
テレビのCMや街中のポスターなどで「NISA」という言葉を見たことはないだろうか? 実はこれ、低金利時代の庶民の味方! とでも呼びたくなる制度なのだ。
NISAは「ニーサ」と読むが、これって本当は愛称で正式には「少額投資非課税制度」と呼ぶ。「九文字熟語かぁ」……なんて見ているだけで面倒くさそうだが(笑)、ちゃんと知ると実に役立つ制度なのだ。
初心者が投資デビューするなら、これを知っておくのと知らないのとでは大きな差が出るので、面倒がらずにサラッと読んでいただきたい。
そもそもNISAって何?

「少額投資非課税制度」なんて難しい名前が付いているが、平たく言えば「少ない金額で投資をする場合、税金がかからなくなる制度なんですよ〜」ってこと。
投資をして期待通り、もしくは予想以上に利益が出ることがあると、ついつい「ラッキー」って思ってしまうが、それは早計で、収益がでれば税金がかかるのだ。
しかし、NISAを使うと、2014年1月から2023年まで毎年120万円を上限に(細かく言うと2015年までは100万円が上限だった)、投資枠内で得た収益が最長5年の間は課税されないのだ。
お得に感じるNISA口座ってどうやって開設するの?
NISA口座を開設するには条件がある。
1.日本に住む20歳以上の人
2.投資できる非課税枠は毎年120万円が上限で最大600万円まで
3.持てる口座は1人1口座
4.投資枠の再利用や翌年以降へ持ち越しできない
5.対象商品は上場株式、ETF、REIT、株式投資信託など。その譲渡益や配当金、分配金が非課税の対象となる
6.非課税の期間は最長5年間。ただし、期間終了の翌年のNISA口座に引き継ぐ(ロールオーバー)ことや課税口座に移すことも可能
7.それぞれの金融機関で口座を開くと、その金融機関の取り扱う商品のみが対象になる
8.投資期間は2014年~2023年
実際にNISA口座を開設するにはどうするの?
それでは、NISA口座を開設する上で、初心者でも最低限は知っておきたい情報をご紹介したい。
NISA口座の開設でおすすめってあるの?
ここではNISA口座開設に積極的な証券会社をご紹介する。あくまで「こんな証券会社があるよ〜」といった参考例なので、開設の判断はご自身でお願いしたい。
ネット証券の中で口座開設数1位のSBI証券
【参考】SBI証券|NISA/つみたてNISA/ジュニアNISA
リーズナブルな株式の売買手数料。楽天ポイントも貯まる楽天証券
証券会社ナンバーワンの規模を持つ老舗の総合証券会社、野村證券
【参考】野村證券|口座開設のご案内
NISA口座の開設キャンペーンをチェックしよう!
NISA口座をはじめ、初心者が口座をお得に開設できるように様々な金融機関が開設キャンペーンを設定している。
キャッシュバックなどの優遇があるので、まずは口座開設前にチェックしてみよう。
NISA口座開設の期間ってあるの?
初めて口座を開設する人には関係ないが、すでに口座を持っている人が、ほかの金融機関に口座を新たに開設して変更したい場合には、その期間が定められている。
変更したい年の前年10月1日から、変更したい年の9月30日までが変更期間だ。10月1日以降は次年度扱いとなってしまうので注意したい。
NISA口座開設に必要な書類は何?
NISA口座を初めて開設するためには以下の書類が必要となる。もちろん金融機関によって多少の違いはあるが、最低限以下を用意しよう。
1.各金融機関の証券総合取引口座
2.NISA口座の申込書(Webでの申込もあり)
3.マイナンバーカード(通知カードもしくは個人番号カード)
4.本人確認書類(運転免許証、日本国内パスポート、健康保険証など)
5.住民票の写し(原本)
NISA口座開設には税務署の審査があるって本当?
これは、本当。金融機関が必要な申込書類などを受理した後、税務署に問い合わせし審査される。
NISA口座開設までの時間ってどれくらいかかる?
NISA口座開設に要する時間は金融機関でまちまちだが、インターネット申込で最短2営業日〜郵送などで10営業日くらいはかかるといわれている。
営業日ベースなので、実際は1週間から2週間程度はかかると思った方がいい。
NISA口座は複数開設できる?
1人1口座とNISAでは決まっている。後述するが、口座変更で1年に1回まで別口座を開設できるが、あくまで運用は1口座に限られる。
NISA口座は移動・変更できる?
実は、NISA口座は、口座開設後4年間は金融機関の変更ができなかったのだ。
それではさずがに不便だということで、2015年1月1日から1年単位で金融機関を変更できるようになった。
実際の変更方法を含め@DIMEではNISA口座の変更について詳細をご紹介しているので、下記を参照いただきたい。
NISA口座を解約・廃止する場合はどうすればいいの?
何らかの理由でNISA口座を解約・廃止する場合があるかもしれない。そんな時は金融機関に「金融商品取引業者等変更届出書」もしくは「非課税口座廃止届出書」を渡そう。
しばらくすると「勘定廃止通知書」か「非課税口座廃止通知書」が受け取れるので、不要になったNISA口座を閉じよう。
NISA口座とつみたてNISA口座は違うの?
「つみたてNISA」とは、年間40万円を上限に累積投資で特定の投資信託を購入するもの。非課税となる期間は20年間だ。
NISAとつみたてNISAの併用はできないので、どちらかの口座を選択する必要がある。
NISA口座と特定口座の違いとは?
よく「NISA口座と特定口座って何が違うのですか?」という声を耳にする。
そこで、証券会社の口座の違いを簡単にご説明しよう。
投資のための証券口座は大きく分けて2種類あり、「一般口座」と「特定口座」となる。
「一般口座」とは、証券会社が年間損益を計算しない。そのため確定申告する場合は自分で損益通算しなければならない。
「自分で計算しなくてはならず面倒くさいのに、何で一般口座を開設するの?」と思う人も多いはず。実は、2010年末まで一般口座には「みなし取得費の特例」を選べるというメリットがあったのだ。
みなし取得費の特例とは、確定申告の時「実際の取得価額」と「みなし取得費」のいずれか有利な方を選択して損益計算できる制度。みなし取得費の特例がなくなった現在、「一般口座」を選ぶメリットはほとんどなくなっている。
さて、本題の「特定口座」だが、証券会社が損益を通算する口座を指す。課税については先に税金を納める「源泉徴収あり」の特定口座と、「源泉徴収なし」の特定口座がある。
一方、NISA口座はそもそも非課税枠での口座であり、「一般口座」「特定口座」とは別物だとご理解いただけるだろう。
※データは2019年9月下旬時点での編集部調べ。
※情報は万全を期していますが、その内容の完全性・正確性を保証するものではありません。
※本記事は投資を推奨するものではありません。ご利用はあくまで自己責任にてお願いします。
文/中馬幹弘