名もなき家事の多くは、ほんの小さなひと手間だ。だが、塵も積もれば山となり、負担を感じるようになる。名もなき家事の処理は、家事シェア問題における隠れテーマかもしれない。
〜北村家PROFILE〜
[夫]隼祐さん
会社員・34歳。ゴミ出し、食器洗い、風呂掃除、庭の手入れを担当。週末に仕事が集中するため、細かい家事や子供の世話は妻に任せがち。
[妻]萌恵さん
会社員・32歳。料理、洗濯、掃除を担当。保育園送迎など子供の世話のほか、名もなき家事を一手に引き受けている。現在第2子妊娠中。
[子]耀大(ようた)ちゃん(3歳)
ウルトラマンとアンパンマンに夢中な男の子。朝はパパと一緒に庭の水やりをすることも。
働き方が変わり、家事負担が微妙に変化
夫の転職をきっかけに家事シェアバランスが変わってきた北村さんご夫妻。妻・萌恵さんは、夫の労をねぎらいながらも「職場環境が変わって大変なのはわかります。でも、もう少しだけ家事もケアしてほしいかな」と本音を漏らした。それを聞き、夫・隼祐さんは困惑の表情を浮かべた。
「一番大変な子供の世話と掃除、洗濯、料理を妻に任せているので、申し訳ないとは思っているんですが、昔ほど家事の時間が取れなくて……」
隼祐さんはこれまで積極的に家事を行なってきたが、職種が変わったことで帰宅時間が遅くなり、週末に仕事が集中する生活サイクルに変化した。ゴミ捨てや花の水やりなど、出勤前にできる家事はこなしている。また新居には、自動洗浄機能のあるエアコンやレンジフード、ドラム式洗濯乾燥機、コードレス掃除機など最新の家事家電を導入し、家事負担を軽減する投資をしたつもりだ。妻が望む「もう少し」とは何だろう。
「うーん、いわゆる“名もなき家事”ですね」(萌恵さん)
名もなき家事とは、布団を整える、調味料の補充・交換をする、郵便物をチェックして不要なDMを捨てるなど、名前をつけようもない家事のことを指す。
これらの微細な家事が、円滑な生活を支えているのだ。
「担当以外の家事は、妻に頼まれることだけをやっていました。でも、本当は言わなくてもやってほしいんですね。もう少し、がんばってみます」(隼祐さん)
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