
12月12日、英国の欧州連合(EU)離脱(『ブレグジット』)の是非を問う英総選挙が行なわれ、与党保守党が過半数を大幅に上回る議席を確保し勝利した。
ジョンソン英首相はマニフェスト(政権公約)として来年1月末の『ブレグジット』実現を掲げており、今後、政府はEUとの合意に基づいて速やかに離脱の手続きを進める。
来年12月31日までの移行期間には通商協定などを詰める必要があり、その動向が注目されている。
そんな『ブレグジット』について、三井住友DSアセットマネジメントがマーケットレポートを公開したので紹介しよう。
【ポイント1】英総選挙は与党保守党が圧勝
保守党は過半数を確保、『ブレグジット』実現へ
12月12日、英国で総選挙が行われ、残留か離脱か再度の国民投票を提案する労働党を破り、来年1月末の『ブレグジット』実現を公約した与党保守党が過半数の議席を獲得した。
保守党が過半数を確保していることから、離脱関連法案の審議、承認は速やかに行なわれると見られ、これにより『ブレグジット』はようやく実現する見通しとなった。
ジョンソン首相はクリスマス休暇前に離脱協定案の下院での採決を予定。2020年末までは移行期間となり、その間に英国とEUの間で新たな自由貿易協定(FTA)や、パスポート、移民制度、労働許可システムなど、モノ・ヒトの移動のルールを変更・調整をしなければならない。
【ポイント2】英国・EU間のFTAは難航?
ジョンソン首相は、今後英国は、EUだけでなく米国やその他の国々と新たな貿易協定を結ぶことが可能となり、英国経済の可能性を飛躍させるだろうと述べてきた。
ジョンソン首相は、財の取引についてはほぼ全て関税撤廃のカナダ型FTAに、優遇関税やサービス取引等については英国にメリットのある条項を加えた貿易協定を目指すと見られている。
【今後の展開】今後のEUとの通商協議に注目
移行期間延長の是非を巡って一波乱も
世界的に見ても通商交渉から貿易協定の締結、発効までには数年かかるのが一般的。『ブレグジット』の移行期間は11カ月と短かく、2020年末までに包括的な合意は非現実的と見られている。
移行期間は1年あるいは2年延長できるが、2020年6月末までに延長するかどうかを決めることになっているため、早期の移行期間終了を目論む政府と、議会での波乱が想定されている。
EU内に留まるほうがメリットが大きいとの見方もあったが、約3年半に及ぶ『ブレグジット』の混乱に一定の道筋がついたことで、英経済の先行き不透明感は低下したと見られる。
移行期間は政治的、経済的に不安定な状態となることが想定されるが、先行き不透明感から手控えられていた設備投資や消費を後押しすることが期待され、移行期間を経て英経済は緩やかに回復していくと見られる。
三井住友DSアセットマネジメント マーケットレポート
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構成/DIME編集部