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ブレグジットに揺れる欧州で存在感を増す「ニューイースト」、ジョージアの首都トビリシが注目される理由

2019.11.24

日本にいるとわからないかもしれないが、ブレグジットや移民問題など、閉塞感が漂う欧州連合(EU)を横目に、「ニューイースト」と呼ばれる都市の台頭に注目が集まっている。中でも近年、最も可能性に満ちた都市と言われるのがジョージアの首都、トビリシだ。西と東をつなぐシルクロードの要衝、トビリシの今をベルリン在住のメディア美学者・武邑光裕氏が全3回に渡ってレポートしていく。

ジョージアの首都トビリシが注目される理由①
~現代のボヘミアンはトビリシに向かう~

なぜトビリシなのか?

2019年11月、ジョージアの首都トビリシに滞在する機会を得た。ここで言うジョージアとは、米国のジョージア州ではない。2015年までロシア語で「グルジア」と呼ばれていた国のことである。ジョージアの首都トビリシは、近年、世界中のトレンドセッターやノマド・ワーカーが最も注目している街である。

トビリシの中心街、高層ビルも目立ってきた。

ベルリンの壁の崩壊から30年、ソビエト連邦の崩壊から28年が経った。長らくソビエト連邦の構成国であったグルジアは、1991年に独立した。2014年10月、日本政府にロシア語の「グルジア」の使用をやめ「ジョージア」へ変更するよう要請が行なわれ、2015年4月よりジョージアと呼ばれている。黒海とカスピ海に挟まれたコーカサス地方の小さな国といえば、民族衣装を着て高原を馬で駆けめぐるシルクロードの人々が思い浮かぶかもしれない。

トビリシは、ヨーロッパの古い街並みと斬新な現代建築が共存している。

しかし、そのような想像力は現在のトビリシには通用しない。この街はかつてシルクロードの要衝として東西文明の交差点に位置し、歴史あるヨーロッパの街並みと斬新な現代建築の共存が現在の街の姿である。ジョージアの総人口は430万人、首都トビリシには110万人が暮らす。そこは、世界中のビジネス・トラベラーや現代のボヘミアンたちを魅了する楽園であり、好奇心の強い旅行者だけでなく、あらゆる種類の人々を引きつける強い磁力を放っている。

ジョージア最良のトラベルガイド・サイトである
Georgia Starts Here. https://georgiastartshere.com/

ニューイーストの台頭

ブレグジットで揺れる英国や移民の受け入れ政策に反対する勢力の台頭など、欧州連合(EU)の未来は不透明で閉塞感が漂っている。そんな西ヨーロッパを横目に、「ニューイースト」と呼ばれる都市の台頭に熱い視線が寄せられてきたのは最近のことである。「ニューイースト」とは、いわゆる東欧諸国よりもさらに東に位置し、地政学としてはヨーロッパの東限を意味している。

1991年のソビエト崩壊後に徐々に発展を遂げたニューイーストの都市群は、現ロシアや旧ソビエト圏の都市を指す。リガ、ミンスク、ソチ、キエフ、カザン、サンクト・ペテルブルグなどがその構成都市である。しかし、その中で最も注目される都市が、ジョージアの首都トビリシである。この数年、世界一スタートアップが生まれる都市はベルリンだったが、次はトビリシから多彩なイノベーションが起こるという予測は単なる空想ではない。

トビリシの魅力

トビリシが一躍世界に注目されたのは、街に現れた斬新でスタイリッシュなホテルや、若き起業家たちの個々の経済活動を支援するイノベーション・エコシステムの成功、ベルリンの最高峰クラブ「ベルクハイン」を超えたと評されるトビリシのクラブ・シーンの動向かもしれない。

あるいは、ジョージアの親EUの考え方(ジョージアは国連と欧州評議会のメンバーである)や、大胆な経済政策の舵取りを行なう国の姿勢にあるのかもしれない。そして、8000年前に遡る世界最古のワイン文化や、日本ではあまり知られていないジョージア料理の素晴らしさ、自然に恵まれたリゾートや温泉の文化なのかもしれない。

