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Yahoo!とLINEの経営統合は今後どういう影響を生むのか?

2020.01.01

Yahoo!とLINE統合の影響はどこまで?

房野氏:クレジットカード会社などはどうするつもりなのでしょうか。

法林氏:金融ネタなので専門じゃないからわからないけれど、たぶん、おサイフケータイとかと結びついていないような、単独のクレジットカード会社が厳しくなるでしょうね。何かしていかないとユーザーが離れていく可能性がある。さすがにPayPayで電車には乗れないだろうけど、クレカ会社としては紐付けてくれた方がいい。紐付けてもらえなくなると、このカードはいらないって話になる。結びつけられる方向になればいいだろうけど。
 「ポイ探(ポイント探検倶楽部)」の菊地さん(ポイ探 代表取締役 菊地崇仁氏。ポイントの達人として知られる)が記事を書いていたけれど、2012年くらいにソフトバンクがTポイントを導入した時に、ポイント業界で業界再編が起こった。JAL系のポイントのグループとANA系のグループの結びつきが変わって、ANAのマイルをJALで使えるとまずいので、関連サービスが関係を切ったりつなぎ直したりということがあった。その時を彷彿とさせるという言い方を菊池さんはしていた。
 今回のLINE PayとYahoo!の話で、会見では「第三極を狙う」みたいな話があったけれど、そんなことはどうでもよくて、これからペイメントをいかにして回していくかしかない。ヤバいのは、そこに入っていけないようなクレカ会社、リアル銀行だと思っている。SBIの北尾さん(SBIホールディングス代表取締役社長の北尾吉孝氏)が福島銀行を傘下にすることもそうで、これからたぶん地銀を買ったり、提携するところが増えていく。この先はまだどうなるかがわからないけど、個人的にはセブン銀行、ローソン銀行、イオン銀行に結構、期待しています。だって、お金を出したり入れたりしなきゃいけない時に、どうしてもATMがいる。銀行の窓口は店舗を閉めつつあって減っている。昔、各地域にあった電話局がある時からなくなって、全部ネットで手続きするようになったのと同じようになる可能性がある。銀行はATMしかなくて、建物に入っていったら三菱UFJとセブン銀行とイオン銀行とローソン銀行のATMがずらっと並んでいる時代が来るかもしれない。

石川氏:ATMもあと何年くらい、街にあるんだろうって思ってしまう。自分はATMに本当に行かなくなった。普段の買いものは基本的にキャッシュレスで、現金を使う時が本当にない。我々はキャッシュレス決済を積極的に使っている方だからだけど、早晩、キャッシュレスが一般にも普及したら、ATMの存在意義も危うくなってくるだろうし。
 LINEは銀行業務をやりたがっていて、Yahoo!と組んで銀行みたいなこともできるようになってくるだろうし、そうなると地銀はまさにお役御免になって、だんだんネット銀行が中心になっていく。お金の価値はIDと紐付いて、データをやり取りするだけになっていく。

石野氏:三菱UFJと三井住友がATMを相互利用できるようにしていましたけど、あれもATMを減らすためですよね。

房野氏:Suicaとか交通系電子マネーサービスはどうですか?

