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アクション多めでみんなでワイワイできる映画は劇場で、じっくり楽しみたい映画は家で…変わりつつある映画鑑賞スタイルの二極化

2019.11.14

 一方、実際にあった教皇交代劇が基になっている『2人のローマ教皇』の主演2人は大ベテラン、アンソニー・ホプキンスにジョナサン・プライスだ。

 ベテラン俳優による教皇の実話というと重厚な映画のようだが、意外に軽みもあり、正反対のキャラクターである教皇2人のバディムービーとしても楽しめる。

 やはり、12月20日の配信前、12月13日から一部劇場で公開される。

Jonathan Pryce attends "The Two Popes" International Premiere during the 63rd BFI London Film Festival at the Embankment Gardens Cinema on October 07, 2019 in London, England. (Photo by Tim P. Whitby/Getty Images for BFI)

 さて、先にあげたチャーダ監督の言葉とともに思い出したのが、『英国王のスピーチ』(2010)でインタビューした時に、コリン・ファースが言っていたことだ。

 「この映画はヒットするような映画ではない」と後にアカデミー賞4冠となる『英国王のスピーチ』を評し、メインとなる自分とジェフリー・ラッシュを指して、おじさん2人の映画と言い、ヒットする映画とは「綺麗な人がいる、アクションがある映画」とした。

 そんなこと?と拍子抜けしたが、考えてみるとその通りだ。たとえば、『マリッジ・ストーリー』の2人、ヨハンソンは『アベンジャーズ』シリーズではピッタリしたセクシーな衣装で華麗なアクションを披露しているし、ドライバーも『スター・ウォーズ』シリーズではフォースを使う。ご存知の通り、両シリーズとも大ヒットで長く続いている。

 だが、『マリッジ・ストーリー』は、そんな2人を主役にしながら、セクシーさが強調されることも、アクションシーンもない。舞台監督の夫と女優の妻という設定で、華やかな職業ではあるものの、描かれるのは生活者としての夫と妻、子供との暮らしに心を砕く父と母としての顔だ。

 『2人のローマ教皇』にいたっては、ファースの言い方を借りれば、おじいさん2人の映画、アクションどころか歩くのさえゆっくりだ。

 そういう“ヒットするような映画ではない”ものは、良作でさえオンライン公開になっていくのか。

 そうなりそうな要因として、1つには、映画制作費が一昔前とは比較にならないほど大きくなったことがある。70代も後半のロバート・デ・ニーロ、アル・パチーノを3~40歳もCGIで若返らせている『アイリッシュマン』は約150億円、CGIで夢のようなアクションヒーローを見せるのが基本のマーベル映画、『アベンジャーズ』は200億円を越える制作費という。それを回収できるか、スポンサーのヒット予測もそれだけシビアになる。

 そして、もう1つは、その制作費を出せるのがNetflixをはじめとしたオンライン配信会社ということだ。それだけ映画配信会社が儲かっている、オンラインで映画を観る人が多くなっているのだ。時代の流れは止めようがない。

 最多ノミネートされ最終的に3冠をさらった『ROMA/ローマ』がNetflix映画だったことが話題となった前回のアカデミー賞だが、今回もまたNetflix映画のノミネートは固いだろう。

 それどころか、映画館で公開されるのは、最初からヒットが約束されているような映画、綺麗な人がいる、アクションがある、マーベルに代表されるポップコーンムービー、賞にあがるような作品はオンラインが担う、と分かれつつあるのかもしれない。スコセッシ監督のマーベル批判は、そんな映画界の現状に警鐘を鳴らしているのだ。

文/山口ゆかり
ロンドン在住フリーランスライター。日本語が読める英在住者のための映画情報サイトを運営。http://eigauk.com

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