トビリシにはEU加盟を強く希望するジョージアの国旗とEUの旗がいたるところに掲げられている。

世界がトビリシに注目する観点が何であれ、トビリシは訪問する価値のある刺激的な都市であることは間違いない。日本からトビリシにはさまざまな行き方がある。西ヨーロッパの主要な空港を経由すると19時間は覚悟する必要がある。時短にこだわれば、ドーハやワルシャワ、タイなどを経由する方法もある。筆者が暮らすベルリンからは、トビリシへ週2便の直行便があり、3時間半で到着する。

スタンバ・ホテルの衝撃

ソビエト時代の巨大な出版社を改修し、世界最高のデザインホテルとして生まれ変わったStamba Hotel (スタンバ・ホテル)に足を踏み入れると、世界のトレンドセッターたちが、なぜオープンしたばかりのこの42室のホテルを絶賛しているのか? その理由はすぐに明らかとなる。しかも、このホテルはまだ進化の途上である。ガラス底の屋上プールがロビーの真上に登場し、トビリシで最初の都市型垂直農場や建物の3階には写真ミュージアムがオープンした。ホテルは最終的に150室となる計画だ。トビリシにはシェラトン、ラディソン、マリオットなど、国際的なブランド・ホテルが独自のコンセプトを競っているが、スタンバと比較すればそのどれもが色あせたレガシーに見えてしまう。

スタンバ・ホテルのエントランスホワイエ。まさに垂涎の図書館でもある。

スタンバの姉妹ホテルであるルームズ・ホテルのエントランス。

スタンバ・ホテルは、DESIGN HOTELSのメンバーでもある。

今、スタンバが注目を集めているが、先行して開業した隣接の姉妹ホテルであるRooms Hotel(ルームズ・ホテル)も人気である。スタンバより低価格というだけでなく、その雰囲気はボヘミアン・シックの快適さを満たしている。自由な雰囲気と趣のあるカフェが点在する旧市街のヴェラ地区に位置するスタンバとルームズ・ホテルは、現在のトビリシを完璧に体現する場所のように感じられる。トビリシという街自体が、優雅さと伝統、最上のホスピタリティを反映した街だからだ。

ソビエト時代の出版社がスタンバのもとの姿である。当時の印刷工場の壁に、ここが「出版社」であったことを示している。

2019年10月にオープンした地上階のロビーラウンジ。奥まで多彩な空間が緩やかに連続している。図書館とクラブが一体化しているような、数百人を収容できる巨大ラウンジ。

産業遺産のジャングルと夢のような図書館が融合する広大なロビーラウンジは、20世紀の産業遺産がいかに現代的なニーズに応えるかの最良の事例を示してくれる。しかし、スタンバとルームズ・ホテルの客室とアメニティ、正確に言えばそのホスピタリティこそ、トビリシに来る本当の意味を教えてくれる。

スタンバのゲストルーム。30年前の赤い電話機が懐かしい。

Klipsch(クリプシュ)のワイヤレス・スピーカーとPro-Ject(プロ・ジェクト)のターンテーブル

自立型の金属アンティーク・スタイルのバスタブ、ラ・マルゾッコのエスプレッソマシン、心が躍るミニバー、ブルックリンの「ジャズクラブ」の香りに焦点をおいたトビリシ産のバスアメニティ、室内に置かれたKlipsch(クリプシュ)のワイヤレス・スピーカーとPro-Ject(プロ・ジェクト)のターンテーブルは、ビニール・レコードを久々に回す動機を与えてくれる。

地上階のロビーラウンジでは、McIntosh(マッキントッシュ)のハイエンド・オーディオ・システムから大音量のラウンジ・ミュージックが鳴り響いている。ホテル内のコンセプト・ショップでは、ファッションや書籍、多彩なアメニティ、伝統図案を再生したテーブル・クロスやスカーフ、ビニール・レコード、雑貨など、地元の優れた商品を取り揃えている。

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