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通信業界に多大な影響を与えた総務省の「改正電気通信事業法」は結局何だったのか?

2019.12.30

■連載/法林岳之・石川 温・石野純也・房野麻子のスマホ会議

スマートフォン業界の最前線で取材する4人による、業界の裏側までわかる「スマホトーク」。今回は2019年のスマートフォン業界に多大な影響を与えた総務省の「改正電気通信事業法」について振り返ります。

2019年の携帯電話業界はCESの折りたたみ端末から始まった

房野氏:2019年の終わりを迎えましたので、年初から携帯電話業界の動きを振り返っていただければと思います。最初は例年通り「CES」(毎年1月に米国ラスベガスで行われる国際テクノロジーショー)ですね。

房野氏

石川氏:CESでディスプレイを折りたたむデバイス、Royole社の「FlexPai」が発表された。2019年は折りたたみが来るよねっていっていたんですけど、FlexPaiは完成度が低かった。2月にファーウェイが「Mate X」、サムスンが「Galaxy Fold」を発表して、やっぱりメーカーが作るとちゃんとしたものができるよねと。まぁ、ちゃんとしてなくて発売が遅れたわけですが、「折りたたみ」が2019年を代表する端末だったかなと思います。これが実際に普及して一般的になるかどうかは別にして、象徴的だったのは事実だと思います。

Mate X

Galaxy Fold

石川氏

石野氏:折りたたみ端末は値段が下がらないとちょっと厳しい。その中でLGが最後に放った5万円台の2画面スマホ「LG G8X ThinQ」は、今のところ現実解かなという感じがします。

LG G8X ThinQ

石野氏

石川氏:夢がないよね。

石野氏:現実的すぎて夢がないんですけど、価格(税込みで5万5440円)には夢があった。

法林氏:できることが明確だよね。一番正しいと思います。

法林氏

石野氏:現実的というのは、そういうことも含めて(笑)

法林氏:一番ちゃんとしていたし、正しい選択だと思う。

房野氏:ちなみに2018年の年末、12月19日にはソフトバンクが上場していますね。

ソフトバンク株式会社 代表取締役 社長執行役員 兼 CEO 宮内 謙氏

石川氏:上場したけれど、株価が全然上がらなかった。あれはタイミングが悪かった。2018年12月に通信障害を起こしたし……

石野氏:“ファーウェイショック”もあった。

法林氏:第1回ファーウェイショックだよな。2018年12月にファーウェイの副会長兼CFOの孟晩舟がカナダで逮捕されて、米国が身柄の引き渡しを要求。これに合わせて、米国が携帯電話ネットワークの基地局を導入しないように働きかけた。日本でもソフトバンクが基地局設備の見直しを迫られた。

石川氏:なんでこのタイミングにこの話が出ちゃったんだろうっていうのはあった。

石野氏:PayPayの障害もあった(キャンペーンでサーバへのアクセスが集中して利用できなくなったり、クレジットカードが不正利用されたりした)。

PayPay

房野氏:PayPay絡みでコード決済サービスは2019年初めから騒がれましたね。

石野氏:10月の消費増税に向けて各社が力を入れてきていました。

房野氏:2月、3月は総務省関連の話題が多いですね。あと「Galaxy S10」シリーズが発表されました。

Galaxy S10+

石野氏:2月から3月はMWC(MWC Barcelona 2019:バルセロナで行われている通信業界最大の商談・展示会)もあった。楽天が“完全仮想化”を強く言い出したのもこのあたりですね。

石川氏:完全仮想化、本当にできるのかなぁ。この間、街中を歩いていて、無料サポータープログラムで使っている端末で全然電話がかからないことがあったんですよ。VoLTEと表示されていても発信できない。なかなか厳しいなと。2019年12月10日に通信障害もあったし、完全仮想化を止めて、普通のネットワークを作り直した方が……

法林氏:それはないよ、それこそ総務省に怒られる。脱線するけれど、楽天は「5Gを見据えて、4Gは最小限の投資にして5Gに注力します」といっているけれど、考え方によっては4Gに可能な限りリソースを割いて、他キャリアが5Gに投資して忙しくしている頃に、4Gで安価なネットワークを構築するのも手だったと思う。もっといえば都市型にするとか。つまり、東名阪はつながるけど、他の地域は「契約してくれなくていいです」くらいな状態でローミングだけというようなやり方もあっただろうし。ビジネスの作り方が本当にそれで良かったか疑問が残りますね。

石川氏:ファーウェイは、アフリカとかアメリカのMVNOのネットワークを相当安く請け負っているんだから、そういうところに頼むとか……

房野氏:ファーウェイはアメリカ市場に参入しているんですか?

石川氏:ニュースに出ていましたよね。

石野氏:ローカル事業者から請け負っている。ファーウェイはヨーロッパやアジアではメジャー事業者のネットワークをやっていますけど、アメリカ、日本もそうで、ローカルの「地域BWA(Broadband Wireless Access:地域の公共サービス向上などを目的とした電気通信業務用の無線システム)」みたいなのが日本にもあって、そういうところにファーウェイの設備が入っています。ケーブルテレビがやっているサービスとか。

法林氏:入っているけれど、かつてのミャンマーでの状況みたいに、機材を入れただけで調整ができないところもあるんじゃないかな。結局、現地事業者側が技術を持っていないといけない。

房野氏:売るだけって感じですか?

法林氏:今はもうちょっとやっていると思うけれど、ミャンマーでは「僕らがいなかったらアンテナのチルトも正しく設定できなかった」とKDDIの担当者(ミャンマーの国営事業体「MPT」の携帯電話サービスを共同で運営)が言っていたくらい。やり方を現地の技術者は知らなかったらしい。本当に持ってきただけの状態だった。

石野氏:追加料金を払ったら調整なりをやってくれるでしょうけど……。

石川氏:アフリカでは、実際にファーウェイの社員が駐在してネットワークを作ったという話を聞いたことがある。だから、ファーウェイに全部お願いすると安いネットワークを構築できるんですよ。それでもいいんじゃないかなって(笑)

石野氏:そうやるんじゃないかって見方も最初はあったじゃないですか。エリクソンとかにも設備からネットワークセンター、運用まで全部丸投げできるソリューションが揃っている。そういうのを利用すれば楽天でもできるよねって思っていたんですけど、完全仮想化って何!? みたいな。

石川氏:確かに将来的にはネットワークの完全仮想化はあるような気もするけど……

石野氏:丸投げでサクッと済ませてコストを抑えて、楽天経済圏での親和性を打ちだしていくのかなと思ったら、インドからCTOが来ちゃったぞ、ネットワークセンターを公開したぞ、あれあれって思っているうちに、どんどん自前でやるような感じになった。おや、楽天ってそういう会社だったっけ? って。

石川氏:楽天の得意なところや3キャリアが絶対真似できないところがあるのに、そこを活かそうとせずに、なぜ未経験のネットワーク技術に深く入り込んでいくのかと。誰かが入れ知恵したのかな?

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