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〝脱臼はクセになりやすい〟はやっぱり本当!?ラグビー選手は肩関節を「4回」脱臼すると黄信号

2019.12.24

肩関節の骨に生じる欠損が危険な大きさになる脱臼回数

ラグビー競技は、競技中の選手間の接触や転倒などによる肩関節の脱臼・亜脱臼が非常に多いスポーツだ。脱臼は「クセになりやすい」と言われているが、一度、脱臼・亜脱臼を受傷した選手のうち約半数が1シーズンで再脱臼を起こしていることがわかっている。

また、脱臼・亜脱臼では、受傷に伴い、肩関節を構成する肩甲骨の関節窩前縁と上腕骨頭後外側が欠ける「骨欠損」が生じることが知られているが(図1)、これまでの研究で、脱臼・亜脱臼を繰り返すほど肩関節の骨欠損が大きくなることがわかってきた。

骨欠損が大きくなると標準的な手術では対応できないことから、選手が脱臼・亜脱臼を繰り返して骨欠損の状態が手遅れになる前に治療を行う必要がある。

しかし、これまで具体的に何回程度の受傷で、骨欠損が危険な大きさに達するのかはよくわかっていなかった。

そこで、順天堂大学大学院医学研究科 整形外科・運動器医学の金子和夫 教授、川崎隆之 准教授、長谷川圭紀 医員らの研究グループは、ラグビー選手が肩関節の脱臼・亜脱臼を何回繰り返すと骨欠損が危険な大きさになりやすいのかを明らかにすることを目的に調査した。

調査の結果、約2割の選手において骨欠損が危険域に達しており、約6割においては準危険域に達していた。また、骨欠損が危険域、準危険域になるには、「脱臼・亜脱臼の回数」、「受傷した肩が利き手側かどうか」が関係することが分からなかったが、プレーレベル、カテゴリー、ポジション等、その他の特徴については関係がなかった。

脱臼・亜脱臼の回数については脱臼と亜脱臼を区別なくカウントすることが最もよい指標となった。また、脱臼・亜脱臼を何回起こすと骨欠損が危険域、準危険域となりやすいか、統計解析(図4)によって求めたところ、危険域になるのは利き手側で6回(感度 68.4%、特異度 68%)、非利き手側で9回(感度81.8%、特異度82.8%)、準危険域になるのは利き手側で4回(感度67.3%、特異度55%)、非利き手側で5回(感度70%、特異度65.7%)という結果が明らかになった。

利き手側での受傷が少ない回数で危険域になりやすい理由として考えられるのは、タックル時の衝撃が非利き手側と比べて強いことが考えられる。

研究により、肩関節の脱臼・亜脱臼に伴う骨欠損について、危険な大きさに達しやすい受傷回数が利き手側で「4回」、非利き手側では「5回」であることが明らかになった。

実際の競技現場では、脱臼・亜脱臼をしても、医療機関を受診せずに様子を見てしまったり、我慢してしまう選手がしばしば見受けられる。

繰り返す脱臼・亜脱臼に悩む選手は、早期(3回まで)に医療機関を受診し、骨欠損の評価および治療を受けることで、標準的な手術で対応できなくなることや術後不満を抱えやすい状態になることを防ぐことができる。

同研究で初めて具体的な受傷回数を示したことで、競技の指導者、コーチ、選手に対して有益な情報となることが期待される。

原著論文
研究はアメリカの整形外科学医学雑誌「The American Journal of Sports Medicine」で2019年8月19日に掲載された。

構成/ino


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