
アルツハイマー病は認知症の一種で高齢化により世界的に患者数が急増している。
潜在的需要の大きさから製薬各社が新薬開発を競っているが、治験失敗による開発中止や撤退も相次いでいる。
こうしたなか、世界で初めて認知機能の低下を抑制する効果を示した米バイオジェンとエーザイが開発した『アルツハイマー治療薬』の「アデュカヌマブ」に世界の注目が集まっている。
そんな「アルツハイマー治療薬」について三井住友DSアセットマネジメントがマーケットレポートを公開したので紹介しよう。
『アルツハイマー治療薬』の新薬開発競争が激化
アルツハイマー病は1906年に精神科医のアルツハイマー博士により学会で初めて症例が報告された。
認知症の一種で、記憶や思考能力がゆっくりと低下し、最終的には日常生活も困難になる進行性の病気。
世界の2050年の認知症患者は、2018年の約3倍の1億5,200万人に増えると予測されている。
製薬会社は、『アルツハイマー治療薬』の潜在的な需要は大きく新薬開発を競い様々な仕組みの治療薬を開発してきたが、治験失敗による開発中止や撤退も相次いだ。
米メルクやイーライリリー、スイス・ロシュなどが開発中の治療薬の治験を中止。現在、世界の『アルツハイマー治療薬』はエーザイの「アリセプト」など4種類あるが、いずれも一時的な改善の効果しかない。
こうしたなか世界で初めて認知機能の低下を抑制する効果を示した、米バイオジェンとエーザイが開発した「アデュカヌマブ」に世界の注目が集まっている。
進行抑制効果に注目集まる
米バイオジェンは2019年12月5日、エーザイと共同開発している「アデュカヌマブ」について、投与した患者の認知機能の低下スピードが2割ほど遅くなったとする臨床試験(治験)のデータを米国の国際学会で発表した。
両社は2020年初めに米国で承認申請する方針。認知や日常生活に関わる機能で症状悪化を遅らせる効果が認められ、アルツハイマー病の進行を抑える世界で初めての薬となり、大きな注目を集めている。
承認が実現して商品化されれば、大きな需要が見込めると期待されている。
高薬価への柔軟な取り組みが求められる
世界的に高齢化による社会保障費の増大が予想されるなか、「アデュカヌマブ」はアルツハイマー病の進行を抑える世界で初めての薬として注目されている。
承認された場合、同薬は抗体医薬と呼ぶバイオ医薬品で、錠剤やカプセル剤と違って量産が難しいため、高薬価が予想される。
世界的に高薬価の新薬が相次いでおり、各国の社会保障費とどうバランスしていくか柔軟な取り組みが求められる。
※個別銘柄に言及しているが、当該銘柄を推奨するものではない。
関連情報:https://www.smd-am.co.jp/
構成/DIME編集部
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