「領域を超え、グローバルに活躍できる〝越境型〟人材に注目」
意図的な脱皮で自らをアップデート
では、そうした変化に対し、求められるのはどんな人材なのか。ピョートル氏は、「意図的な脱皮」の重要性を指摘する。
「成長意欲と学習能力を持った人材が、今後ますます求められます。つまり、置かれた現状に甘んじることなく、意志を持って変化していける人。こうした人材は僕がいた当時のGoogleの採用対象でもあり、いわゆる〝T型人材〟と呼ばれています。T型人材とは、深い専門性を持ちながら、知的好奇心が強く、幅広い知識も兼ね備えた人材。彼らは、活躍する場所を自ら拡張する能力を持っています。現在できないことでも、まず〝やってみる〟姿勢があるのです。
例えば営業に興味が出たら、自分が持っているものを誰かに売り、感覚を即座につかむ。そうやってアクションを起こし、知識やスキルを身につけていきます。一方、自分で『向いていない』と自己暗示をかけ、行動をストップしてしまうようであれば、生き残ることが難しくなっていくかもしれません」
またピョートル氏は、T型人材を凌ぐ〝TT型人材〟、さらには〝H型人材〟の需要も高まる、と断言する。
「TT型人材とは、専門性をふたつ以上持っている人材のことです。例えばプログラミングを得意とし、かつ医療の知識やスキルを持っている。このように専門領域をふたつ以上持っていれば、自分だけのポジションを築いていくチャンスがあります。これはそれだけレアで、市場価値が高い人材だということ。さらにふたつの領域の橋渡しができるH型人材も重要性が増すでしょう。大事なのは、ひとつの領域にとどまることなく、積極的に〝越境〟して、意図的な脱皮を繰り返し、自らをアップデートすること。好奇心を持って夢中になり、未開拓領域をハッキングする学習能力を持っていれば、時代のニーズにフィットする〝越境型〟人材になれるはずです」
これまでの日本社会では、五角形を満遍なく埋め、限りなく丸に近いジェネラリストを目指すことが良しとされてきた。しかし時代は変わり、これからの社会で活躍する人材には、いびつな五角形を恐れず、自分の強みを生かし、変わり続ける姿勢が求められている。
働き方が激変するであろう令和の時代、意図的な脱皮ができ、かつ適応能力の高い〝越境型〟人材こそ時代の寵児となり得るのだ。
■ 変化の時代に認められる人材
ひとつの専門性を軸に業務の幅を広げるT型人材、専門性をふたつ持つTT型人材、専門性の分断をつなぐH型人材の市場価値が高まる。
SUMMARY
1_ 組織は「枠」から「軸」の時代に
2_ 活躍できるのは「越境型」人材
3_「意図的な脱皮」が生き残りのカギ
取材・文/モメンタム・ホース 撮影/高橋宗正
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