
オレオレ詐欺に代表される特殊詐欺は、危険性や手口が警察や行政機関、メディアなどを通じて頻繁に注意が喚起されているにもかかわらず、いまだに被害が後を絶ちません。自分や家族の身を守るためにも、オレオレ詐欺に関する現状や動向、代表的な手口を知っておきましょう。
特殊詐欺について知ろう
オレオレ詐欺は、いくつかの種類がある特殊詐欺の一つです。オレオレ詐欺や特殊詐欺の概要について理解を深めましょう。
オレオレ詐欺とは
オレオレ詐欺とは、身内や親族・警察官・銀行員などを装い、さまざまな名目によりすぐに現金が必要であるかのように電話で被害者を信じ込ませ、現金をだまし取る詐欺です。
息子や孫などの身内になりすまし、「オレだよ、オレ」などと電話をかける手口から、オレオレ詐欺の名称が付けられています。
また、指定した銀行などの口座に現金を振り込ませることを目的としていることから、『振り込め詐欺』の一つとしても扱われます。
交通事故の示談金や会社における横領金の補填金、妊娠した浮気相手の中絶費用など、被害者を信じ込ませる名目もさまざまです。
特殊詐欺の現状
オレオレ詐欺に代表される特殊詐欺とは、不特定多数の者に対し電話をかけるなどして、対面せずに被害者をだまし、現金などを振り込ませたりする詐欺です。
特殊詐欺は、『振り込め詐欺』と『振り込め詐欺以外の特殊詐欺』の二つに大別され、オレオレ詐欺・架空請求詐欺・融資保証金詐欺・還付金等詐欺の四つが『振り込め詐欺』として扱われます。
また、『振り込め詐欺以外の特殊詐欺』は、金融商品等取引名目の詐欺・ギャンブル必勝法情報提供名目の詐欺・異性との交際あっせん名目の詐欺・その他の特殊詐欺の四つに分けられています。
災害に便乗した義援金や寄付金を装ったり、オリンピック開催に合わせた投資や入場券の優先購入などを口実にしたりと、その時々の社会情勢に便乗した手口が多いことも特徴的です。
特殊詐欺被害の動向
警察庁が公表している資料によると、平成30年(2018年)における特殊詐欺の認知件数は1万6493件と、平成22年から7年続いていた増加傾向が減少に転じています。また、特殊詐欺の被害額は約363.9億円億円と、4年連続で減少しています。
しかし、件数および被害額は高い水準を推移しており、依然として深刻な情勢であるといえるでしょう。
手口別では、オレオレ詐欺と架空請求詐欺の認知件数が、全体の約84%を占めています。オレオレ詐欺の認知件数は9145件で前年から増加、被害額は約188.9億円で前年から減少しています。
毎年のように警視庁がオレオレ詐欺への注意喚起をしているにもかかわらず、いまだにこれだけの被害が発生しているのです。
警察庁:平成30年における特殊詐欺認知・検挙状況等について(確定値版)※PDF
オレオレ詐欺の手口
オレオレ詐欺にはさまざまな手口が存在します。これまで多くの人が被害に遭っている主な手口を紹介します。
身内や親族へのなりすまし
オレオレ詐欺で最も知られている手口は、息子や孫などの親族になりすまして電話をかける手法です。
「会社の金を使い込んだ」「浮気相手を妊娠させた」「交通事故の示談金が必要」「借金取りに追われている」など、今すぐにお金が必要である話を切り出してきます。
被害者は、自分の息子や孫が大変な状況になっていると信じ込んでしまい、犯人から言われた通りにお金を振り込んだり郵送したりして、お金をだまし取られてしまうのです。
息子や孫だけでなく、当事者を装った他の人物も登場するなど、犯人側がグループを組んで巧妙な演出を仕掛けることもあります。
警察官へのなりすまし
犯人が警察官になりすますパターンでは、「あなたの口座が詐欺事件に利用されている」「あなたの息子が交通事故(または痴漢)を起こした」などという内容の電話がかかってきます。
被害者を不安にさせるような内容の話が続いた後、最終的には「早く口座からお金をおろしてください」「今すぐ示談金を用意してください」などの指示を受けるのです。
中には、事前に録音した駅構内の音や女性の声などが聞こえるように演出したり、弁護士など他の人物が電話に出たりと、大掛かりな劇場型の手口もあります。
銀行員などへのなりすまし
オレオレ詐欺には『キャッシュカード受取型』とよばれる手口があります。典型的な例は、犯人が銀行員や金融庁職員などになりすますというものです。
「あなたの口座が悪用されている」「キャッシュカードを預けてほしい」「手続に必要なので暗証番号を教えてほしい」などといった内容を電話で話してきます。
その後、銀行員などを装った犯人が、キャッシュカードを受け取りに自宅を訪れるという流れです。
電話やメールの注意点を把握しよう
オレオレ詐欺は、一般的に電話やメールで最初のアプローチが仕掛けられます。自分が被害に遭わないように、注意すべきポイントを確認しておきましょう。
電話の場合
電話の相手が息子や孫かどうか疑わしい場合は、いったん電話を切り、本人・家族・勤務先などに電話をかけ直してみましょう。
「携帯の電話番号が変わった」という電話を受けた場合は、元の電話番号にかけ直してみましょう。
どのような状況であっても、銀行員など金融機関の職員が、クレジットカードを預かったり暗証番号を聞いたりすることは絶対にありません。
警察官・弁護士・銀行員を名乗る者から、最終的に現金の振り込みを誘導するような電話を受けた場合は、警察に電話しましょう。
メールやはがきの場合
携帯電話に「情報料が支払われていない」「退会手続きがなされていない」など、身に覚えのない請求メールがきた場合は、架空請求詐欺を疑いましょう。
消費者生活相談センターなどになりすまし、「料金未払いや契約不履行で裁判になっている」などと記載されたはがきが届いた場合も同様です。
また、「簡単審査・低金利」「誰でも融資可能・担保不要」などと記載されたダイレクトメールが届いた場合は、融資保証金詐欺の可能性があります。
これらのようなことが起こったら、記載されている電話番号に電話をかけてはいけません。すぐに警察(全国専用共通番号#9110)に相談しましょう。
文/編集部
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