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東京大学とソフトバンクがAIに特化した「Beyond AI 研究所」を開設する理由

2020.01.17

 2020年が始まった。今年は5Gの商用サービスを通信各社がスタートさせるなど、大きなトピックのある通信業界だが、これまでのような盛り上がりを作れるか正念場となるだろう。

 そんな中、ソフトバンクと東京大学はAIに特化した「Beyond AI 研究所」を2020年に開設する。基礎研究は本郷、応用研究はソフトバンクの新オフィスの竹芝という2拠点体制で、10年間で200億円規模の取り組みになるという。なぜ、両者が手を携えることになったのか。そこにはAIなどで大きく社会が変化していくことに対応していこう、という強い意志があったようだ。

ソフトバンクは2020年に何を「再定義」するのか?

 そこで目を向けたいのが、やはりソフトバンクの動き。Y! BBで通信業界に本格参入し、2006年にボーダフォン日本法人を買収して以降は、料金プラン、スマホシフト、マルチブランド戦略など、業界のトレンドを引っ張ってきた存在と言っても過言ではないからだ。

 ソフトバンクは年頭所感で、<今年はいよいよ5Gが世の中に本格的に普及していく年です。われわれは、3月末ごろから5Gの商用サービスを開始します。5Gによって、さまざまな業界でデジタライゼーションが急速に進み、産業界全体が大きく変わっていきます。これまでの、人と人がつながる世界から、人とモノ、モノとモノがつながるIoTの世界になり、そこから得られるビッグデータの活用が企業の発展において重要な鍵となります。AIによってビッグデータを分析して活用することで新しい価値が生まれ、あらゆる産業が再定義されることになるでしょう。>と、2020年の見通しを語っている。

 このなかで、注目したいのが<再定義>という単語。この表現は、2007年にアップルがiPhoneを発表したときに、同社日本語のリリースで<アップル、iPhoneで携帯電話を再定義>と使ったもので(原文は、こちら)、何か別のステージに移るときを表すときに、ソフトバンクが好んで用いている。

 いくつか例を挙げてみよう。

ソフトバンクグループが投資するAI企業群の最先端ビジネスモデルと、ソフトバンクの持つ5G・スマートフォンの技術、そして今回連結子会社化したヤフーの持つビッグデータを活用することで、産業の再定義を目指します。さらにこれからは「PayPay」のような決済プラットフォームを中心に、日常がもっとシームレスにつながるようになります。わたしたちは、スマートフォンで日常のあらゆるシーンも再定義していきます。
2019年3月期 決算説明会の、ヤフーを連結子会社化した説明で)

「WeWorkは、デザイン、テクノロジー、コミュニティーの融合を通して、有意義な体験を創出することで、働き方の本質を再定義しています。ソフトバンクグループが提供する新しい資本は、WeWorkの勢いを取り戻します。
(WeWorkが、ソフトバンクグループ社によるファイナンスに関して発表した際、Executive Chairmanに就任したマルセロ・クラウレ氏のコメント原文)。同氏は、ソフトバンクグループ社の取締役副社長 COO)

私にとってアカデミアは、時代の流れを大局的に見つめながら、自分の人生をいかに歩み社会に貢献するか再定義できるかけがえのない場です。孫校長から学ぶ帝王学、同志のアカデミア生との意見交換も、自社経営における意思決定につながっており、刺激的です。
ソフトバンクアカデミアの体験者

そして、これら膨大なデータを伝達処理するマイクロプロセッサーの性能や通信速度が加速度的に向上していくと、いずれは、人間の脳の働きを超えていく「超知性」が誕生する世界、シンギュラリティーが到来することになるでしょう。このような世界では、社会や産業のあらゆる分野が再定義され、ビジネスのあり方やライフスタイルを根幹から変え、新しい事業の機会が創出されると考えています。
孫 正義 グループ代表挨拶

 ソフトバンクでは「再定義」という表現を、ゲームチェンジや創造的破壊が起きる、非連続の大変化を意味するときに用いているようで、最近は、AIによって、スマホで起きたときのようなインパクトが社会にもたらされる、ということを文脈で用いられてることが多いようだ。つまり、そこがソフトバンクにとって、最重要分野であり、それを加速していくのが5GやIoTということ。言い方を変えるならば、通信>AIではなく、AI>通信であり、それが通信会社を超えていくという「Beyond Carrier」戦略の核心で、これが今年以降は加速していくということなのだろう。

 こうしたソフトバンクの姿勢は、昨年末に東京大学と手を組んで、世界最高レベルの人と知が集まる「Beyond AI 研究所」を開設することからもうかがい知ることができる。

 ソフトバンクが東京大学に着目した背景には、AI産業で熾烈な競争が繰り広げられているが、その革新の養分が、大学を中心としたアカデミズムのコミュニティにあることにある。ソフトバンク代表取締役 副社長執行役員 兼 CTOの宮川潤一氏は、AI特許の伸び率は日本やヨーロッパが横ばいにもかかわらず、中国が断トツで、トップの米国に迫る勢いにあること、その伸びは大学などの研究機関が支えていることを紹介した。そうした背景を踏まえたうえで、世界に通用する会社作りのために、東京大学とのタッグが必要という結論に至り、「Beyond AI 研究所」の開設に至った経緯を紹介した。

 具体的には、10年で事業益による還元分を含めて200億円規模の取り組みを目指し、研究者の人件費、オフィスや必要な機材に充てる。取り組みのなかから、新規事業が見込まれる際は、案件ごとに資金を用意することになるようだ。

東京大学との取り組みをプレゼンテーションするソフトバンク代表取締役副社長執行役員 兼 CTOの宮川潤一氏。特許庁などのデータを元に、中国のAI関連特許が急激に伸びていることを紹介した。

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