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知ってる?今、注目されている全く新しい認知症の予防法「パーソナルソング・メソッド」

2019.12.10

懐かしい音楽や映像で楽しい記憶を思い出す「パーソナルソング・メソッド」

何の準備もいらず、楽しくできて脳のトレーニングになる「認知症予防法」があるとしたら?

2013年、日本心理学会第77回大会で「ADLを低下させる記憶群の消失」という学会発表があった。これを受けいち早くADL記憶の考え方を回想法に取り入れたのが「日本回想療法学会」だ。

通常「回想法」では懐かしい道具や写真等を用いて高齢者の記憶喚起を図るが、「当時自身が使用していた道具と全く同じもの」はあり得ないので時代を遡るのに技術を要する。

そこで「当時自身が観たり聴いたりしていたものと全く同じもの」である映画や音楽のオリジナル素材を記憶喚起のトリガーとすること、更にADL記憶(10~15歳)の時に聴いていたであろう音楽を選定することで「パーソナルソング」を見つけやすくする方法を考えた。

これには「紅白歌合戦の視聴率が80%以上」に代表される「皆がほぼ同じ音楽を聴いていた」という当時の日本独特の文化的背景も後押しする。

こうして生まれたのが「パーソナルソング・メソッド」だ。

 「パーソナルソング・メソッド」には大切な3つの要素がある。①「オリジナル音源・映像を用いること」、②「対象者の記憶を喚起させる適切な音源・映像を見つけること」、③「おしゃべりを通じて対象者の記憶を上手く引き出すこと」の3点だ。それぞれの要素を詳しく説明しよう。

①「オリジナル音源・映像を用いること」

懐かしい曲をピアノ伴奏や、カラオケで歌う「音楽療法」も人気の認知症対策法の一つで、合奏や発表によって前頭前野を活性化させる効果があると言われている。

同じように音楽を使う「パーソナルソング・メソッド」だが、オリジナルの音楽を聴くことをトリガーとして記憶を喚起するという療法なので、音楽療法とは全く異なるものだ。たとえば、かつてのヒット曲をその歌い手がリバイバルとして歌い直したり、ほかの歌手がカバーしたりしても効果的なトリガーにはなり得ない。

脳には側頭葉という聴覚を司る器官があるが、そこに古い記憶も仕舞われていることが分かっている。その古い記憶がなじみのある古い楽曲を聴くことで喚起される様子を先述のカルフォルニア大学が視覚化することに成功している。その人の古い記憶とセットになっている古い楽曲、つまり当時のオリジナル楽曲が最も効果を導き出すということなのだ。

②「対象者の記憶を喚起させる適切な音源・映像を見つけること」

65歳以上を前期高齢者、75歳以上を後期高齢者と呼び、上は100歳超えの人もいる。斯様に一口に「高齢者」といっても最大40歳ほどの年の開きがある。

たとえばあなたが50歳として10歳の子供と一緒にされて「あなたたちが好むエンタテインメントはこれでしょ?」とひとまとめにされたらどう思うだろう。それを現在の高齢者には「演歌、時代劇、クラシック、唱歌」と一括りに押し付けているといっても過言ではない。

では何歳の頃の音楽を聴いてもらうのが良いのだろうか?人間の「しつけ」は12歳で完了すると言われている。個人差もあるので前後3歳の幅を持たせた10~15歳の記憶をADL記憶と呼んでいる。

ADLとはActivities of Daily Living=日常生活動作のことで「自分で食事をし、排泄し、清潔を保つ」つまり「しつけ」そのもののこと。近年このADL記憶を思い出すとそこに紐づけられた「しつけ」も戻ってくる、ということが分かり様々な研究が進められている。

「パーソナルソング・メソッド」では独自の選曲システムを駆使し、対象者が10~15歳の頃に聴いていたであろう曲を探し出して聴くことで鮮明なADL記憶を喚起し、それに伴う日常生活動作の向上が期待できるのだ。

③「おしゃべりを通じて対象者の記憶を上手く引き出すこと」

ADL記憶喚起に適した楽曲を聴いた人の脳の中ではどんなことが起きているのだろうか。先ずイメージ脳と言われる「右脳」にその当時の風景が浮かんでくる。

高齢者の場合このイメージは静止画であることが多いが、次にそのイメージを言語化するために言語脳と言われる左脳が働きだし、実際におしゃべりする事で大脳に酸素が送り込まれて消費されていくと次第にその静止画が動き始める。

この記憶を聞き役が引き出すときに5W1Hの5Wを使わないようにし"How"だけで会話する「1H話法」を心がけるのが肝要だ。

対象者の右脳に浮かぶぼんやりしたイメージに対し「それはいつ?」「どこだった?」「誰がいたの?」などと質問すると、具体的な名称を思い出そうと気がそがれてしまって上手くいかない。

「どんな季節でしたか?」「どんな場所ですか?」「どんな人が居ましたか?」とHowを使用することで「暖かな季節だった」「学校の校庭かな?」「お友達がたくさんいて...」など限定されない答えを引き出すうちに「春の運動会だった!」「〇〇君が居た!」というように動き始めた記憶から具体的なワードが飛び出てくる。

また、当然のことながら本人の話は「絶対的真実」として扱うようにし、決して「以前聞いた話と違う」などと否定したり詰問したりしてはいけない。

この3点に留意して「パーソナルソング・メソッド」を同じ場所(デイサービス)で同じ対象者(90代と80代の2名の女性)に週に1回11週にわたって実践する実験をした。

その際に二人の同意も得て脳血流値の変化も同時に測定しながら行ったところ、驚くべき結果が出た。先ず探し当てた対象者に合った曲を聴いてもらうと、左脳に血流が急速に集まり始めたのである。つまり右脳に浮かんだ映像が懐かしくて話したくて仕様がない状態になっていたということ。

また、二人とも施設のトイレの場所も分からないほどの重篤な認知症だったが、初回と10回目に「BCL=健康脳テスト」を行ったところ、初回では殆ど言えなかった家族の名前を10回目ではすらすらと答えるなど、劇的と言って良いほどの改善を見せたという。

「パーソナルソング・メソッド」は「加齢により脳細胞が減少し、それによる記憶減少を起因とした生活障害」タイプの認知症、いわゆるアルツハイマー型認知症に効果がある。レビー小体型認知症、若年性認知症、脳血管性認知症等のタイプには効果が認められにくいと考えられている。

構成/ino

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