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3年も15年も一緒!?難しい「経験者」という言葉の解釈

2019.11.26

■連載/あるあるビジネス処方箋

 今回は、私がフリーランスになった15年間で苦しんでいることを紹介しよう。それは、「経験者」という言葉の意味の解釈だ。通常は、仕事の経験やそこからつかんでいる見識、知識、ノウハウ、実績を含めて、「経験」と呼ぶ。ところが、それらが無きに等しいと思える人がいる。フリーランスは、経験がなくとも「経験者」と名乗ることが可能だ。

「多少の経験があるのかな」と感じる人はいるが、一緒に仕事をすると、「経験者」とは言い難いと思う場合もある。「15年の経験」と聞いたので、「それなりにできるのだろう」と期待していると、「数年のキャリア」にしか見えないこともあった。「経験」の中身や実態が、私がイメージするものと相当に違うのだ。

2005年まで会社員であった頃は、上司を始め、周囲の社員の仕事力、実績はそれぞれの同世代の社員とほぼ同レベルだった。例えば、他部署から人事異動で来た30代前半の社員ならば、「この仕事をこのくらいのペースでできるだろう」と想像がつく。それは、他の30代前半の社員の仕事のレベルを事前に把握できていたからだ。

これは、人事の仕組みがあったからともいえる。つまり、採用(新卒、中途)で年齢、性別、学歴や職歴、実績、資格をもとにターゲットを定め、「欲しい人材」を獲得する。同じような背景の人が入社する傾向がある。そのうえで、研修や日々のOJTで仕事力をつけさせる。各部署で情報や意識、知識、ノウハウ、目標の共有をする。部員たちで会議や打ち合わせを繰り返し、共有を図る。これらと並行し、人事制度や賃金制度が整備され、人事評価のもと、同じ等級(ランク)にほぼ同レベルの仕事力の人が集まる。

一連の取り組みが「組織化」であり、「チームビルディング」だと私は思う。ただし、大企業や中堅企業、あるいは意識の高い人事責任者が仕切るベンチャー企業に限る。人事の取り組みに熱心とは言い難い中小企業は、例外とする。

「組織化」や「チームビルディング」が十分にできている会社では、「経験者」という言葉で苦しむ機会は少ないと思う。社員は互いに「仕事力は、このくらいのレベルだろう」と察して、深い会話ができるはずだ。しかし、中小企業では苦しむ社員が多いのではないか。たとえば、中途採用試験を経て入社した場合、「ここの社員は経験者でありながら、なぜこんなに仕事ができないのだろう」と感じることがあるだろう。経験、見識、実績の共有ができていないから、感じるのだと思う。人事の仕組みが十分にはできていないとみることもできる。

 読者諸氏は「経験者」という言葉を聞いたとき、何を思うだろう。現在勤務する会社に「中途採用」を経て入社した人の仕事力が「素人」に近い状態ならば、採用試験のあり方に大きな問題があった可能性が高い。面接官の人事部員や役員、管理職にも責任があるだろう。あるいは、日々の情報、意識、目標、経験やスキル、知識の共有が社員間で徹底して行われていないことも考えられうる。研修にも問題があるだろう。さらにいえば、おそらく、上司と部下が仕事について深い会話をしようとしても、十分にはできないはずだ。

 同じ会社である以上、仕事の経験についてある程度の共有のイメージが社員間で正確にできないといけない。今後、同じ部署の社員などと「仕事の経験」について話し合ってみよう。深い会話にならない場合、要注意だ。おそらく、会社や管理職の部下育成力を始め、マネジメント力には難があるはずだ。業績が長い間、伸び悩む可能性がある。

 読者諸氏が、私のようなフリーランスだとする。取引先の担当者の「仕事の経験」について疑問を感じる機会が多いならば、その会社とは長い期間の関係にはなりえないだろう。たとえば、「この担当者は5年の経験があると自ら語っているが、実際は1〜2年に見える」という場合だ。私はここ数年間、この苦しみがあった。このレベルの会社は得てして、部下育成を始めとしたマネジメント力が相当に低い傾向がある。役員や管理職、社員の質も概して低い。観察をしていると、中小企業に目立つ。大企業の同世代の社員と比べると、5ランクは低いようにみえる。

「仕事の経験」という言葉について、あらためて考えてみたい。ポイントは、経験について社員間で深い会話ができるか否か、だ。疑問を感じる場合、仕事の面で納得できる健全な関係づくりは難しいのかもしれない。もしかすると、その職場からは人事異動などで離れたほうがいいのでないか、と思う。転職をすることも、1つの選択かもしれない。それほどに「経験」について深い会話ができないのは、深刻な問題なのだ。

文/吉田典史

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