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花王・澤田道隆社長が語る「ESG経営」に舵を切る決意とその先に目指すもの

2019.10.14

 花王は2019年4月、ESG(環境、社会、ガバナンス)戦略の「Kirei Lifestyle Plan(キレイライフスタイルプラン)」を発表した。詳細は同社ホームページで公開されている「花王統合レポート2019」「花王 サステナビリティ データブック2019」に掲載されているのでそちらを参照いただきたいが、同社は事業の持続的成長と持続的な社会の実現のために、ESG活動をこれまで以上に重視することにした。グループを挙げて事業戦略にESGの視点を導入し、事業の拡大と消費者や社会によりよい製品・サービスの提供を目指す。

  ESG経営に大きく舵を切ることにした同社だが、9月26日に同社の澤田道隆社長が、ESG戦略発表後はじめて、今後の具体的なプランやESG経営に舵を切るに当たっての決意を表明した。ベールを脱ぐ花王のESG経営が目指すものは果たして何であろうか?

将来への危機感からESGで基盤構築を目指す

 澤田社長は2012年に同社の社長に就任。6年ほどかけて脱デフレ型モデルの構築とコンパクトで多様性に富むガバナンス改革を実行してきた。ここまでの流れを、持続的な成長をなし遂げるための基盤構築の第一弾と位置づけているが、2025年度や2030年度に達成したい姿を見据えたとき、「これだけではダメだ」という危機感が澤田社長にはあった。別の新しい基盤構築のために取り入れたのがESGであった。

「持続的な社会実現のためには、最初の段階からESGを盛り込んだ技術開発とイノベーションを起こさなければならない」と澤田社長。それは、後から技術開発の裏面が表出し社会問題にしてはいけないという思いがあるからだ。

「Kirei Lifestyle Plan」では19のテーマを掲げており、各部門で具体的に起こすアクションを洗い出し、動き始めたところだという。こう聞くとボトムアップで推進していくように思えるが、澤田社長はボトムダウンの重要性を認めつつも、「トップダウンでKirei Lifestyleを具現化するイノベーション、略してKireiイノベーションをもっと明確にして進めていく必要があると考えている」とむしろ、トップダウンの方が重要だとした。

「Kirei Lifestyle Plan」で掲げた19のテーマ

 そして、「トップダウンで推進していくには決意が必要だ」と言い、具体的に次の3点を明言した。

1.これまでのやり方、あり方、考え方を抜本的に変える
2.製品は発売して終わりではなく、廃棄(処理)まで責任を持つ
3.ESG本質研究に基づく「Kireiイノベーション」により事業領域を拡げ、人に社会に地球に大きなインパクトを与えていく

 しかし、いくら揺るがない決意があっても、「Kirei Lifestyle Plan」で掲げている19テーマ全部は一気に推進できない。そのため、第一弾として、「QOLの向上」「脱酸素」「ごみゼロ」などに重点的に取り組むことにし、「リデュースイノベーション」「リサイクルイノベーション」「ソーシャルイノベーション」という3つのイノベーションと実現と「Kirei Lifestyle」を体現する新ブランドの提案を表明した。

プラスチックのさらなる削減と廃棄物ゼロ化

 まず「リデュースイノベーション」については、プラスチックの使用量をさらに少なくすることに努める。すでにプラスチックボトルの薄肉化、中身の濃縮化・大容量化を実施しているものの、「これだけではダメ」と澤田社長。これまでの活動を一歩進め、プラスチックボトルそのものをさらに少なくすることや、プラアイキャッチシールの全廃、廃棄物のゼロ化、ホワイト物流の推進を掲げる。

 2018年は1万650トンのプラスチックボトルをつくったという同社だが、将来の全廃を実現するに当たり現在模索しているのが、薄いフィルムでできている詰め替え容器を本体として活用することである。具体的には、詰め替え容器に吐出部とフックを装着して吊り下げて容器として使用できるようにするほか、詰め替え容器をセットするだけで繰り返し使える「スマートホルダー」、詰め替え容器の外側に薄いフィルムをプラスし、間に空気を入れて膨らませることで自立させる「Air in Film Bottle(エア・イン・フィルム・ボトル)」などを提案していくという。

 本体容器がなくても製品として不自由なく利用できる技術開発は進んでおり、澤田社長もボトルレス化については自信をのぞかせる。とくに詰め替えが浸透していない海外で採用が進めば、プラスチック削減効果が飛躍的に高まるので期待したいところだ。

詰め替え容器に吐出口とフックを装着しそのまま使えるようにしたもの

詰め替え容器をそのままセットして使う「スマートホルダー」(右から2番目)と、詰め替え容器の外側に薄いフィルムをプラスし、間に空気を入れて膨らませ自立させて使う「Air in Film Bottle(エア・イン・フィルム・ボトル)」(右端)

 プラアイキャッチシールについては、澤田社長は「業界を上げて全廃に向けて取り組んでいきたい」と意気込むものの、一気に全廃することは難しいという見解を示す。その理由は、プラアイキャッチシールはすぐ捨てられてしまうものだが優秀なコミュニケーションツールであるため。どうしても活用したい場合は再生紙のような環境に配慮した代替材料を使うこと推進していく。その一方で、代わりのコミュニケーション方法を検討しており、いずれ全廃を実現したい考えだ。

プラアイキャッチシールは消費者とのコミュニケーションに有用な面があるものの、将来的には全廃したい考え

 廃棄物ゼロ化については、処理コストの低減と環境負荷の削減のために実現したい考えである。対象は製品と販促物の2つだ。

 製品の廃棄とは、切り替え時に発生する返品のうち使いきれなかった一部が廃棄されているものをなくすことを意味する。廃棄になると中身だけでなく容器もムダになることから、「できるだけ一斉切り替えを中止して徐々に返品を減らすなどの対策を講じたい」と澤田社長。数量、適正な時期、販売の終わらせ方などについて、小売店と連携しながら取り組んでいきたいとした。販促物については、デジタルの活用などを小売店などとともに進めていくという。

 ホワイト物流の実現には、ドライバー不足と運ぶモノ・回数の増加という問題があり、同社だけでは解決できない。社会全体で抜本的に見直さないと解決できない問題だが、澤田社長はホワイト物流実現のポイントを「計画化」と「平準化」と言い切る。見込み発注をなくし、納品量や納品リードタイム、車両台数などを平準化することで、余分なトラックやドライバーを抱えない物流体制を構築するというのである。

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