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【開発秘話】累計2200万個以上売れているライオン「ルックプラス バスタブクレンジング」

2020.01.18

■連載/ヒット商品開発秘話

 浴室の掃除はこすり洗いが面倒、腰や膝が痛くなる、水で濡れる……といった理由から、敬遠したい家事の筆頭といってもいいほど。しかし現在、こすり洗いを不要にするとして話題を呼んでいる浴室用洗剤がある。ライオンの『ルックプラス バスタブクレンジング』のことだ。

 2018年9月に発売された『ルックプラス バスタブクレンジング』は、1プッシュで従来品より2倍もの量の洗剤をミスト状にして噴霧できる新型容器と、汚れをはがしやすくする新処方の洗剤を採用。浴槽全体に洗剤を掛け60秒待った後、水を掛ければ汚れを落とすことができる。クリアシトラスの香りとフローラルソープの香りの2つがあり、これまでに累計2200万個以上販売。浴室用洗剤市場で、同社のシェアアップに貢献している。

開発の方向性を見直し新たな価値を提供する

 同社は浴室用洗剤市場で、ライバル企業から大きく差をつけられていた。そんな状況を挽回しようと、商品の見直しを繰り返し、品質を高めてきた。2000年代だけで6回も見直しを実施しているほどだ。

 だが、頻繁に見直し品質を高めても、ライバル社との差はなかなか縮まらない。いつしか、開発の方向を見直す必要性を感じるようになった。
「6回の見直しで洗浄力を高くしたほか、泡立ちや水で流したときの泡切れを良くしたり、スプレーボトルを使いやすくしても、ライバル社との差がどうにも縮まりません。これから先、これまでと同じことを繰り返しても、どうしようもないことに気づきました」

 このように話すのは、ヘルス&ホームケア事業本部リビングケア事業部 ブランドマネージャーの宮川孝一氏。このような背景から誕生したのが、2011年に企画された『ルックプラス バスタブクレンジング』であった。

ライオン
ヘルス&ホームケア事業本部リビングケア事業部
ブランドマネージャー 宮川孝一氏

 開発に当たり注目したのは、浴室の掃除で一番しんどい浴槽のこすり洗い。だが、浴槽のこすり洗いは、ユーザーからとくに不満があがっていなかった。その理由を宮川氏は「『こすり洗いはなくせっこない』という先入観や『洗剤を掛けただけでは汚れは落ちっこない』という思い込みがあったからではないでしょうか?」と分析する。

 このような先入観や思い込みが生まれた理由の1つが、過去に「こすらず洗える」と謳っていた洗剤が期待通りの効果を発揮しなかったことである。同社でも過去に、この手の洗剤を扱ったことがあったが、このような事情から、ユーザーには「こすらず洗えるはずがない」というネガティブな印象が根強く残ることになった。

 やがて、そのような謳い文句の洗剤はなくなったが、同社は改めて、こすらず洗える浴室用洗剤を開発することにした。本当に実現できれば、新しい価値をユーザーに提供できると考えたからだ。しかし、浴槽のこすり洗いをなくすには、2つの大きな課題があった。

調査からわかった「こすらず洗い」をしない理由。ユーザーが期待する効果を発揮するために、ライオンは2位と7位を課題として捉えた

業務用の性能を家庭用で実現したスプレーボトル

 課題の1つが、洗剤を浴槽全体にムラなく短時間で掛けられないこと。汚れは残り湯の位置だけではなく浴槽全体に広がっているが、浴室用洗剤では一般的な泡のスプレーでは浴槽全体にムラなく掛けるには時間がかかりすぎる。

浴槽に付着した汚れを着色した状態。汚れは残り湯の水位周辺にのみあると思われがちだが、実際は浴槽全体に広がっている

 新しいものとしてエアゾール缶や電動スプレーなどが候補に挙がったが、これらは様々な理由からユーザーが歓迎していないことがわかる。

 結果的に行き着いたのが、業務用のスプレーボトルであった。一般家庭用のものと比べると大型だが、レバーを引くと多くの液剤がミスト状に噴霧できるところが高く評価された。

 ただ、まったく同じものは一般家庭では使いづらい。性能を下げることなく手の小さな女性でも使いやすいサイズにすることが求められた。

 ポイントは、注射器のシリンダーに相当するパーツのサイズ。スプレーヘッドの構造は注射器と変わらないので、注射器のシリンダーに相当するパーツを長くしたり太くすれば、1回のレバー操作で多くの洗剤をスプレー状に噴霧できるが、長くすればレバーを引く距離が長くなり、太くすればレバーが重くなる。手の小さな女性でもレバーを引きやすくするには、シリンダーに相当するパーツの長さや太さを絶妙なサイズにする必要があった。

 また、従来品とは違うことを示すことと、持ったら手首を傾けることなく浴槽に向けてまっすぐ噴霧できるようにするため、スプレーヘッドを含む上部を少し斜め下に傾けることにした。洗剤を充填する工場からは、上部がやや前傾するため洗剤が上からまっすぐ入れられないと不評で、理解を得るのが大変だったという。

 完成したスプレーボトルは、レバーを1回引くと従来品の約2倍の洗剤をミスト状に噴霧可能。腕をスライドさせながらレバーを最後まで引けば、約1mの範囲に洗剤を塗布することができる。

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