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2015年の大増税後「相続税」の実態が激変していた!税理士が見た増税で”得した人””損した人”

2019.10.27

2015年、相続税が大増税された。これにより、相続税の支払い対象者は増えたものの、実態はどうなっているのか、また今回の消費増税における贈与税にまつわる改正事項などを、相続のプロフェッショナルである税理士の井口麻里子さんに聞いた。

2015年の相続税の大増税から「相続税の申告が必要な人」が倍増!

2015年1月1日以降、相続税の大増税があったが、このとき相続税の基礎控除が従来の6割に引き下げられ、逆に最高税率が引き上げられた。相続税の支払い対象者が増えたといわれるが、実際のところどのくらい増えたのだろうか?

井口税理士:年間の死亡者数に占める、相続税の申告が必要な人の割合は、改正前は約4%でしたが、改正後は2015年以降、8%ほどとなりました。倍増です。改正の際は4%が6%になるのを狙っていたそうですから、国の予想以上だったというわけです。

ところで、この「相続税の申告が必要な人」という点がポイントです。相続税にはいくつかの大きな特例があります。特例を使った結果、納付税額は結果として「0」ということも多いのが実状です。これらの人は、納付税額が0であったとしても、「特例を使うため」に申告が必要となります。

―その「相続税の申告が必要な人」とはどういう人なのですか?

井口税理士:ずばり、基礎控除額を超えた人です。基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で表されます。これを超えるか超えないか、我が家を、そして実家を振り返って、これだけは確認しておいてください。これを超えたら、申告は必要。ただ、特例などをフル活用すれば、納付する税金はなし、という結果になるかもしれません。

相続税が変化したことで「損した人」「得した人」

2015年を境に相続税が変化したことで、損した人と得した人はそれぞれどんな損得があったのか。

●損した人

1.申告が必要になった!

井口税理士:前述の通り、基礎控除額が改正前の6割に減りました。父と母、子どもが二人くらいのご家庭で、父が亡くなったケースを例にとりますと、法定相続人の数は母と子ども二人の合計3人です。

改正前の基礎控除額は「5,000万円+1,000万円×法定相続人の数」ですから、「5,000万円+1,000万円×3人」で8,000万円でした。父の財産が8,000万円を超えなければ、相続税はかからなかったわけです。

しかし、改正後の基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」ですから、「3,000万円+600万円×3人」で4,800万円。4,800万円を超えたら、課税対象者、つまり申告書を出さなければならない人となるのです。

4,800万円という金額がニクイところでしょう。都内にご自宅があって、ある程度の老後資金があるご家庭は、軒並み課税対象者になってしまったのです。

2.納税資金が足りない!

井口税理士:基礎控除が引き下げられ、それと併せて税率が引き上げられましたので、これによって、納付しなければならない税額もぐっと上がりました。例えば父の財産が2億円で、法定相続人が母と子ども二人の場合、改正前の相続税額(配偶者の税額軽減適用前)は1,900万円だったのに対し、改正後は2,700万円となります。財産が多ければ多いほど、税額のギャップは大きくなります。

「お父さんが残した預貯金だけでは、納税できない!」ということも出てきます。そうなると相続人が自分の預貯金をかき集めて納税しなければなりませんが、普通のご家庭でいきなり何百万円も用意するのは大変なことです。

●改正前に遺言を書いた人は、納税資金の見直しが必須!

井口税理士:このことから、遺言で誤算が生じるケースも多いと思います。通常、遺言を書く際には、相続人それぞれが納税できるように配慮して、セットで現預金を相続させる旨の遺言を書きます。

例えば、こんな父がいたとしましょう。

地主である父は前々から遺言を書いていた。遺産の大部分を占める土地を長男に相続させる、それに対応して発生するだろう相続税分の預貯金もセットで相続させるよう、準備万端、遺言を書いておいた。土地を相続させない次男や長女には土地に比べればささやかながら、預貯金を相続させることにした。

ところがこの改正によって税額がぐっと上がってしまって、長男にとって「そんな預貯金では全然足りないよ!」という事態が生じることとなったのです。長男は納税資金がなくて困る、しかし、父が納税資金として長男に振り分けていた預貯金以外の預貯金は、すべて次男や長女が相続するよう、遺言に書いてある。今時「納税資金のため」という理由では、たいていの金融機関はお金を貸してくれません。

改正前に遺言を書いた人は、納税資金の見直しが必須です。こうした「納税資金が足りない」という大誤算で、相続が大荒れになるケースが多く発生しています。

●得した人

1.非課税で贈与できる制度が増えた

井口税理士:相続税はぐっと増税になりましたが、反面、贈与税はぐっと優遇された改正であったのをご存知でしょうか? 相続税と贈与税はいずれも相続税法という一つの税法の中の税金です。贈与税とは、個人が他の個人から財産の贈与を受けた場合に課される税金で、一人あたり1暦年に110万円までは非課税で贈与を受けられる枠があります。

「相続税を重くして、贈与税を軽くする。」この改正は、どれだけ上の世代から下の世代へお金を流して、消費を刺激し、経済を活性化したいか、という政府の意図がはっきり見えた改正だったのです。ですから、その政府の意図に乗って、「どんどん下の世代へ贈与する」これがイコール、「最も簡単で感謝される最も効果的な相続対策」になります。

具体的には非課税で贈与できる制度が増えました。

教育資金の一括贈与、結婚・子育て資金の一括贈与、住宅取得等資金の贈与など。特に住宅取得等資金の贈与は、消費税増税で買い控えが生じないよう、増税のタイミングで親や祖父母から子ども、孫へマイホーム取得のための資金を贈与したら、最高で3,000万円もの非課税枠が作られたのです。(平成31年4月1日~令和2年3月31日までの間に住宅取得に係る契約を締結した場合)

2.贈与税の制度が変わり、二つの税率ができた!

井口税理士:贈与税の制度が変わり、二つの税率ができました。これまでは、誰から誰に贈与しても同じ税率表を使っていました。ところが、この2015年改正で、二つの税率表ができたのです。親や祖父母から20歳以上の子や孫(直系卑属)への贈与については、「特例贈与」といって、特別に優遇された税率が使えるようになったのです。これもまた、政府の意図がはっきり見えます。小さい子どもへの贈与ではなく、20歳以上という、お金を活発に使う世代への贈与が優遇税率の対象なのです。

親、祖父母の財産を減らすことは、最も確実な相続対策ですし、子どもや孫にも喜ばれます。親御さん、祖父母の方がご健在の場合は、遠慮なく「改正で贈与税が優遇されたから、相続対策として生前に贈与してほしいな」と提案してみましょう。

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