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れいわ旋風を巻き起こした山本太郎の共感を集めて拡大する力

2019.10.19

4月に設立された政治団体が、3か月後の参院選で約228万票も集め、2人の議員を誕生させた。わずか3か月で、なぜこれほどの人と票を集めることができたのだろうか。この夏、“れいわ旋風”を巻き起こした山本太郎の共感を集める力に注目した。

山本太郎
1974年兵庫県出身。「れいわ新選組」代表。1990年、『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』の「ダンス甲子園」に出場。91年『代打教師 秋葉、真剣です』で映画デビュー。『バトル・ロワイヤル』『GO』などに出演。2011年4月から脱原発活動を開始。13年に参院選に当選。19年に「れいわ新選組」を設立。著書に『僕にもできた! 国会議員』(筑摩書房)。

9月に行なわれた東京・赤坂見附の「れいわ新選組」の事務所開き。支援者が詰めかけ、事務所に入りきらなかった人たちは通りのパブリックビューイングに見入っていた。

想像してほしい。いつまであなたは絶好調でいられるだろうか?

■3か月で寄付金4億円、集めた票は約228万票

 4月10日。まだ新元号発表の余韻が残る中、山本太郎氏が「れいわ新選組」を立ち上げた。それまで所属していた自由党から独立し、たったひとりでの旗揚げだった。

 しかし3か月後の参院選に向けて9人を擁立。東京・新宿から始まった街頭演説の様子はSNSで拡散され、選挙戦最終日の新宿西口は大勢の人で埋まった。

 立ち上げからの3か月間で、集まった寄付金は4億円に上る。そして参院選。れいわ新選組が集めた票は約228万票。そのうち山本氏の個人票は、全立候補者の最多の99万票以上を集めた。

 なぜこれほどの票を集めることができたのだろうか。

 選挙戦中、ほとんどのマスメディアは、れいわ新選組の盛り上がりを取り上げることはしなかった。まだ政党として認められていなかったこともある。だから山本氏とれいわ新選組の主張は、ほぼSNSを通して拡散された。東京・新宿から始まった街頭演説は、「れいわ新選組YouTubeチャンネル」で即刻、流れた。

「政権をとりにいきたいんですよ。力、貸してくれませんか?」

「“クソ左翼”という言葉をいただきました。(中略)私は右翼でも左翼でもないフリースタイルです。だからこそ永田町の空気を読まずにひとりで旗揚げするんですよ」

 再生回数は130万回を超えた。

 7月21日。参院選の得票率は4.55%。れいわ新選組は、日本の公の政党になった。

7月の参院選では山本太郎氏の街頭演説がYouTubeで130万回再生されるなど、SNSで注目を集めた。集まった寄付金は4億円。「電車賃を残して200円、寄付してくれた」人もいた。

■20年間の芸能生活をやめて初めて知った世界

 2011年3月まで、山本太郎氏は俳優だった。芸能人として順調なキャリアを歩んできたと言っていいだろう。その男が、政治の世界に踏み込んだきっかけは、福島第一原発の事故だった。

 入り口は脱原発だったが、山本氏は間もなく、労働問題、貧困問題、人権問題とテリトリーを広げていった。なぜか。

「すべての問題は根底でつながっていると気づかされたんですよ」

 脱原発運動で全国の現場を訪ね歩き、関係者からレクチャーを受けながら気がついた。原発問題の根元にも貧困問題があるのだと。

「全然知らなかったんですよ。そんな世界があるなんて。ずっと芸能界にいたから。自分は安定していたから。労働問題や貧困問題を支援している弁護士や、草の根活動をされている方の話を聞いたり、現場を見たりして、この世が地獄だったんだと気づいたんです。すごい衝撃でした」

 貧困など経験したことのない、芸能界で長年キャリアを築いてきた男が、貧困の現場を見て気づいた。自分だっていつ貧困になっても、おかしくない。

「今は勝ち組って人も、いつ事故で障害者になるかわからない。それは明日かもしれないし、1年後かもしれない。どんなケースであっても人間の尊厳を失わず生きていけるよう支えるのが社会保障であってほしいと考えます。日本の社会保障は、何もかも失うという前提でないと受けられません。そこからまた立ち直れ、メインストリームに戻れなんて、ハードル高すぎませんか? 全財産をなくす、ずっと手前で支援を受けられる仕組みにするべきです」

 参院選では「特定枠」を利用し、2人の重度障害者を当選させた。「特定枠」とは、得票に関係なく、比例区であらかじめ決めた特定の候補者が優先して当選する仕組みだ。その枠に無名の重度障害者を、しかも2人充てるという発表は周囲を驚かせた。山本氏自身が当選するには、れいわ新選組全体で300万票以上が必要になるからだ。

「山本太郎を落とすな!」

 この特定枠使用の知らせが入ると、山本氏の演説のSNS拡散はいっそう熱を帯びていった。彼自身は、この選択の意図をこう語る。

「一番立場が弱い人、例えば、重度障害者が人間の尊厳を奪われずに生きていける社会なら、それはおそらく誰も切り捨てられない社会だと思う」

■消費税を増税した分、大企業は減税されている

 山本氏の政策は、社会的弱者の救済をメインに据える。これを不安視する人は多い。そしてこう聞く。その財源はどこにあるのか?

 これについて山本氏は「法人税に累進課税導入」 「分離課税を廃止し、所得税を総合課税化、最高税率引き上げ」などで、約29兆円が調達できると答えている。

「シンプルな話で消費税が増税された目的を考えてみる。大企業に減税し、金持ちに減税し、減った分を消費税で補う。これが20年間、繰り返されてきたことです。それでデフレは解消しましたか? 本当にあなたの生活、豊かになっていますか? 読者の中には株などの投資で足りない給料を補う人もいるかもしれない。私はそこから税金取ろうと言っているわけじゃありませんよ。私がターゲットにしているのは富裕層。その最高税率を上げる。年収10億円、100億円稼ぐ人からって話です。どうぞ安心してください」

2019年2月の参議院本会議。「総理、日本以外でデフレが20年以上つづいた国があれば教えてください」「力を合わせて好景気に向けて前に進みましょう」と訴えた。

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