
今は、多くの人がいずれかのSNSアカウントを持つ時代。ネット上を探れば交友関係が見えやすいこともある。刑事も現地の聞き込み調査のほか、ネット上での「SNS調査」も行う場合があるという。今回は、刑事時代にSNS調査経験のある、一般社団法人日本刑事技術協会の理事 森雅人さんにSNS調査とはどのようなことを行うのか、そして今、ビジネスマンとしてそのスキルがどう活きているのかを聞いた。
刑事が行うSNS調査とは?
森さんは元警部補で、サイバー犯罪、経済犯罪等を扱う生活安全部門を15年経験した。現在はそのサイバー犯罪捜査の経験と知見を活かし、「人事管理に役立つSNS調査術」などの講演を全国で行っている。SNS捜査とはどんな捜査なのか?
「SNS捜査とは、被疑者や捜査対象者の身辺捜査の一環としてSNSを含めたウェブ上の調査です。ただし、そうしたウェブ調査をするかしないかは、あくまで担当捜査員の判断です。
私は現職時代、被疑者のウェブでの身辺捜査を行っていました。目的は、対象者のSNSを見ることで、現実世界での張込みや聞き込みでは得られない、意外な一面をSNSで発信していたりするなど、対象者の素の姿をSNSを通して見ることができ、素行を知る上で重要な情報が得られる場合が多かったからです。
方法としては、対象者の氏名のほか、さまざまな情報から検索をかけ、膨大な情報から対象者に関する情報を見つけるという地道な作業です」
ビジネスマンとしてSNS調査のスキルが役立っている
SNS調査の経験とスキルは、ビジネスマンとなった森さんにとって大いに役立っているという。
「公開されているSNSを見てみれば色々なことがわかります。ビジネスにおいては、商談相手の与信として、採用の判断軸として、手軽な反社チェックとしてなど活用シーンは多くあります。
ただし、ネット上にはデマ情報もたくさんありますので、情報の信用性に関しては慎重な判断が必要です。前後の文脈を読み取ったり、他の情報と突き合せたりしてその情報が真実なのかどうかを見極めるのに、刑事時代に培ったスキルが大いに役に立っています」
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