
もし今着ている服が過酷な労働環境下で縫われていたとしたら、おしゃれを心の底から楽しむことはできるだろうか。
アパレル業界で徐々に注目を浴びつつある言葉に「エシカルファッション」というものがある。エシカルは「倫理的な」とか「道徳上の」という意味がある英単語。
服の縫製などに携わる人が過酷な労働環境でもなく、不公平な取引で商品を安く買い叩かれることもなく、倫理的に正しい考えを持って作られた服のこと。人や環境に優しい服といえばわかりやすいかもしれない。
そんなエシカルファッションを日本に浸透させようとするスタートアップ企業が「Enter the E株式会社」以下、Enter the E)である。エシカルに配慮した良質なファッションブランドを世界中から探し出し、日本の消費者に届けようとしている。
11月29日~12月1日に開催された日本財団ソーシャルイノベーションフォーラムの展示ブースでEnter the E社の存在を知った。2019年に設立された新しい会社で、ボーダレス・ジャパングループの一員であるという。「服を楽しみながら、人や環境に負荷の少ない選択肢を増やせたら」というビジョンを掲げている。
エシカルファッションを知る上で重要な出来事がある。2013年にバングラデシュの「ラナ・プラザ」というビルが崩壊した。入居していた縫製工場は生産性を追い求めるあまりに、建物は許容値を超える増築を繰り返していた。また労働者は過酷労働を強いられていたので、崩壊当時も多数の労働者が働いており、死者1134人、負傷者は2500人を超える大惨事となった。
消費者が「エシカル」を意識して服を買うのだろうか
そもそも買いたい服がエシカルに配慮しているかどうかなんて、ほとんどの人が気にしない。繊維商社の豊島株式会社が行った調査によれば、調査対象の約75%の人は、デザインや価格を重視して服を選んでいる。環境への配慮がされているかどうかは、5.3%でしかない。
■普段、洋服・ファッションを選ぶ際に、よく当てはまるポイントは何か?(複数回答)
引用元:ファッションの環境意識調査/豊島
また同調査結果によれば70%以上の人が環境や社会に配慮したファッションを取り入れたいと考えているという。消費者は「エシカル」に興味があるものの、実情は価格やデザインで選んでいることがわかる。
そのためデザインが良く、安くて質も良く、エシカルに配慮して作られた服がないと買い手に「エシカル」さを伝えることは難しいだろう。服屋さんで、手に取った商品が安くて良い商品でないと、そもそも購入する気にならないからだ。
Enter the Eの植月代表も「店舗で販売する商品にQRコードを付けてどのようなエシカルな配慮があるかをPRしようとしたがほとんど見られなかった。デザインや価格からアプローチして、エシカルさを伝えようと考えている」と直接エシカルさを伝えることは難しいことを認識してショップの運営を行っている。
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