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働き盛り世代が知っておくべき慢性腎臓病治療の現場とは?

2019.12.20

 飲み過ぎで肝臓が心配、ストレスで胃が痛い、頭痛がする、動悸・息切れが気になるなど身体の不調には何かしらの自覚症状や思い当たる節がある。ところが、“黙して語らない”沈黙の臓器、腎臓は悪化するまで痛みなどの自覚症状はほとんどない。だが、一度悪化すると完治は不可能、悪化した腎臓を元に戻す薬はない。

 成人のうち8人に1人が何らかの慢性腎臓病(CKD=chronic kidney disease)を抱えている現実がある。生活習慣病である高血圧や糖尿病、メタボも知らないうちに腎臓にダメージを与えている。若い世代にとって、慢性腎臓病(CKD)は将来思い描いているキャリアプランに多大な影響をもたらす。

 DIMEでは働き盛りのビジネスパーソンにこそ知っておいてもらいたい、慢性腎臓病(CKD)の怖さに関してお二人の先生を取材した。

 今回は東京慈恵会医科大学腎臓・高血圧内科助教 福井亮医師の後編である。厚労省に出向した福井先生は、2018年7月に「かかりつけ医から腎臓専門医・専門医療機関への紹介基準」をハイライトとした腎疾患対策検討会報告書の取りまとめに携わった。現在は医療現場に復帰し、NPO法人日本腎臓病協会の東京ブロックの副代表として、国が通知した腎疾患対策を全国に伝え、実践する立場で活躍している。

前編はこちら

透析患者のQOL(生活の質)の維持向上も腎臓内科医の役目

 血液をろ過して尿にするネフロンは、左右の腎臓に合計約200万個あるが、失われたネフロンは再生しない。慢性腎臓病(CKD)のうち約7割は、糖尿病や高血圧等の生活習慣病が原因である。末期の腎不全に陥り、透析にならないよう腎臓の悪化を遅らせるのが慢性腎臓病(CKD)の治療だ。

 しかし、時には今すぐ透析が必要な人が、外来に飛び込んでくる例もある。そんな人には命が助かる道は透析しかないという説明をする。

「透析をすれば尿毒症の体から毒素が抜け、余計な水分も抜けます。『透析をやって、息苦しさやだるさがずいぶん楽になりました』という言葉を患者さんから聞くと、安心しますね。

 透析にならないよう医師も患者さんも頑張ります。もちろん、週に3回、4時間ほど、拘束を余儀なくされる透析は大変だと思います。しかし――」

 福井先生は語尾を強め、言葉を続ける。

「透析の患者さんのQOL(生活の質)の維持向上も、腎臓内科医の大きな役目です。透析患者さんの合併症を予防して、元気で長生きしてもらうように医師は努力をします」

腎移植が最良の方法ではあるが…

前回登場した東京女子医科大医学部教授の内田啓子先生は、月額1万円ほどの医療費を含め、日本の透析は世界一と賞したが、福井先生もその点は大きく頷く。

「それだけではありません。例えば、腎臓病の患者は造血ホルモンが減って、血が薄くなり貧血を起こしやすくなりますが、2000年に入って造血ホルモン剤が使用可能になりました。この薬を注射することで貧血が改善し、透析患者さんのQOLを大きく向上させています」

 透析患者のうち血液透析が約97%と多いが、腹膜透析という方法もある。腹腔内に1日に数回透析液を出し入れする方法で、自宅で処置が可能なため通院が不要であるなど、QOLの維持向上に役立つケースも多い。

 患者には血液透析や腹膜透析について、詳しく説明するが、患者のQOLを最優先する福井先生は腎移植が最良だと考えている。

「腎移植をすれば、週3回の透析に行く必要はなくなるし、食事制限もほぼなくなります。医療費も透析より安くなる。飲み続けなければならない免疫抑制剤も進歩していますし、デメリットはあまりないのですが」そう語る先生も、前置きとして「腎臓の提供が受けられる患者さんなら」という大前提を言葉にする。

 脳死からの臓器移植がまだ一般的でない日本の腎移植件数は年間2000件に満たず、欧米と比べるとはるかに少ない。そのほとんどは親族が腎臓を提供する生体腎移植である。透析患者の平均年齢が約70才という現実を踏まえると、患者の親からの提供は難しい。夫婦間でもかなりの高齢だ。移植にはドナーの健康状態が厳しく問われる。 

 腎移植を実行する患者に、先生は必ず「腎臓を大切に使って、いただいた方に恩返しをしてください」ということを、諭すように語りかけるという。

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