人気のタグ
おすすめのサイト
企業ニュース

CGIでロバート・デニーロ、アル・パチーノの若い頃が再現!?Netflix発の3時間半超大作映画「アイリッシュマン」の見どころ

2019.10.26

■連載/Londonトレンド通信

 第63回ロンドン映画祭閉幕を飾った『アイリッシュマン』の会見が行われ、マーティン・スコセッシ監督、主演のロバート・デニーロ、共演のアル・パチーノ、プロデューサーのエマ・ティリンジャー・コスコフとジェーン・ローゼンタールが出席した。

(L-R) Emma Tillinger Koskoff, Jane Rosenthal, Al Pacino, Robert De Niro and Martin Scorsese at "The Irishman" press conference during the 63rd BFI London Film Festival at The May Fair Hotel on October 13, 2019 in London, England. (Photo by Gareth Cattermole/Getty Images for BFI)

『アイリッシュマン』 はチャールズ・ブラントのノンフィクション小説『I Heard You Paint Houses』の映画化だ。小説はフランク・シーランの伝記で、ジミー・ホッファにまつわる告白部分が、謎に包まれていたジミーの死に解を与えた衝撃作だ。ジミーはアメリカの労働組合長で犯罪組織にも関りがあった。フランクはその組織の中の殺し屋でジミーの友でもあった。アイリッシュマンとは、アイルランド人の血を引くフランクを指す。フランクをデ・ニーロが、ジミーをパチーノが演じる。

 デ・ニーロのスコセッシ監督作出演は、これで9本目になる。これまでの作品は、『タクシー・ドライバー』はじめ名作揃いだ。ほかにも、スコセッシ映画ではお馴染みのハーヴェイ・カイテルやジョー・ペシなどが出演している。ペシにいたっては既に引退しているにも関わらず、ほかならぬスコセッシ監督ということでの出演だ。そこに、スコセッシ監督と組むのは初となるパチーノが加わった豪華なキャストだ。

 だが、制作は困難を極めた。この顔ぶれを揃えるスケジュール調整に、本の映画化権など法的な問題、また、進むにつれ、ふくらみ続ける制作費も障害となった。2007年には既にプランがあったというこの映画は、結局、Netflixの出資でようやく完成にこぎつけた。3時間半に及ぶ大作となり、11月27日から配信される。

 映画のオンライン配信についてスコセッシ監督は、「革命だよ。映画自体が120年前には革命だったように。新しい技術が想像もできなかったことを運んでくるんだ。物語映画にとって非常に良いことだ。ただ、守られなくてはいけないのは、皆が共通の体験をするということ。それには映画館がベストだ。だが、家が映画館になるという大変化が起きた。そういうことを受け入れていかなくてはいけない」とした。

 続けて、「映画は観てもらえることが大事だ。そこには問題がある。映画が作られなくてはいけない。我々には、この映画を作る余地がなかった。いろいろ大変なことがあるけど、資金面での問題もある。例えば、CGIが革命的なメイクアップとなったりするんだ。だから、配信前に劇場公開もするという条件で映画を作るチャンスを得た」と、内幕を明かした。

 さらに、「映画の価値ということなら、テーマパーク映画、例えばマーベルとか、映画館が遊園地になる。それは映画とは別物だ」と手厳しい。

 確かに、『アイリッシュマン』は派手な映像で楽しませるマーベル作品とは対極にある。抑制の効いた、観終わった後に噛み締めるような映画だ。

 製作費がふくれあがった一因であるCGIも、派手な画面を作るためではなく、それぞれの俳優にそれぞれの役の若き日を演じさせるために使っている。

 養護施設らしいところで独白するフランクから始まる映画は、回想を経て、最後に同じ場所に戻ってくるのだが、印象が違ってしまう。整った施設にいる余裕ある老人と見えたフランクの、その半生の結果でもあるとてつもない寂しさを伝え、また、生前のジミーも同様であったことにまで思い至らせる。

 数十年が描かれるこの映画で、CGIで若返って出演していることについて、79歳のパチーノは「クレイジーと言ったら、全部クレイジーだよ」としながら、「出始めの新しい技術ということだね。メイクアップの一形式だよ。それが何かを変えるかもしれないが、俳優は演じるだけだ。どう見えてるかは、気にならない。そういうふうにして語られた物語なんだよ」という。

 76歳のデ・ニーロは「いつも冗談で『これで、あと30年は仕事ができる』と言ってるよ」と笑わせた後、「興味深いことだね。(CGIで)有名人を広告に出したりもできるわけだから、著作権とか、いろいろ考える。自分がその初期に立ち会えたことはうれしく思うよ。これから、どうなっていくのかは、わからない。だが、この映画では良くフィットしてる」と評価した。

 それを受けて、パチーノは「我々がどうするかでもある」と言うと、デ・ニーロもすかさず「その通り」。続けてパチーノは「長いこと素敵に見せておいて、ある時、起きて(呻きながらヨロヨロする老いた身振り)となって、『あれ?39歳じゃなかった?』ということもあるわけだから」とおどけた。

 ちなみにスコセッシ監督は77歳となる誕生日間近だ。この映画を作るにあたっての最大のチャレンジを問われた監督は、「映画を作ることだ」と返して笑いを誘った後、「全ての問題を超えて、どう進めるか、撮影前、撮影後にもチャレンジはあるし、複雑な技術的なこともある。物語の肝心なところに焦点を合わせていく。特にフランクのキャラクターだ。いろいろなことがコントロール不能になってきて、また、つかみなおしてということを、フランクを錨のようにしてやっていった。映画を作ること一般に言えることだけどね」と、またも苦労をにじませた。

『アイリッシュマン』は、イギリスではロンドン映画祭でのインターナショナルプレミア後の劇場公開、日本では東京国際映画祭での日本プレミアを経て、配信となる。

文/山口ゆかり
ロンドン在住フリーランスライター。日本語が読める英在住者のための映画情報サイトを運営。http://eigauk.com

新型コロナウイルス対策、在宅ライフを改善するヒントはこちら

@DIMEのSNSアカウントをフォローしよう!

DIME最新号

最新号
2020年10月16日(金) 発売

DIME最新号の特別付録は「電動ブレンダー&ホイッパー」!特集は「ポイ活 勝利の方程式」「アップル新製品」「キッチン家電」

人気のタグ

おすすめのサイト

ページトップへ

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 10401024号)です。詳しくは[ABJマーク]または[電子出版制作・流通協議会]で検索してください。