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「ライン」が存在しない会社に「ない」3つのもの

2019.10.11

■連載/あるあるビジネス処方箋

 今回は、「ライン」が存在しない会社の特徴を私の考えをもとに紹介したい。

 結論からいえば、業種を問わず、中小企業(この場合、正社員で300人以下)に圧倒的に多い。規模(社員数や売上など)の点からとらえると、中小企業の中にベンチャー企業の多くが含まれるが、創業10年以内の場合は特に社内の態勢が未熟であるがゆえに、ラインが存在しないケースが目立つ。

 私は、中小企業や創業10年以内のベンチャー企業に新卒時(大卒)に入社することには否定的だが、その理由の1つはラインが存在しないからでもある。ラインは20∼30代の社員間の競争をし烈にさせて、安定的に段階的に優秀な人を選ぶ重要な仕組みだ。これがないのは、育成という観点から考えても、疑問に感じる。今回は、ラインがない中小企業がどのようなものであるのかを考えたい。

1. 事業の強力な柱がない

 会社には様々な事業があるが、市場において競合他社に負けないレベルに達し、毎期安定した売上の見込みが10~15年あると、ラインをつくることができる。私の観察では、その見込みが10年以内では難しいように思う。ある程度、長きにわたり、経営を支えるお金が確実に入ってくるめどが立たないと、人の育成を時間内に着実にすることはできない。

 そのようなお金がないと、とりあえずは当面の資金を得るために、場当たり的式に営業に猛烈に力を入れていかざるを得ない。これでは、全社規模で時間をかけて、20∼30代の資質や適性、潜在的な能力(伸びしろ)を見極めることはできない。ラインは到底、つくれないはずだ。仮につくったとしても、中堅、大企業のそれと比べると、大きく見劣りするレベルのものではないだろうか。

2. 人を育成できない

 結局、たった数年で「あいつはできる」と安易に判断し、評価する可能性が高い。その判断に明確で、揺るぎない根拠があるのかといえば疑わしいように思う。そもそも、このレベルの会社の管理職や役員は人を評価する技術を持ち合わせていない可能性が高い。そのような教育訓練は受けていないはずだ。

 ちなみに、中小企業ではるか前からパワハラやいじめ、セクハラなどのトラブルが絶えないが、わずか数年で「あいつはできる」と判断し、評価し、昇格させているところに大きな理由があると私はみている。

3. 育成の仕組みがない

 中堅・大企業と中小企業は人材の質に非常に大きな差がある。どちらがいいのか、悪いのかではなく、双方は別世界だ。中小企業の場合は、社員の定着率が大企業に比べて相対的に低い。人事制度や賃金制度は杜撰な傾向があり、管理職や役員の意識は大企業に比較すると見劣りする。特に問題なのは、社員の育成だ。「丸投げ」をしている会社も少なくない。

 私がこの15年で見てきた限りでいえば、出版社や業界紙、編集プロダクション、広告代理店では、20代の社員に編集者、編集長、編集部長、整理部長、編集局長、担当役員の役割をさせている職場すら見られる。人材育成を長年にわたり、怠ってきたがゆえに、30∼40代の社員が育っていない可能性が高い。30∼40代が20代を育成する技術を持ちあわせていないはずだ。結果として、20代でありながら、あらゆることをさせている。

 これは「仕事を任せた」だけであり、「育成」とはいわない。全国紙や通信社、大手出版社の20代の社員と比べて、小さな会社の20代の仕事力は5∼6ランクは低い。入社後も育成の仕組みがないがゆえに、優秀な人はつくれないようになっているように見える。

 なぜ、このようなことが放置されているのか。役員が人材育成の風土や仕組みをつくることに無関心であるからだろう。私が接した中小企業の役員で、その意味で熱心な人はほとんどいない。仕事を与えることを「育成」と信じ込んでいる人が実に多い。

「育成」には必ず、PDCAサイクル(Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)を回すことが必要なのだが、Checkを機能させようとしていない。「数をこなせば、高いレベルで仕事ができるようになる」は単純作業のことであり、正社員がする仕事ではないだろう。「丸投げ」では、育成は絶対にできない。

 今回の考えはややシビアなとらえ方かもしれないが、中小企業を事実に基づくことなく、「若手が活躍できる」「実力主義」と称える立場に私は与しない。やはり、素直な目でみると深刻な問題を抱え込んでいるのは否定しがたい。その1つが、ラインが存在しないことなのだと思う。

文/吉田典史

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