■連載/文具ソムリエール菅 未里の「誘惑文具」
Q:仕事柄、荷物がよく届くため玄関にサイン用のボールペンを置こうと思います。据え置き型で様になるボールペン、なにかないでしょうか?
A:ホテルのフロントなどに置かれているサイン用ペンの定番が、ゼブラの「フロス」です。¥880(税抜¥800)ながらスタンド付きでなかなかスタイリッシュなボールペンなのですが、最近、そのフロスに上位版が出たことをご存知でしょうか。
それがこの「フロス 輪-Rin-」です。
なんとなく「和」のテイストを感じた方は、正解です。輪は訪日外国人の増加を受け、和風を意識してデザインされているためです。具体的には、ホテルのフロントなどに置かれることを想定しているのでしょう。
どのあたりが和風かというと、台座です。上から見ると、日本の伝統的な「七宝柄」になっているんですね。
しかしすごいのは柄だけではありません。台座を持つと分かるのですが、プラスチックにしては妙に重いのです。それは、高級感を演出するために、プラスチックに金属を混ぜ込んでいるためです。
金、赤、黒の3色展開なのですが、金色には真鍮、赤には銅、黒には鉄を混ぜ込んであります。触ると、プラスチックとも金属ともつかない、実に不思議な感触です。塗装ではなく金属の色そのものなので、剥げることがないのもいいですね。
さらには、ペンのグリップが木製なのも、高級感に繋がっています。台座の裏に装着可能な滑り止めシールも付属してくるので、カウンターの上で台座が滑る心配も要りません。
なお、この手のペンの台座はサインを終えた後にペンを戻しそこねる方が多いため(視線が書類に向いているからでしょう)汚れがちなのですが、汚れは消しゴムでとれることがあります。もしダメでも、アルコール系のウェットティッシュで拭けば、かなりの汚れは落ちるでしょう。
文/菅未里
構成/佐藤喬
撮影/篠田麦也