クロス取引の注意点
■信用取引ができる信用口座の開設が必要
無料で開設できることが多いですが、申込に審査があるため申込んだ当日に開設できることは少ないです。
■コスト
つなぎ売りはきちんと行えば損失はないですが、リスクはつなぎ売りにかかる手数料です。つなぎ売りをする前に確認した上で行うことが大事です。
つなぎ売りには以下4つの手数料がかかります。
1. 現物株式購入手数料
現物株を購入する際にかかる株式手数料です。つなぎ売りの際、信用売り建分に購入分の株式返済するため売却手数料はかかりません。
2. 信用新規売り手数料
信用売りをする際にかかる手数料です。
3. 貸株料
信用で株を借りている期間の貸株料です。
例)10万円の株式×(年利2%×2日分/365日)=10円
4. 信用と現物の配当金の差額
現物株の購入により配当金を受け取れますが、税金20.315%が差し引かれて支払われます。逆に、信用売りに対しては配当金を支払う義務があるため配当金を100%支払います。現物株の配当金には税金分が差し引かれているためその分の差額が損失になります。
ただし、特定口座で株式比例配分方式の配当金を証券口座受け取りにしていると、翌年の1月に税金分が還付されますので、口座の状態を確認しましょう。
■逆日歩
信用取引には制度信用取引と一般信用取引があります。
制度信用取引は、取引所が決めて行われるもので株式を貸せる数量が少なくなると逆日歩と言って、他の機関投資家から株を借りてくるために手数料を支払う必要が出てきます。
逆日歩手数料がいくらになるかは、信用売り建を行った翌営業日しかわかりませんし、高額になることもあるため注意が必要です。
一般信用取引は各証券会社が決めているもので、在庫がなく注文を出せないことはありますが、逆日歩はありません。人気銘柄の場合先着もしくは抽選になります。
■必ず同じ価格で
同じ価格で注文を成立させなければ損をしてしまう可能性があるので、寄付前に成行注文を出しましょう。
■株主優待の価値>手数料
コストを計算し、株主優待に価値の方が高ければつなぎ取引をする価値があります。
注意点をちゃんと理解して取引
注意点に気をつけて取引すれば少しの手数料で株主優待を受け取ることができます。クロス取引において、制度信用取引における逆日歩を考えると、一般信用取引がおすすめです。一般信用は証券会社が売るための株の在庫を持っているため、人気銘柄だと在庫がなくなってしまうこともあるため、注意しましょう。なお、一般信用取引の売建を行なっている証券会社は限られ、大手ネット証券会社ではSBI証券・楽天証券・auカブコム証券となっています。
文/大堀貴子
フリーライターとしてマネージャンルの記事を得意とする。おおほりFP事務所代表、CFP認定者、第Ⅰ種証券外務員。
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