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100年前の兵士がカラーで甦る!ピーター・ジャクソン監督の第一次世界大戦ドキュメンタリー映画「They Shall Not Grow Old」の日本公開が決定

2020.01.16

■連載/Londonトレンド通信

 以前、イギリス公開の様子をご紹介したピーター・ジャクソン監督による第一次世界大戦ドキュメンタリー『They Shall Not Grow Old』が、ついに日本でも『彼らは生きていた』として1月25日から劇場公開される。

 この映画は、第一次大戦から100年という節目に、開戦1914年から終戦1918年にインスパイアされたアートを英政府が支援する14-18NOWというプロジェクトの一環として制作された。

 帝国戦争博物館(Imperial War Museum、以下IWM)所蔵の多くは未公開だった第一次世界大戦時の記録映像と、600時間にも及ぶBBC及びIWMの兵士インタビューからの再生を、ドキュメンタリー映画として構成している。

 IWM、BBCに政府支援とくれば、お堅い教育的な映画を思い浮かべ、敬遠する向きもあろう。だが、それは大間違い。

 何しろ、少女のファンタジーが殺人につながった実話を表現力豊かに映画化した『乙女の祈り』(1994)でその才能を世界に示し、ついには大ヒットシリーズ『ロード・オブ・ザ・リングス』を生み出すに至ったジャクソン監督だ。

 今回の映画も、一見、地味なドキュメンタリーにもかかわらず、イギリス外でも高評価を得て、各国で公開され、興行的にも成功している。

 その最大の理由は、100年前の兵士を現代の観客に引き寄せて観せたことだ。日本劇場公開は、時間の隔たりばかりか、空間の隔たりをも引き寄せたと言えよう。

 それで思い出したのが、2012年に英国アカデミー賞(BAFTA)を受賞した英テレビ局チャンネル4の東日本大震災レポートだ。

 BAFTAはブリティッシュ・アカデミー・オブ・フィルム・アンド・テレビジョン・アーツの略で、映画だけでなくテレビ番組に対しても賞が贈られる。映画とテレビでそれぞれに発表授賞式が開催されるのだが、チャンネル4の東日本大震災レポートが受賞したのはテレビ部門のニュース賞だった。

 受賞となったレポートは、チャンネル4ニュースの総力をあげた報道だ。地震発生翌々日の3月13日にはメインキャスターのジョン・スノーが仙台、チーフ特派員のアレックス・トムソンが南三陸から中継した。

 崩壊した家のドア前にカバーをかぶされている顔も名前も知れない遺体を遠くに見ながら「誰かの愛する人であったろう人」とナレーションをかぶせる。父母を、娘を流された人の話を聞き、瓦礫の中の車に残されたサンドイッチを映し出す。

 あざとい?そうかもしれない。だが、津波も地震もほぼないイギリスの人に、この想像もつかない大災害の中にいる人を実体として感じさせたのは、そういう報道だった。

『彼らは生きていた』も、生身の人を感じさせる映画だ。

 まず、技術スタッフが、古ぼけたモノクロ映像に自然な色合いを施し、フィルム数が少なくギクシャクした動きだったものを、フィルム数を増やしてスムーズな動きにした。それだけで、文字通り、兵士たちは再生した。

 2018年10月16日、ロンドン映画祭で開催されたワールド・プレミアでジャクソン監督は「これは歴史的な物語ではない。戦った者たちの記憶であり、兵士であることがどういうことなのか教えてくれる」とコメントした。

 そして映画の中に収められていたのは、カメラを向けられ「撮られてるよ」と笑いあったり、綱引きを楽しんだりもする兵士たちだった。

 そんな彼ら、中には3歳多くさばを読んで入隊したと明かす者もいるから、中学生もいたのであろう彼らが、ある者は塹壕に積み重なる遺体になり、ある者は帰国し戦場を知らない世間との断絶に苦しむ。

 確かに戦場を体験していない者に、ほんとうには理解することはできないのかもしれない。だが、さして私たちと変わるところのない人たちがそこにいたことは、染みてくるようにわかる映画だ。

文/山口ゆかり
ロンドン在住フリーランスライター。日本語が読める英在住者のための映画情報サイトを運営。http://eigauk.com

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