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相手が自分のことを理解するのは相当に難しい。そう思うだけで心がラクになることもある

2019.12.03

■連載/あるあるビジネス処方箋

 仕事をするうえで人と話し合う機会は多い。その際、常に考えたいのは相手の「判断能力」だ。「この人は、私が話すことをどのくらい理解できるだろう」と想像してみよう。たとえば、あなたが「これをお願いできない?」と依頼したとする。その時、ある社員はあなたがイメージした通りに動いたが、ある社員は全く異なった態度をとった。2人は、あなたの言葉を正しく理解し、どうすればよいのかと判断する力に大きな差があるはずだ。そして、あなたも全く異なった態度をとった社員との間に大きな差があるに違いない。今回は、なぜ、判断力に差が生じるのかを私の経験をもとに考えたい。このことは、トラブㇽを避けるために重要なことなのだ。

 大きな理由として考えられるのは、双方の該当する仕事の経験や実績、知識、ノウハウなどの差が大きいことだ。さらにいえば、転職者ならば前職までの経験や実績、仕事力、現在の会社での仕事の経験、仕事力、在籍年月や部署、役職、実績や社内での評判や人事の処遇(特に昇進、昇格)に大きな差がある時も、互いの言い分を正確に判断するのはなかなかできないだろう。

 広い視野でみると、基礎学力(特に「話す力」「聞く力」「書く力」「読む力」)や年齢、性別、特に20歳前後までの家庭環境や教育環境に大きな差がある場合も、互いの言い分を正確に判断するのは難しいはずだ。家族であろうとも言えないだろうか。兄弟でも学力や学歴に大きな差が生じると、スムーズな意思疎通ができない場合が増えてくるはずだ。

 これらは当たり前のようで、実はそうではない。たとえば、私はフリーランスになり、15年間が経つが、年に10数回は同業者から相談を受ける。「あの会社の~という人の言っている意味がわからない。どうしたらいいのか?」といったものだ。私が「~という人」と、この同業者の経験や実績を見ると、もはや、意思疎通は不可能としか思えない差がある。この場合は、「どちらがいい、悪い」ではなく、「ウマが合う、合わない」でもない。単に「レベルの差が大きく、相互理解が難しく、正確に判断ができない」だけなのだ。

 ところが、同業者は「なぜ、あの人は理解してくれないのだろう?自分に落ち度があったのかしら」と気をもむ。私は、いつもこう言う。「理解し合うのは今後もおそらくできない。(もう、その人から)引いたほうがいい」。そして、こんな助言をする。「強引に話し合い、理解し合おうとすると、感情的な摩擦になるのかもしれない。とりあえずは離れて、相手が他の部署などへ異動になった時に、今後どうするかと考えたほうがいい」。

 上司と間で悩む社員にも同じことが言える。「上司に相談をしても、要領を得ない回答が返ってくる」といったものだ。この場合も正しく理解し合い、判断することは難しいだろう。残念だが、部下の言っている意味がわからない上司も少なくないのだ。すべての上司が部下と同等の経験や見識、実績、仕事力を兼ね備えているとは限らない。本来は、上司はそこでマネジメントをしないといけない。たとえば、週に2∼3回は1対1で話し合い、誤差を可能な限り、なくす試みをするべきだろう。だが、それすらできない上司はいる。むしろ、多いのではないだろうか。

 大事なのは、上司のことを深くは理解しようとしないこと。たとえば、「なぜ、私の企画を正確に判断してくれないのだろう」と悩まないようにしたい。そもそも、正確に判断などできないのだ。この場合はいい意味で、あきらめたほうがいい。妙な期待をしないようにもしよう。「いつかは、上司が私のことを正しく判断してくれる」とは思わないほうがいいだろう。きっと、上司はあなたのことを正確に判断する前に、他部署へ異動になるのではないか。あなたが異動か、退職するのかもしれない。

 絶対に避けるべきは、上司を変えようとすることだ。たとえば、意見を言ったり、議論をしたりして説得しようとすること。能力の低い上司は、得てして防衛本能が相当に強い。部下が何かを言えば、敏感に反応する場合がある。メンツや自尊心、立場、部下との力関係にきしみやひずみが生じると察して、身を守るために攻撃をしてくるのでないだろうか。つまりは、部下が変えようとして、変わる人ではないのだ。部下としては、「この程度の上司か…」とあきらめるのが現実的だ。

「相手は、自分のことを正確に判断できるのだろうか」。私たちは、このことをつい忘れがちだ。なんとか理解してもらおうと必要以上に期待してしまうこともある。相手を「この人ならば、大丈夫」と信じる場合もあるだろう。しかし、理解し合い、正しく判断するのはすさまじく難しい。むしろ、正確に判断などできないケースのほうが多いはずだ。そんな思いを心のどこかに秘めておいてほしい。それだけであなたの心は多少、楽にならないだろうか。

文/吉田典史

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