Suicaカード

法林氏:Suicaは一応、全国で使えるし、懸案だったJR東日本とJR東海の連携問題も、Suicaアプリから使えるようになったので。

石川氏:Suicaは安泰ですよ。彼らはFeliCaを作ってきた人たちだし、なんだかんだSuica最強説がある。

房野氏:QRコード決済のバブルが弾けたら、やっぱり非接触に戻っていくでしょうか。

石川氏:FeliCa系がいいんじゃないのということで、基本的にSuicaでいいだろうし。

石野氏:楽天ペイは、来春には楽天ペイSuicaを楽天ペイアプリから発行できるようにして、そのチャージも楽天ペイでできるようにする予定なんですよ。

石川氏:みずほのSuica(Suica[Mizuho Suica])もあるよね。みずほの口座からSuicaが作れる。

法林氏:大手の銀行はそこかもね。

石野氏:Suicaだけだと店舗数が足りないので、PayPayにSuicaが載ったりすると結構いいと思う。

房野氏:キャリアはどうなるでしょうか。

法林氏:ドコモは変わらないですよ。三井住友で、iDで、というのは変わらない。

石川氏:KDDIは三菱UFJ銀行とじぶん銀行がある。

房野氏:ソフトバンクはみずほ銀行ですね。3大銀行は3大キャリアと組んでいるので、そのままという感じでしょうか。

石川氏:そうやって、いろんなものが3社に集約されていくような気がします。

法林氏:今回、LINEとYahoo!が統合されて、LINE PayとPayPayとどっちが残るかわからないけれど、次は銀行系、キャリア系を軸にして、ポイント交換のグループ分けが変わってくる可能性がある。dポイントがau WALLETポイントになるとまずい、両方のポイントをやり取りできてはいけないんですよ。一方通行にするような形をとると思うので、業界全体を組み直す形になると思う。

房野氏:ポイントや決済サービスがグローバルに連携することは考えられないですか?

石野氏:グローバル展開しても、あまりメリットがないですよね。

石川氏:ドメスティックにならざるを得ない。今回の統合も、基本的には国内しか見ていない。国内でどう覇権争いをしていくかということ。説明会ではGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazonの頭文字を並べて呼ぶ)に比べて規模が小さいから、統合により力をつけてそれぞれに対抗できるようにしたい……みたいなことを言っていたけれど、そんなの言い訳でしかないと思う。
 あの説明をしたのは公正取引委員会の目を意識しているから。LINEとYahoo!がくっついて、独占禁止法上、大丈夫なのかという懸念をかわすために、私たちはこんなに小さいので、むしろ海外のプラットフォーマーを注意した方がいいんじゃないですか、というポーズだと思う。基本的には国内の楽天やKDDIを意識した上での座組なんだと思います。

房野氏:韓国の方は、NAVERの件で何か言っていないですか?

石川氏:経済業界やIT業界は、政治的なことは考えていないと思う。トランプ大統領の話は別になっちゃうけど、IT業界で動いている人は、日韓問題、日中問題といった政治的なところはあまり気にしていないような感じがする。

法林氏:業界的にはそうだけど、お客さんで感じている人は多い。

石野氏:どちらかというと迷惑を被っているくらいですよね。ただ、Yahoo!を一部NAVERに持たせるのはどうなんだという声は少しありましたね。ポータルとか強い部分は変えないと思いますが。

Yahoo!がLINEにブランド変更!?

法林氏:問題はYahoo!の看板代。それをどう見るかですよ。Yahoo!の名前を使うだけで、未だにアメリカに結構な金額を払っているんですよ。

房野氏:名前をLINEに変えちゃうって可能性もあるとの……

法林氏:それはあり得る。ポータルサイトの名前がPayPayになるんじゃないか、株式会社PayPayにまとめちゃうんじゃないかって記事も出ていた。なるほどと思いましたね。

房野氏:払う必要のないフランチャイズ料金みたいですしね。

法林氏:アメリカ本土にあるYahoo!が何も使われていない状況なのに。

石野氏:Yahoo!の名前を残しておくメリットは少ないですね。

石川氏:確かにLINEで十分だな。

法林氏:ただ、名前をLINEにするとしても、LINEというメッセージサービスの根幹をどうしていくかを真剣に考えなくてはいけない時期に来ているのは確か。FacebookのMessengerなどほかと比べると、サービスとしては貧弱。今時、ローカルにしかデータを残せないサービスはない。

石野氏:「+メッセージ」をディスするの、やめてくださいよ(笑)

+メッセージ

法林氏:+メッセージに関しては、SMSから発展したものという考え方があるじゃないですか。バックアップの仕組みは最初の段階からできていて、キャリアのバックアップツールやデータ移行ツールを使えば、+メッセージの最新版ではデータを持って行ける。ストレスなく移行できる。でも、LINEは自前で何も持っていないから、1度全部データを上げて、それも他社サービスのGoogleドライブに上げて、持ってくる必要がある。さらにプラットフォーム間の移行、つまりAndroidとiPhone間で行き来ができない。これはサービスとしてはダメだと思います。この状態をいつまで続けるのかっていうことは難しいところ。ソフトウエアの仕様として、もう考え方が古いんですよ。

