
行政職員の人手不足が深刻化する中、ふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」で知られるトラストバンクが、高いセキュリティ環境を有する、国内初の自治体専用ビジネスチャットツールを開発した。自治体の業務効率の向上や広域連携の促進につなげる。
従来の自治体におけるコミュニケーション課題は、この自治体専用ビジネスチャットツールでどう解決したのか? 埼玉県深谷市や福島県伊達市の活用事例と共に見ていこう。
自治体間で使えるビジネスチャットツール提供の背景
トラストバンクは、自治体の業務効率化を支援するため、セキュリティの高い行政専用回線の総合行政ネットワーク「LGWAN-ASP」を活用した自治体専用ビジネスチャットツール「LoGoチャット」を開発、提供を開始。LAWAN-ASPを使用したビジネスチャットツールは国内初だという。
もともとトラストバンクは、地域共創事業を目指しており、ふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」において1,500以上の自治体と契約して得た自治体ネットワークを活かしたツールを提供していきたいとの考えを持つ。
「LoGoチャット」が開発された背景には、高齢化・人口減少により地域の課題が多様化・複雑化し、行政職員の人手不足が深刻化していることがある。
また行政業務の中には、アナログでやらざるを得ない福祉サービス、公共インフラの適正維持、災害対応などもあるが、紙・押印による手続きなどの事務処理、コミュニケーションなどデジタルに変えられるものもある。
そこでトラストバンクはアナログの部分を残しながら、新しいICT技術を活用して、行政の業務改善を支援し、地域や住民のためにより創造的な付加価値の高い業務に従事できる時間を創出することをねらい、コミュニケーションのデジタル化として、「LoGoチャット(local goverment)」=自治体専用のビジネスチャットツールを提供するに至った。
自治体におけるコミュニケーション課題
LoGoチャットは、リリースから1ヶ月半で36の自治体で利用が開始され、12,960ユーザーを突破した。その自治体人気の背景にはどんなことがあるのか? それは、このチャットツールが自治体のコミュニケーション課題を解決しているところにあるようだ。
トラストバンクによれば、自治体には従来、こんなコミュニケーション課題があったという。
●連絡が取りづらい
出張時・自席不在時に連絡が取れない、電話受けで一日が終わる。折り返しても不在。電話メモ作成が手間。メールだと返信に手間がかかり、リアルタイム性がない。
●気軽な会議がしにくい
会議というと、日程調整や会議室予約、紙資料の準備だけで時間がかかる。また職員同士のオープンで気軽なやりとりやアイデアの創出ができない。同じ悩みを抱える近隣自治体や遠隔の自治体と気軽に連絡・相談したいといったニーズも。
●情報共有のスピードが遅い・難しい
紙資料やメールでの情報共有ではスピードが遅い、ペーパーレスがなかなか進まない。
また複数の部署をまたいだ情報共有が難しい。