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働き盛り世代が知っておくべき慢性腎臓病治療の現場とは?

2019.12.20

腎臓再生の研究も進む

 現在は、行政が作った腎疾患の対策を実践することにより、透析導入患者の減少を目指している福井先生だが、腎臓病治療のさらなる進歩を目指した研究に携わった経験もある。それは師事する教授の研究テーマであり、先生が腎臓内科を選んだモチベーションの一つでもあった。

「私は腎臓の再生研究に憧れまして。腎臓の再生は腎臓内科医が取り組むべき研究目標として、素晴らしいと思いました」

 現在、世界中で腎臓再生の研究が進行中だ。慈恵医大の研究グループは、腎臓を構成するネフロンの再生に成功し、尿が産生されることも確認している。医療現場で再生腎臓が実用化されるのも、そう遠くないと先生たちは確信している。

内科医に病気を治すことはできない、だが…

 とはいえ現状では壊れたネフロンは再生しないので、慢性腎臓病(CKD)は患者との付き合いが長くなる。

「先生、昨夜はまた接待で深酒してしまって、すみません」
「まぁ、お酒は飲み過ぎなければいいですよ。それよりおつまみは塩分が多い」
「いかんなと思いつつ、好きなもんで、刺身についたっぷり醤油を掛けてしまって」
「ニンニクやショウガで食べられるおつまみはありませんか」
「そうだ、馬肉なんかいいな」
「そうしてください」

 外来の診療では限られた時間の中でも、生活習慣病の改善のためのそんな会話が、患者との間で日々、やり取りされている。 

 完治の望めない疾患に取り組むことに、医師として忸怩たる思いはないのか、そんないささか突っ込んだ問いに、「現段階で、壊れたネフロンの再生はできませんが、むしろこの分野は非常に薬に恵まれた領域ですから」と、福井先生は応える。

 血圧、血糖、コレステロール、尿酸等々、慢性腎臓病(CKD)の原因である生活習慣病に対応した薬は数え切れない。患者に応じて薬や治療法を考えるのは、腎臓内科の醍醐味でもある。また腎不全が進行し、透析をせざるを得ない患者には健康寿命を長く保つため、適切なタイミングで透析を導入することが、腎臓内科医の腕の見せどころだと先生は言う。

 「働き盛りの方にわかっていただきたいのは、定期的な健診を怠らないこと。健診を受ければ糖尿病も高血圧も、すべての生活習慣病の早期発見が可能です。腎臓は血管の塊です。腎臓の健康を意識すれば生活習慣病はもちろん、腎臓と同じように血管が重要で、生命に関わる臓器である脳や心臓にとってもいい。健康で長生きができる。

 最初にお話をしましたが、腎臓は“肝腎要”の臓器なんです」

 そして最後に、福井先生はこうつぶやいた。

「内科医は病気のコントロールはできても、治すことはできない。持病が改善するかどうかは、本人の体力と努力次第で。私は常に患者さんを信じているんです」

東京慈恵会医科大学 腎臓・高血圧内科 助教 
福井 亮
2000年、東京慈恵会医科大学医学部卒業。2009年、東京慈恵会医科大学大学院医学研究科博士課程修了。2015~18年、厚生労働省健康局難病対策課およびがん・疾病対策課に出向、腎疾患対策、難病対策、慢性疼痛対策に従事する。2018年7月から東京慈恵会医科大学 腎臓・高血圧内科 助教。2019年、研究支援課 URA(リサーチ・ アドミニストレーター)併任。日本腎臓病協会 慢性腎臓病対策部会 東京ブロック副代表も務める。

文/根岸康雄 撮影/高仲建次


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