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【開発秘話】累計300万本以上売れているゼブラのボールペン「ブレン」

2019.12.03

■連載/ヒット商品開発秘話

 ボールペンで字を書いているとき、微妙な振動を感じることがないだろうか? 言われて初めて気づくような些細なことだが、その振動が指を通して体に伝わり続ければストレスになる。

 この筆記時の振動を制御したのが、ゼブラの『ブレン』である。

 2018年12月に発売された『ブレン』はエマルジョンインク採用のボールペン。「ブレンシステム」と呼ばれる新開発の振動制御機構を採用し、ストレスフリーな書き心地を実現した。発売と同時に、メインターゲットとした社会人女性を中心に人気を集め、これまでに300万本以上が売れている。

感覚が麻痺した末に得た、筆記時の振動という気づき

『ブレン』が企画されたのは2016年秋。企画に込められていたのは、油性ボールペン市場でシェアを獲り、盛り返したいという思いであった。研究開発本部商品開発部 アシスタントリーダーの瀬川陽介氏は、次のように話す。

「当社のボールペンはジェルインクでは『サラサ』が売れており、現在うまくいっています。しかし油性インクでは、水性(ジェル)インクの長所も併せ持ったエマルジョンインクの『スラリ』はあるものの、一番強い他社ブランドには及んでいません。ボールペン市場でのシェア拡大を狙うには、油性ボールペンで売れるものが必要なことから、『スラリ』に続く新ブランドとして『ブレン』を立ち上げることにしました」

ゼブラ
研究開発本部商品開発部 アシスタントリーダー 瀬川陽介氏

『ブレン』でも現在売れている油性ボールペン同様、書き心地の良さを謳うことを目指すことにしたが、他社から発売されているインクに特徴のあるものとは一線を画すことにした。その理由を、瀬川氏は次のように話す。

「インクで書き心地の良さを実現すると、競合他社の油性ボールペンと同じ土俵で闘うことになってしまいます。それ以外の手段で書き心地の良さを実現できれば新しさがあり、競合他社と同じ土俵で勝負しなくて済みます」

 インク以外の手段で着目したのが、筆記時の振動の制御だった。着目したのは、多くのボールペンを買い集めて文字を書きまくった結果からだった。「違いがわかるまで書きまくって感覚が麻痺するほどおかしくなった」(瀬川氏)ところで初めて、筆記時の振動が気になったというのだ。筆記時の振動を抑えることができれば書き心地が良くなり、無意識のうちにかかっていたであろうストレスが軽減できる、と考えたわけである。

 それに、振動を切り口にボールペンの書き心地向上を研究している研究者が社内にいたことも決め手になった。瀬川氏がその研究者に相談を持ちかけたところ、筆記時の振動は書き心地に影響するというエビデンスがある程度発表されていることを知る。筆記時の振動の制御は方向性としては間違っておらず、突き詰めていけば新規性が打ち出せ研究成果を形にできることから、企画・開発に至った。

普通のボールペンでは使わない部品を組み込む

『ブレン』に採用されている「ブレンシステム」は、試行錯誤の末に次の3点を特徴として備えるものになった。

(a)中芯の先端をホールドする部品を搭載し、ノックして書くときにペン内部のブレを防止
(b)金属製のおもりをグリップ内部に入れ、重心を下げることで筆記時のブレを防止
(c)各部のすき間をなくし、ペン内部のブレを防止

『ブレン』の内部構造。本文の(a)〜(c)は画像の(a)〜(c)に対応する

 中芯の先端のガタつきを押さえることに関しては、開発の最初から取り組んでいた。それは、振動する原因の1つが先端のガタつきにあることが、すでにわかっていため。対策として、普通のボールペンには使われていない「インナー」と呼ばれる部品を本体の先端に仕込んだ。「インナー」はサイズや材質を変えて検証を繰り返し、書き心地が良くなるようなものを採用することにした。

「インナー」以上に珍しいのが、重心を下げるために搭載したおもりだ。開発時は先端に1個配置、3個つなげて配置、2個を離して配置、など様々なパターンをテスト。振動を抑え書き心地を良くするには、本体内部にどのように配置するのがベストなのかを探った。おもりが重すぎると書いている途中で疲れてしまうことから、配置だけでなく重量も変えつつの検証になった。

『ブレン』の部品構成

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