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上司から「あなたは、この仕事に向いていない」と言われたらどう考えるべきか

2020.02.06

■連載/あるあるビジネス処方箋

たとえば、「君は、この仕事に向いていない」と自慢気に語る管理職がいる。このような言葉を浴びせられた時、部下であるあなたはどのように考えるべきか。

私も20代後半の時(1990年代後半)に、当時の上司(40代後半、部長)から言われたことがある。私は、その「向いていない仕事」をその後も続けている。現時点で少なくとも、その上司よりは実績が豊富だ。おそらく、上司だった男性はもう忘れているのだろうが、私の記憶からは消えない。この20数年、「見返してやる」といった思いで、仕事をしてきた。今、振り返ると、「取るに足らない上司」だったと思う。

残念なことに、経験の浅い時はこういう上司の言葉で精神的に潰れてしまう人がいる。私には、気の毒な人に見える。そのようなこともあり、今回、取り上げてみたい。

1つの仕事にマッチするか否かはそれほど重要ではない

かねがね思うのだが、その仕事や職業に適性があるか否かは会社員として重要ではない。特に中堅、大企業ならば、様々な部署や職種、プロジェクトがある。現在の仕事に仮に適性がないならば、人事異動で他部署へ移ればいいだけのこと。

中堅、大企業の社内の仕事の大多数は、相当に広い範囲で平準化、標準化、規格化、マニュアル化されている。これらができているからこそ、多くの社員がある程度の水準まで仕事ができる。だからこそ、大規模な人事異動が行われ、人事評価ができる。業績も中小企業よりははるかにいいのも、このような仕組みがあるからだ。

つまり、1つの仕事や部署、職種にマッチするか否かは、実はそれほど重要ではないのだ。従って、中堅、大企業では新卒時の採用試験で1つの仕事の適性を見極める試験をほとんど行っていない。

むしろ、会社のカラーや社風、文化に染まり、様ざまな部署で良好な人間関係を時間内で作り、仕事をマスターし、実績を残すことができるかどうかを確認するのだ。それができるだけの思考や意識の柔軟性や知的好奇心、常に学習する意欲などが求められる。さらにそれらのベースに必要な適度な競争心、積極性、規律、協調性などがあるか否かだ。中堅、大企業の大多数の社員は、主に1つの仕事を専門的に請け負う自営業やフリーランスではない。あくまで、組織人としての高い力が求められている。

 100歩譲って、その社員が「適性がない」とする。ここで本来は、「適性がない」とレッテルをはった社員をなんとかするのが、マネジメントや育成なのでないだろうか。管理職手当には、そのことまでが含まれているはず。上司として「あいつは適性がない」と育成を放棄するならば、自分の上の役員や人事部などと話し合い、部下をどうするべきかと考えないといけない。そして、何らかの解決策を導くべき。これらが時間内でできてこそ、管理職手当を受け取る資格がある。ここまでできていないと、通常は「管理職」とは言わないだろう。

中小企業やベンチャー企業の場合は?

 では、中小企業やベンチャー企業の場合はどう考えるべきか。私の認識では、メガベンチャー企業(業績が高く、知名度が高い20社ほど)を除く大半のベンチャー企業や中小企業は人事の態勢が整っていない。少なくとも、中堅、大企業に比べ、大きく見劣りする。

たとえば、人事制度や賃金制度が社内の実情や社員の質とかけ離れたものになっている場合が目立つ。考課をする管理職の育成は進んでおらず、考課者研修もあまりない。部下育成のための教育訓練も十分とは言い難い。一般職(非管理職)の仕事力は中堅、大企業に比べると総じて低い。これは、私がフリーランスになった15年間で大変に驚くことだ。小さな出版社(特に100人以下)や編集プロダクション、業界紙の20∼30代の質については言葉を失う場合が少なくない。上司が、仕事をほぼまったく教えていないことすらある。

 こういう状況下で、中小企業やベンチャー企業の管理職が、部下の仕事の適性うんぬんを語る資格や眼力があるのかと言えば、私は極めて疑問だ。おそらく、多くの管理職はそこまで語るだけの資質や力量ではないと思う。仮に部下である社員に「適性がない」とレッテルをはるならば、「管理職であるあなたも適性がないのではないの?」と私は言いたくなる。私の印象では、中堅、大企業と中小企業、ベンチャー企業の間には、管理職の仕事力において克服しがたい壁がある。

 最後に…。仮に現在の上司などに「君はうちの会社や部署、仕事に向いていない」

と言われたら、あえてその場で言い返すこともないと思う。おそらく、その言い分に明確な根拠はないはずだ。そんな冴えている人ならば、部下のことをいちいち構ってはいないだろう。きっと「取るに足らない上司」のはずだ。真剣に相手にする必要はない。どうか、自信を失うことなく、前に進んでほしい。

文/吉田典史

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