雨の日は花粉は飛ばない!?
雨が降っている時は安心ですが、あがると同時に飛び始めるので要注意!
Q4. 川のほとりは花粉が少ない!?
川の上空は遮蔽物がないので、山から運ばれた花粉が多く漂っています。
Q5. 湯船に浸かるのは効果アリ!?
入浴は体のコンディションを整えるのに有効なので、実践してください。
Q6. 花粉症が遺伝するのは事実!?
花粉を〝異物〟と認識することには、環境とともに遺伝も左右します。
取材・文/編集部
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