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「一番搾り」と「本麒麟」の2つの柱とクラフトビール事業の強化、キリンビールが2020年の事業戦略を発表

2020.01.15

■連載/阿部純子のトレンド探検隊

2019年は主力ブランドへの集中投資で強固なブランド体系を構築

キリンビールが2020年の事業方針を発表した。2019年の販売実績は、ビール類合計で+0.3%と2年連続で前年増を達成。2年連続は2005年~2006年以来13年ぶりで、成長を牽引したのは、大ヒットした新ジャンルの「本麒麟」と、主力ブランドの「一番搾り」缶だった。

2018年に発売された「本麒麟」は、2年目となる昨年、前年比約6割増と大きく伸びた。新ジャンルでありながら、ビールに期待されるコクや飲みごたえといった本格的な味が評価された。

「消費税増税により節約志向のある中で、お客様が何を求めているか本質を見抜けた商品であったのが大きな要因。新ジャンル市場では過去最高の販売数量を達成し、新ジャンルの中で新しいカテゴリーを創出できたのではないかと思う」(キリンビール 代表取締役社長 布施 孝之氏)

ビン、樽といった業務用を含めた「一番搾り」ブランドは、全体では-1.7%だったが、「一番搾り」缶については+3%と伸長。「一番搾り」缶は2017年のリニューアルから3年連続で前年プラスを達成した。
「要因はマーケティングの変革にあるとみている。今までは競合との違いが判断基準にあったが、お客様が何を求めているかを議論する会社に変わってきた。2020年も引き続き、お客様がビールに求める本質的な価値である“おいしさ”が伝わる活動を全社一丸で取組み、缶商品4年連続前年増の達成を目指していきたい。

缶では間口が広がったが、5割強を占める業務用マーケットは、昨年は長雨や台風の影響でビアガーデンが苦戦したうえ、消費税増税で外食マーケット自体が良くない状況にあり、業務用を含めるとブランドトータルはマイナスになった。ただ狭義のビール全体では-4%という中で、一番搾りは-1.7%にとどまったことは評価している」(布施社長)

2020年も主力ブランドへの集中投資+クラフトビール事業を継続

2026年に予定されている、ビール類酒税一本化に向けた1回目の酒税改正が、2020年10月に行われる。現在、ビールの税額は350ml缶で77円、麦芽比率25%未満の発泡酒が47円、新ジャンルが28円だが、2026年までに三段階に分けて、54.5円に統一していく。

「2020年はビール類酒税一本化に向けたストーリーの中にあり、中長期的な戦い方をしていく。酒税法改正に伴いブランドは絞られていき、強いブランド以外は間違いなく淘汰されるだろう。酒税一本化後の店頭の価格カテゴリーは、高価格帯、スタンダード、エコノミーの3つに分かれると予想される。また、健康ニーズに対応した機能性商品を求めるお客様は、商品に対するロイヤルティが高く、酒税が変動しようとブランドを継続購入すると思う。それぞれのカテゴリーで生き残る強いブランド、10年後も生き残るブランドを今から育成していくことが基本になる」(布施社長)

〇「一番搾り」「本麒麟」の主力ブランドの育成

2020年の事業方針は、「一番搾り」と「本麒麟」の主力ブランドへ集中投資する「旗艦ブランドの成長」と、ビール市場を活性化させ、酒税法改正後の高価格帯ユーザー層を育成する「クラフトビール事業への注力」、この二本柱を継続させていくという。

「厳しい市場の中、リニューアルでお客様から一定の支持をいただき、缶販売量約103%を達成した一番搾りは、酒税法改正で今後大きな伸長が見込まれる。ビール自体が飲まれていない状況で、いかにおいしく感じていただけるかが重要。競合にどう勝つかよりも、飲んでいただけるきっかけをどう作るかに徹したマーケティングを行っていく」(キリンビール常務執行役員 マーケティング部長 山形 光晴氏)

2020年の「一番搾り」は、ビールの中心価値であるおいしさを追求。発泡酒や新ジャンルのユーザーにビールを購入してもらうきっかけづくりのため、季節や期間限定商品、イベント展開をしていく。

「本麒麟」は2019年の約1.6倍という販売トレンドを加速させ、ビールに近い本格的なイメージを持つブランドとしての支持獲得を目指す。

「本麒麟は本格的、上質、満足感があるといったイメージを持たれており、今までの新ジャンルと違ったブランドになりつつあるのではないかと実感している。2020年は味覚コンセプトを継続しつつ、大麦増量と仕込みに新技術を採用し、コクと飲みごたえを増やす改良を行う」(山形氏)

〇「タップ・マルシェ」のさらなる普及で若年層にアピールするクラフト事業

クラフトビール事業の起爆剤となっているのが、1台で4種類のクラフトビールを提供できる「タップ・マルシェ」。それまで専門店でしか飲めなかったクラフトビールが、多くの業態で飲めるようになり、2019年の「外食アワード」で史上初めて2冠を達成。2019年は前年実績の約2倍となる全国1万3000店以上に拡大、12ブルワリーが参画し、26液種に。2020年はタップ・マルシェの新規設置店を約6000店増やし、若年層を中心にクラフトビールの訴求を図る。

〇新規ユーザーを引き込む発泡酒、ノンアルカテゴリー

発泡酒の「淡麗グリーンラベル」は女性の好感度が高く、スタンダードビールへの入口として、市場拡大の可能性があるブランドと位置付けている。2020年はリニューアルを行い、ホップ配合のバランスを調整し炭酸感をアップ。ビールに近い満足感とさわやかさを両立させる。

熟成ホップ由来の苦味酸を機能性関与成分とした初のノンアル飲料「カラダFREE」。2019年3月に発売し、12月中旬には年間目標を達成した。脂っこい食事に合わせる、ダイエット目的、お風呂上り、休肝日など飲用シーンも幅広く、味覚評価でも飲用者の9割がおいしいと回答。ポテンシャルの高いブランドとして、ノンアル非ユーザーの獲得を狙っていく。

【AJの読み】酒税法改正でビールの復活なるか?

ビール類の販売実績で大手4社ではアサヒとサッポロの2社がマイナス、キリンとサントリーは微増という結果になった。キリンは2019年に引き続き2020年もビールの新商品は発売しないとのことで、ビールの市場が年々縮小していく中、新しい商品ではなく主力ブランドを強化していくことを布施社長は強調していた。

「2019年ではビール全体のマーケットは1%ほど縮小しており、このトレンドは続くのではないか。しかし今年は10月に酒税改正の第一弾があり、ビールの酒税が350mlで7円値下げするので、ビール、クラフトに注目が集まるだろうと思われる。

一方で消費者の節約志向は昨年10月の消費税増税以降さらに増しており、安くても価値のあるものに対しての商品選択が進んでいる。高品質な新ジャンル、低価格で気軽に楽しめるRTDのマーケットも伸長するだろう。今年も新商品は出さないが、ブランドを強くして育成することが、競争で優位に立つ源泉であると考えている」(布施社長)

酒税法改正の第一段階となる今年10月には、ビールは減税、第三のビールは増税となる。今まで第三のビールに流れていた飲用者が、再びビールに戻る追い風となるのか、注目したいところ。

文/阿部 純子

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