
パクリとひと口で、幸せな気持ちになれる――。そんな、特別な「お菓子」を追求する一方で、オリジナルの「文具」を作るお菓子メーカーが増えている。しかも、そのお菓子のファンのみならず、SNSで話題になり、新規ファンの開拓にも一役買っている。予定数を1日で完売した『ヨックモック』の文具も、そのひとつ。
「『ヨッ具モッ具』をきっかけに、思い出していただいたり、知っていただけて、うれしい限りです。普段は贈答のご利用が多いので、より身近に感じていただこうと発売しました」(広報・鈴木氏)
『鳩サブレー』で知られる鎌倉の老舗和菓子屋『豊島屋』も、オリジナルグッズの販売は本店のみにもかかわらず、発売と同時に注目のマト! しかも、これらは文具好きな4代目・久保田社長が企画しているため、社員ですら次の展開は予測不可能らしい……。
「和菓子は伝統的な製法で真面目に。グッズは手にした方が思わずクスリと笑ってしまうものを目指しています」(広報・宮井氏)
また、人気の『クルミッ子』をモチーフとした文具などを販売するのが、『鎌倉紅谷』だ。
「常に、お客様が喜ぶ姿を想像しています。生活の中で、私たちのことを思い出していただければうれしいです」(代表・有井氏)
あくまでも、本業を大切に。でも、どんな時も喜んでほしいから手を抜かない――。そんな心意気を感じるのは、「お菓子」という笑顔を届けるメーカーだからかもしれない。「文具」という日常に潜み、人々の記憶に残ることで、ふいの「贈りたい」「食べたい」につながる。一見、遠回りなようだが、着実に絆ができるのだ。
ペンケースには名物の『シガール』が3本入る!
ヨックモック『ヨッ具モッ具』1500円
(ペンケース、一筆箋・封筒、ペン、マスキングテープ、シガールシール、クリアファイル)
「50年間の感謝を胸に、これからも私たちのお菓子にできること」をスローガンに、文具セットを企画・販売。初代『シガール』缶やクッキーなどの洋菓子モチーフを潜ませた。
〈なぜ作った?〉設立50周年の記念企画。これまで多くの「初めて」に支えられてきたことをテーマに、「初めての文具」を作った。
〈どこで買える?〉8月に『ヨックモック青山本店』、10月からは自社サイトで販売。だが、ほぼ完売状態!
「おいしい!」&「かわいい!」でダブル笑顔
鎌倉紅谷『クルミッ子レターセット』450円
『鎌倉紅谷マスキングテープ』『クルミッ子マスキングテープ』各380円
「自らの手で書くことで相手を想う時間に」と作ったレターセットは、書きやすさを追求してリニューアル。マスキングテープは試作品をInstagramで披露し、発売した。
〈なぜ作った?〉ワクワクを大切にする『鎌倉紅谷』はお菓子以外でも接点を持ちたいと、オリジナルグッズを展開している。
〈どこで買える?〉神奈川県鎌倉を中心に展開する『鎌倉紅谷』八幡宮前本店と、自社サイトで購入できる。
4代目が企画するしゃれの効いたグッズたち
豊島屋『鳩サブローの過去の消し方』『小鳩豆消』各810円(税込み)
鎌倉銘菓『鳩サブレー』で知られる『豊島屋』の、〝鳩愛〟に満ちた消しゴムシリーズ。価格はズバリ〝810(ハト)〟円! 細部までしゃれが効いていて、思わずコレクションにしたくなる。
〈なぜ作った?〉『鳩サブレー』缶を再活用するお客からヒントを得て、2002年よりグッズ展開。細部へのこだわりにファン多数。
〈どこで買える?〉神奈川県鎌倉若宮大路に構える『豊島屋 本店』で販売中。常時20種類ほどを展開する。
取材・文/ニイミユカ
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