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Facebookの仮想通貨Libraの成功の可否は歴史の教科書で章が改まるほど大きな出来事である理由

2019.10.22

Facebookが関わることで注目されているブロックチェーン。この分野の著作を編んで来た野口悠紀雄氏は、これを実用化させられるか、潰すかは、歴史の教科書の章が改まるほどの出来事と話す。

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 Facebookが主導し、Libra協会によって構想されている仮想通貨プロジェクト「Libra」。20数億人の新しい通貨圏が誕生することや、VISAやMasterなどの決済企業や、UberやSprtifyなどのIT企業が参画することなどから注目を集めている。

 この動きに対し、7月に行なわれたG7財務相・中央銀行総裁会議の議長国でもあるフランスのルメール経済・財務相は、「(通貨発行という)国家主権は侵害されるべきではない」(日本経済新聞7月18日)など、懸念を示す報道が目立ったが、最近は<デジタル通貨 課題の見極めを急げ>(8月27日 朝日新聞社説)のように、サービスの利点と課題を見極めて適切な判断をすべきといった見方も出始めている。

仮想通貨革命---ビットコインは始まりにすぎない』(ダイヤモンド社、2014)や『ブロックチェーン革命 分散自律型社会の出現』(日本経済新聞出版社、2017)などで、早くからこのインパクトについて著してきた野口悠紀雄氏は、少し声のトーンを上げて、「Libraを巡る動きは、非常に重要なことでアメリカが取り潰しにかかっているのは、誠に愚かなことです。本来アメリカは、中国に対して強力な手段になる。アメリカのああいう動きをみて一番喜んでいるのは習近平ですよ」と話す。落ち着いて話す印象の野口氏にしては珍しく、感情を隠せない様子。Libraは、それほどインパクトのある動きのようである。

 ただし野口氏は、Libraに使われているブロックチェーン技術こそが、インパクトの本質であると強調する。

「既成勢力が総力をあげてLibraを取り潰しにかかっていますが、その本質は何か。それは、ブロックチェーンの技術は本物であることです。ブロックチェーンを用いると、公文書の改ざんが防げるなど、さまざまな利点があります。そして、ブロックチェーン技術が利用可能であることは、Libraによっても多くの人の知るところとなりました。ここで明らかになってきているのは、ブロックチェーンが活用されることによって変わること余儀なくされる既成勢力が反対しているということ。もうブロックチェーンの技術的な問題ではないということです」

 少しおさらいになるが、ブロックチェーンは何が凄いのか。野口氏は、次のように解説する。

「これまでは社会は、大きな組織を信用することで成り立っていました。これが、ブロックチェーンの利用が進むと、そのしくみを信頼して社会が成り立つ可能性がある。これが人類史上有数ともいえる最大のインパクト。なぜならば、恣意的な改ざんが出来ないしくみ、そのしくみが信頼できるんです」

 組織を信頼するか、しくみを信頼するか。人類史上有数というほどのインパクトゆえ、少し補足が必要だろう。いま私たちは、暮らしのなかで、さまざまなものを信頼して生活している。たとえば、朝起きて水道の蛇口を捻って出てきた水は、水道局という組織がきちんと衛生管理をしてくれているはずだから安心という前提で、口にする。コンビニで売っている水は有名企業(である組織)の商品だから、変な品質のものは売らないだろう。また、チェーン展開をしている有名な小売店(の組織)だから変なものは扱わないはず、と信用をして、購入する。

 こうして考えていくと、私たちの社会は組織への信用によって成り立っていることが見えてくるはず。そこには、どこかで人が介在し、品質管理や安全性の確保が行なわれる一方、誤り、不正、改ざんなど、信用を損なうリスクを排除することが困難という面もある。そして、組織を信頼して成り立っている信用の連関が損なわれると、深刻な社会不安が起こりかねない。どこかの国では、政府の統計に不正があった、公文書が改ざんされていたなどが事件になっているが、これは、社会が成り立っている前提を崩してしまう破壊行為という見方もできなくはない。

 一方、ブロックチェーンは、桁違いの計算力を持つ量子コンピューターにハッキングされるなどのリスクを除けば、人が介在することを極度に減らし、しくみを信用することができる。これは人の組織を信頼せずに社会を成り立たせることができることと、同義というわけだ。野口氏が、人類史上有数のインパクトという理由はここにある。

「もちろんブロックチェーンも課題はありますが、Libraのブロックチェーンが優れているか否か、これが核心です」

 では、なぜ、誤り、不正、改ざんなどのリスクが防げるブロックチェーンの活用が進まないのか。野口氏は、「ブロックチェーンによって既成勢力の職を奪われてしまいかねないので、反対をしている」とズバリ。

「たとえば公証人という仕事、これはある文書が、ある時点で存在したことを証明する仕事です。この仕事は簡単にブロックチェーンに置き換えられるわけです。それは技術的に、既に可能で、そういう文書の渉外サービスというのは既に提供されています。

 日本でも、会社を設置する際に、公証人が定款を認証しなくてはいけません。そのために、かなりの費用と手間がかかります。だから、これを改善すべきだという議論が起きました。これはいままでの手続きを、もう少し簡素化しようという話ですが、本当はブロックチェーンで自動化すべきです。では、実際にはどうなったか。簡略化は出来きませんでした。ましてやブロックチェーンを用いて、それを変えてしまおうというようなことには程遠かった」

 歴史の転換点のなかで、組織を信頼する社会を続けるのか、そうではなく、しくみを信頼する社会を目指すのか。私たちは、大きな選択を迫られているようだ。

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