石野氏:確かにちょっと古いとはいえ、そんなにAndroidからiPhoneに変える人がいるかというと、あまり一般の人はそんなに困っていないというか。複数の端末でメッセージを受け取れるようにしたいと考えているのも、僕らの周りだけだったりする。だから一般の人はこれだけLINEを使っているのかなって思うんですけど。

法林氏:僕はそうでもないと思っている。ショップの人に話を聞くと、データを動かしたいという話はちょいちょいあるそうです。

石野氏:データを簡単に動かしたいとは機種変更の時に確かに思いますけれど、マルチアカウントについては、僕らは強く望んでいるけれど、一般の人には響いてなさそうだと感じます。

石川氏:自分のPCの前にずっといる人は、一般的にそんなにいないからね。

石野氏:実際、FacebookのMessengerで連絡が来るのは仕事関係だけ。プライベートはほぼLINEでやり取りしている。

法林氏:それは使い方に寄りますよ。LINEで依頼して来る人もいるし。

房野氏:LINEは1機種でしか使えないのがなぁ……

石野氏:普通の人は1機種しか使いませんよ。

法林氏:僕は房野さんと同じ意見で、設計が古いと思う。今はクラウドの時代なのに。ローカルにしかデータがないと、端末がダメになったらアウトってこと。設計が古いんですよ。石野君のようにみんなが擁護するから、LINEは甘える。

石野氏:いや、擁護しているわけではないですが(笑)、実態として複数端末は使わないから。

法林氏:今時プラットフォームが変わってデータを持って行けないサービスはない。いったいいつの時代のサービスなんだという話。

石川氏:LINEが複数デバイスで通知されたら、トラブルが起きることもあるんですよ。LINEの画面が流出して困る人が出る。

石野氏:LINEはそういうリテラシーの人たちまで使っているサービスなので。

法林氏:数年経ったらこの状況がどうなっているか、ですね。

房野氏:LINEの無料通話は、みなさん使っているのでしょうか。

法林氏:使っていますよ。だからキャリアの音声通話代は気にならないというし、たまにキャリアの回線に電話がかかってくると、すごく音が良くて驚くという話を聞く。僕らからするとあり得ない、逆だろうって感じだけど。

石野氏:FacebookのMessengerで通話をしちゃうと、一斉に全部の端末の通知が鳴るのでウザいなと思う時がある。

房野氏:確かにそれはありますね。

石野氏:ソフトバンクは+メッセージをどうするのかな。

石川氏:そりゃやるでしょう……うーん……そうねぇ。

石野氏:+メッセージは「打倒LINE」のはずが、LINEが下に入ってきちゃったよ、みたいな。

法林氏:いや、+メッセージは打倒LINEで始めたものではないからね。

......続く!

次回は、ソフトバンクグループの大赤字について議論する予定です。ご期待ください。

法林岳之(ほうりん・ たかゆき)
Web媒体や雑誌などを中心に、スマートフォンや携帯電話、パソコンなど、デジタル関連製品のレビュー記事、ビギナー向けの解説記事などを執筆。解説書などの著書も多数。携帯業界のご意見番。

石川 温(いしかわ・つつむ)
日経ホーム出版社(現日経BP社)に入社後、2003年に独立。国内キャリアやメーカーだけでなく、グーグルやアップルなども取材。NHK Eテレ「趣味どきっ! はじめてのスマホ」で講師役で出演。メルマガ「スマホで業界新聞(月額540円)」を発行中。

石野純也(いしの・じゅんや)
慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。

房野麻子(ふさの・あさこ)
出版社にて携帯電話雑誌の編集に携わった後、2002年からフリーランスライターとして独立。携帯業界で数少ない女性ライターとして、女性目線のモバイル端末紹介を中心に、雑誌やWeb媒体で執筆活動を行う。

構成/中馬幹弘

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