
上司や先輩に対して頼みづらいことや、断りづらいことは、仕事上、往々にして出てくることだ。しかしそれをしないことで自分が損をしたり、かえって迷惑をかけてしまったりする。
そこで今回は、頼みづらいときや、断りづらいときのコミュニケーションに使える話法「DESC法」を、営業やリーダー強化などの研修・講演・コーチングを行っている伊庭正康さんに解説してもらった。
頼みづらいときは「DESC法」で話しかけよう
「DESC法という話法を使うことで、頼みづらいことも、相談をしやすくなります。DESCとは『Describe、Explain、Specify、Choose』の頭文字をとったもので、話す順番のことです」
D(Describe):描写
状況を説明する(意見を言わず、事実を述べるだけ)
E(Explain):説明
自分自身の思いを説明する(ここで、自分の意見を伝える)
S(Specify):提言
提案をする(具体的な提案をする)
C(Choose):選択
選択をしてもらう(最後は、選んでもらう)
例)先輩に、自分の代わりにFAXを送ってもらいたいとき
「例えば、先輩社員に対して『このFAX、代わりに送ってもらえませんか?』と言うのはためらわれる、遠慮してしまうということがあるでしょう。そんなときも、DESC法を使えば、お願いしやすくなります」
D描写「A社様に、30分以内にFAXを送らないといけないのですが、実は今、他の作業を抱えている状況なのです。」
E説明「ただ、A社様は時間に厳しそうなので、早目の対応をしたいと思っています。」
S提言「もし、間に合いそうになかった場合、Aさんに20分後くらいにFAXを送ってもらうお願いができればと考えております」
C選択「ご状況はいかがでしょうか?」
「この流れだと言いやすくありませんか? 最悪のシナリオを考え、もしバタつきそうなら、先にお願いの打診をしておくと安心です。相手も『そんな状況なら自分がやっておくよ』とすんなり思ってくれるでしょう。遠慮してしまいそうなときは、DESC法を使ってみてください」