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IoTからデータを取得して融資リスクを把握する金融サービス「センシングファイナンス」の将来性

2019.09.20

 モノがインターネットに接続してデータの送受信が行える「IoT」。今までデータを密に取得できなかったモノからデータを取得して融資を行う。金融機関はモノからのデータを受け取るためのAPIを提供する。そんな新たな金融のエコシステムが生まれるかもしれません。

 モノに関して金融機関が融資を行う場合、モノを担保にして融資を行うことが多いです。モノがきちんとお金を借りた人の手元にあるか。きちんと稼働しているか。といったデータを金融機関が取得して確認できることは、その人の与信力の向上につながります。

 例えば住宅ローンを例に考えてみましょう。2019年9月現在では国内でIoTを活用した住宅ローンは提供されていませんが、イメージしやすい例として挙げました。

IoTでデータを取得することで融資リスクの把握を行う

 IoTからデータを取得して融資を行うことを「センシングファイナンス」と言ったりします。あまり聞きなれない言葉ですが、IoTセンサーを活用した金融のサービスまたはそのサービスの可能性という風に理解するとよいでしょう。

 住宅ローンは数十年単位での融資が基本になります。そのため金融機関は、借りた人が本当に収入を得ているのか。その住宅に住んでいるのか。といったことが気になります。収入が無ければ返せなくなってしまいますし、住宅に住んでいないのであればそもそもお金を貸す意味が無いので、早く融資を引き揚げてしまいからです。

 収入があるかどうかは銀行口座の入出金を確認すればよいのですが、その家に住んでいるかどうかを確認するにはひと手間かかります。

 例えばスマホのGPS機能を使って住宅がある部分に一定時間以上とどまっているか。住宅のドアにセンサーを付けておいて開け閉めの状況を確認する。といった方法が取れます。
 これらの方法を実現するのにIoTが活躍します。

 スマホはそもそもインターネット接続できる端末ですから、GPS機能が搭載されていればデータの取得ができます。データを取得するための専用アプリの開発を行えばよいです。

 ドアにセンサーを付ける方法では、金融機関が専用のIoTドアセンサーを用意し、お金を借りた人の住宅に取り付けてもらいます。

 いずれの場合でもデータを取得した金融機関は、データ分析を行ってその住宅に住んでいるかどうかの確からしさを検証しリスクの把握を行います。

■実際にIoTを使って提供されているローンの例

中京銀行「GPS装置付マイカーローン」

 MCCSというGPS付きデバイスを車に取り付け、ローンの返済が滞るとエンジンがかからないようにする仕組みです。

 MCCSはGlobal Mobility Serviceという企業が提供し、海外での利用実績が多いです。

引用元:GPS 装置を活用したマイカーローンの取扱開始について/西京銀行

■IoTドアセンサーの例

YKKAP「mimott」

玄関ドアの戸締り忘れ防止用のセンサーで、鍵が開いているかどうか。誰が鍵を開け閉めしたかがわかるので、例で挙げた住宅ローンの仕組みにも活用することができます。

引用元:YKKAP「mimott契約申込&製品購入サイト

データを取得する目的は「与信額計算」と「担保管理」の2種類

 IoTセンサーでデータ取得して分析すると「融資リスク」の把握につながると説明しましたが、そもそも融資リスクには「与信額計算」と「担保管理」の2つがあります。

■与信額計算

 与信額計算は、融資をする前に行うリスクの把握をするときに行います。例えば工場の機械の稼働状況を把握するIoTセンサーがあったとします。

 この機械から1個あたり1万円の利益が部品を1ヶ月で1,000個製造できるという情報や、機械の摩耗の状況からあと3年使えるという情報をIoTセンサーで読み取ることができたとします。すると現時点では、この機械から1万円×1000個×36ヶ月=3億6,000万円の利益が生み出せることがわかります。

 この取得した情報に、将来の部品の需要の予測などを加味して利益が生み出せる可能性を計算します。100%売れるとは限らないからです。

 利益を生み出せる可能性や確からしさのことを「蓋然性(がいぜんせい)」といいます。

 もし部品の市場が収束傾向になく3年に渡って利益が上げ続けられることがわかれば、3億6000万円以内であれば融資を行うのはリスクが低いという判断になります。

■担保管理

 担保管理では、融資をした跡のリスクを把握するときに必要です。もしお金の返済が滞ってしまった場合には、担保として受け取った資産を没収してお金に変えなければなりません。
 先の例の機械で考えてみましょう。

 3年で3億6000万円の利益が生み出せる機械を新しく1台追加購入しようとしたとき、この機械の価格が2億円だったとします。

 与信額計算で機械が増えても市場のニーズが十分にあり売れる確度が高いと判断し、機械を担保にする条件で融資を行ったとします。

 IoTセンサーを取り付け機械の稼働状況や摩耗の状況のデータを受け取ります。万が一返済が滞ってしまい、機械を没収しなければならないことを考えます。

 すると摩耗の状況のデータから機械の摩耗の状況から中古での売却価格を予測しいくらならば売れるのかを調べることができますし、売れ行きが悪化しそうな予兆は、機械の稼働状況から把握することができます。

 これが融資後に行う担保管理です。

プライバシーの管理を適切に行えるかがカギ

 IoTを使ってデータを取得する場合にはプライバシーの問題が付きまといます。GPSのデータを提供することで、いつどこにいたのかがわかってしまいますし、ドアの開閉状況がわかるセンサーではいつ人の出入りがあったかもわかってしまいます。

 融資のリスクを低減する代わりにデータをあれもこれも…と要求するのはお金を貸す立場に立ってみると気持ちはよくわかります。お金を借りたい人の状態を細かく分析しなければならないですから。

 取得するデータの種類を限定しつつ、他に漏らさないようにうまく予測する仕組みが必要です。

文/久我吉史

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