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アウシュビッツ解放75周年、時に埋もれかけていた2つの実話を基にした物語がイギリスで公開

2020.02.09

■連載/Londonトレンド通信

 この1月27日はアウシュビッツ解放75周年だった。それに合わせ、イギリスでは2つの実話を基にした物語が公開された。今となっては知る人も減り、時の流れに埋もれかけていた話だ。

ホロコーストを逃れた子供たちのベースとなったウィンダミア

 1月27日にBBC2で放映された『The Windermere Children』は、1945年8月、ホロコーストを逃れ、イギリスのウィンダミアに送られた300人の子供たちの実話を基にした単発ドラマ。

 ウィンダミアは自然豊かな湖水地方にある。強制収容所から美しい地に送られる子供たち、さぞ安堵したことだろう。だが、それは現代の私たちの感じ方だと冒頭で思い知らされる。着いてもバスから降りようとしない少年がいるのだ。
 
 訳も分からず送られた先が強制収容所だった経験を持つ彼らにとっては、また、訳も分からず送られているにすぎない。そこで苦難が待ち受けていないとはどうして信じられよう。

 そこから、どれほどのトラウマを抱えているかを物語る彼らの行動が続く。

 名前を聞かれると袖をまくり上げて腕に刻まれた数字を見せる少年がいる。与えられたベッドを降りて1つのベッドの下にピッタリと身を寄せ合って眠る幼い子供たちがいる。

 象徴的なのが食事時だ。席に着くと同時に、そこにあるパンをつかみ、自室に走って布団の間などに隠す子供たち、食堂は一瞬で教師だけになる。

 ドラマの最後には、実際の彼ら、90歳前後となった彼らが登場する。彼らがくぐり抜けてきたことに思いをはせずにはいられない物語の後では、その姿を目にしただけで胸が熱くなる。

 夜9時からのドラマが終了してすぐの10時半から、BBC4で同じ題材を扱ったドキュメンタリー『The Windermere Children:In Their Own Words』が続いた。ドラマの最後に登場した彼らが自身の言葉で体験を語る。

 強制収容所では腕に刻まれた数字で呼ばれ、ほんとうの名前を呼ばれることはなかったという。番号が名前だったのだ。

 自分たちは小さかったけれど、まるで家族のように助け合って自分たちで問題を解決したと語る人から、お互いにくっついていることが危険から身を守る彼らなりの方法だったのだと合点がいく。

 家族はもとより名前さえも失っていた彼らが、人間らしい生活を取り戻していく過程を支えた教師たちも忘れ難い。

 受け入れた子供ばかりでなく、彼らをからかう地元の悪童にも、感情を抑え、我慢強く対していく施設長には、自身も強制収容所に入れられた経験があった。

 ウィンダミアで子供たちが過ごしたのは4カ月と短い期間だが、そこを出た彼らが、自分たちのベースになった場所として、そこでの仲間と集うようになったというのもよくわかる。

 ベースになったことのわかりやすい例がベン・ヘルフゴッドだ。体育教師がベンの身体能力の高さを見出し、トレーニング方法を図解した本をプレゼントする。その本を見ながら筋トレに励んだベンは、後に重量挙げの選手としてイギリスチームリーダーまで務めオリンピックに出場する。

 それほど華々しい成果でなくても、普通の生活にも支障があるほどだった子供たちが、それぞれに仕事を得たり、家庭を築いたりしつつ、笑顔の御老人になってそこにいるだけで達成だ。

 ドラマは、英アカデミー賞とエミー賞を受賞しているマイケル・サミュエルズ監督で、英アカデミー賞ノミネートの経験があるサイモン・ブロックによる脚本。イブニングスタンダード紙では、ドラマとドキュメンタリーの両方に五つ星をつけて紹介している。

イブニングスタンダード紙 2020年1月27日版

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