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ひと際、職人の雰囲気が漂う東大サークル「東大襖クラブ」を覗いてわかった襖の張り替えの魅力

2019.11.11

東大サークルの中でも、ひと際、職人の雰囲気が漂うサークルがある。東大襖(ふすま)クラブだ。実際、一般家庭などからの襖張り替えの依頼に仕事として応じており、実に本格的な活動をしている。その東大襖クラブに、襖張り替えの魅力や昇進試験のしくみ、活用内容などを聞いてみた。

創部約60年の歴史を誇る「東大襖クラブ」

枠にかけての部分を切っているところ

東大襖クラブは、創部約60年の歴史を持つ伝統的なサークルで、主に一般家庭の襖と障子の張り替えの依頼を受けている。

2019年10月末現在、部員は学部14名、修士6名の合計20名。

学部2年生で渉外担当の西尾典紘さんによると、修士の6名はベテランで、全員学部生だったときからのメンバーだそうだ。襖を張り替える仕事は基本的に学部の14名が行い、修士の6名は人が足りないときに応援しに行ったり、張り替えがむずかしい襖の場合に対応したりしているという。

東大襖クラブはもともと、襖職人の弟子入りをして得た技術を、先輩から後輩へと受け継いでいるのだという。

襖張り替えの仕事は月に10件前後

板戸本体に襖紙を張っているところ

だいたいどのくらいのペースで襖張り替えの仕事を受けているのか。西尾さんは次のように答える。

「今年は4月から10月までで70件くらいでした。月10件前後になります。ご依頼の窓口はホームページから。家庭の方が多いです。他に旅館や、お寺・神社の障子張り替えのご依頼もいただきます。対応エリアは日本全国どこでも可能、東京都など首都圏の依頼が多いですが、軽井沢や東京の島嶼部などからの依頼もありました。

値段は襖1枚につき、手間賃が1,100円程度、紙代はだいたい1,500円から2,000円なので、合計で1枚2,500円から3,000円くらいで行っています。交通費は大学からの分をいただいております」

お客様からは、どんな声が挙がっているだろうか?

「襖を張り替えたことで、部屋全体が明るくなったと言われたことがあります。そう言われると本当に嬉しいです。あとは、結構、黙々とやっています。お客様によく聞かれるのは『どうして襖クラブに入ったんですか?』ということ。ちなみに私は、たまたま新歓(新入生歓迎会)で襖を張ってみてハマりました」

サークル活動をしながら、普通のアルバイトのようなこともできるのは珍しい。

「格安なので、儲からないんです。売り上げは1年生の紙代などになります。個人もお金はもらえますが、だいたい道具代に消えます。ハケやカッター、金づち、釘など。カッターにはこだわってるメンバーが多いです」

本部員になってお客様宅へ行けるまで

襖張り替えの経験がなくても、入部してから覚えられるものなのだろうか?

「入部してから十分、覚えることができます。手先が器用じゃなくても大丈夫です。ただ張るのが楽しくないと続かないと思います。今年も新入生が最初に10名いたのが、今では3名になりました」

東大襖クラブには試験があり、合格すれば本入部できる。本入部すれば、お客様のところへ行くことができる。

「まず、1年生は先輩が張り替えるのを3回見ます。3回見たら『仮入部』になります。そして『初張(はつはり)』という初めての張り替えを、先輩と一対一のマンツーマンで行います。その後、自分一人で張り替えの練習をして、できた襖を先輩に見せ、その襖に直接、先輩がコメントを書き入れます。そして何度か張り替えて、先輩が合格サインを出せば試験は合格です。

全部で2種類の襖を張り替え、合格する必要があります。1つ目は、4月から7月までの間に骨組みがある『本ぶすま』という襖。だいたい12回から15回くらい張り替えれば合格が出ます。2つ目は9月から翌年1月までに、板でできた『戸ぶすま』という襖を張り替えます。これは本ぶすまとはまた違ったむずかしさがあるといわれます。これに合格すれば、晴れて本入部できます」

一年生が張った襖。緑が一年生のコメント、ピンクが先輩のコメント

本取材当時は10月末だったことから、1年生の3名は2つ目の試験の戸ぶすま張り替えの練習をしている真っ最中。西尾さんは合格の見込みがある3名だと話していた。

襖張り替えの醍醐味

張り替えに使う主な道具

ところで、襖張り替えは技術云々よりも、張り替えが楽しいと思えるかどうかが続けるコツのようだ。西尾さんに襖張り替えの醍醐味を聞いてみた。

「ハケで水のりを塗ると、紙が1回しわしわになるんですが、乾くと紙が張ってシワひとつなくなります。それが気持ちいいなーと思います。また一口に襖と言っても、いろんな種類があるんです。板や段ボールでできているものや、枠が釘やネジで止まっているもの、はめ込み式のものなどいろいろなタイプがあります。お客様のところに行くたびに色んな襖があって、新鮮な体験ができるのが楽しいです」

襖張り替えの魅力の感じどころは、人によって大きく異なるようだ。

「他の部員の中には、襖の引き手にハマっている人がいますね。引き手が可愛いんだそうです。金属がそのままむき出しになっていたり、木やプラスチックに交換したりすることもできますし、色んな種類があるんです。また、ふすま紙にはまってる人もいます。今はモダンなものもありますし、見本帳があるので、見ていて楽しいですよ」

自分なりに襖張り替え独特の魅力を見つけ出した者のみが、部員として残っているというわけだ。

卒業後の進路は?

部員たちは大学卒業後、東大襖クラブの経験と実績をどのように役立てているのだろうか?

「卒業後、襖張り替え関係の仕事につく人はいないです。技術は生かされないですね。ただ、1年生のときに一人で張り替え練習をする経験は、将来、色んな仕事を一人でこなすということに、臨機応変に活かされるのではないかと思っています」

東大襖クラブは、大学在学中にアルバイト以上の経験ができる上に、独特の襖の魅力に取りつかれた者だけの希少なサークル活動といえそうだ。気になる人は、ぜひ自宅の襖の張り替えを依頼して彼らの技術を堪能してみよう。

【取材協力】
東大襖クラブ
http://fusumaclub.webcrow.jp/

取材・文/石原亜香利

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